灰色の戦闘②
気が遠くなるような時間。
俺は、スタッフを振り続けた。
「はあ、はあ――増幅!」
魔力が無くなる前に、俺は魔力を増幅させる。
この戦闘中――10回目。
……アルスと戦った時に分かった、俺の魔力は無限じゃない。
魔力を増幅しても、繰り返していれば必ず底をつく。
その前に、こいつらを倒さなければ。
「――――!」
前方から、槍兵の突進。
「っ――」
背中に刺さるような痛み。恐らく矢。
長い戦闘の疲労か――判断が遅れた。
血が、背筋を伝っていく。
――構うな。
痛みに構う時間なんて無い。
「っ、らあああああ!」
前方の槍兵の頭を飛ばし、すかさず槍を奪い取った。
そのまま矢の方向へ槍を投げる。
「――……」
「――……」
音が、消えた。
「はあ、はあ、はあ――やったか」
今にも倒れそうな体を、スタッフで支える。
外傷多数、魔力もかなり使い切った。
……。
追撃は来ない。
見れば、幾多の金属が地面に転がっていた。
『一見』、この戦いは終わったかのようにも思える。
しかし。
「――っ」
大量の殺気が――俺の身体で感じられる。
最初よりも、多くだ。
「はは、まるで――『最初』の時みたいだな」
辺り一面、紅い光。
じわりじわりと、俺に近づいてきている。
ヒト型ではない、俺がこれまで戦ってきた、動物型の機械達。
「魔力量も、そろそろヤバいか」
この数を、まともに戦おうとすればまず持たない。
『敗北』。
この場所周辺一帯の機械達がここに集まっているとすれば。
バッテリーも切れた。
魔力量も限界に近い。
それは、もう『絶望』的状態。
「「「「「――――――」」」」」
紅い機械達が、俺を取り囲む。
今まで苦しく戦ってきた、多種の化け物達。……恐らく前よりも強化されている。
こんな状況では、諦めない方がバカだろう。
――『今まで、本当に――ありがとう。ユウスケ』――
……ミアは泣いていた。
作った笑顔の裏にはどんな顔を隠していたのか。
きっとそれは悲しくて、寂しいものだった。
だから──俺は。
俺の『全て』を使ってでも。
そんなミアを、助けたいと思ったんだ。
……だから。
まだ、終われない!
「……『最後の切り札』ってやつかな」
これはピンチだ。これを抜け出すには『あれ』しかない。
成功するかは分からない。
でも、ここでやらなければ――俺は、ミアを救えない。
「……」
練習通り。
目を閉じ、胸に手を当てる。
魔力を放出して、俺の『身体』を感じる。
血の流れ――心臓の鼓動――背中の痛み。
身体全てに意識を張り巡らすように。
――――イメージする。
俺の身体を『モノ』として。
俺の『全て』を、『増幅』させる!!
「――――『
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