戦う!シンデレラ

小田ミワ

第1話 シンデレラのプロフィール

今の私は、現代のシンデレラと思っている。

独身うら若き年頃で、清掃の仕事をしている。

一部の怖い姉達ならぬ年配のオバチャン達にいびられながらも地味な制服姿で掃除に明け暮れ、すてきなドレスを着て晴れ舞台に出て、優しい王子様と出会い幸せになる日を夢見ている。

夢見心地なのは毎朝早起きで眠いのもあるからで…(苦笑)

若いんだし他にもっときれいで楽な仕事もあるんじゃない?

とかよく言われる。

たしかにそう考えくじけそうな時も度々あった。

それでもこの仕事を始めてもう6年になる。

飽き性の私がこれだけ続けられているのは、やはりそれなりのメリットや楽しみがあるからだ。

経験してきたことを振り返りながら、おとぎ話ならぬリアルな現代ドラマを綴っていきますね。

よろしければ少しづつ、おつきあいください。


私の働くシンデレラ城は、大阪市内の中心部にある梅田を一望できる高層ビル。

自称シンデレラと名乗っていたらかなりイタイ子なので、名前を挙げておこう。

木村 咲良さら、29歳。今年10月の誕生日で30歳になる。

この業界に入ったきっかけは、あまり人と関わらない仕事をしたかったから。

短大卒業後販売の仕事についたが、客のクレーム対応や職場内の成績争いといった人間関係のもめごとに疲れてしまい、体調を崩してしまったため転職を決めた。

社会に出て、人間や大人の醜さを知った。

元々は人が好きで接客業に入ったため、悪い面ばかりが目につき余計にショックが大きかったのだ。

女子校育ちで世間知らずの箱入り娘だった私は、いきなり大海に出て座礁した。

それ以降未だ浮上できていない。

人生の一発逆転を狙い、これも修行と日々床や鏡を磨いている。

清掃は底辺の仕事だとかよく言われる。

汚い、朝早い、給料安い。

年配の人とかリストラされた人とか、他に働く場所がない人がする仕事と思われがちだ。

清掃員というのも、小汚くがさつに働いているな印象を持たれたり。

けれど昨今、その雰囲気も変わりつつある。

若いスタッフも増え、礼儀作法を守って仕事をする意識を持たせる。

少なくとも、私の働いている会社ではそんな感じだ。

親会社が高級感を前面に出している大手不動産会社なので、どこよりもマナーや言葉遣いにはきびしい。

勤務先のビルは外国人技術者が設計したモダンな外観で、築15年過ぎた今でも美観を保っている。

仲間にも、美人でオシャレな人が多い。

時代は変化しているのだ。

清掃=汚い仕事ではなくなってきている。

後輩の中には

「恥ずかしくて清掃の仕事してるなんて友達に言えない」

という子もいる。

それはやはり、清掃業に対する世間のイメージがよくないためだろう。

それを私は、

「清掃っておもしろそう。私もやってみたい」

若い子がそう思ってもらえるよな、魅力あるものにしたい。

周りの声を聞いているうちに、そう考えるようになった。

そのために自分の身だしなみ、メイクや髪形、体型にも気を配っている。

『きれいな清掃のお姉さん』になって情報を発信していったら、

多くの人達に関心を持ってもらい、会社だけではなく清掃業界のイメージアップにつながるんじゃないかと勝手に思っている。

そんな思い込みの激しいシンデレラです。




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