金枝を折りて

作者 風羽洸海

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★★★ Excellent!!!

練り込まれた世界観に、魔法と音楽を融合したような謎の古代技術「ウルヴェーユ」。
独自設定の嵐ながら、読んでいて全くストレスがない。
それはストーリーを担う登場人物の持つリアリティー故でしょうか。

権力者にすがらねば生きられない無力な女達、宗教に甘え思考停止する大衆。国を背負い変革のため戦ううち、愛するものを見失う青年。

王位継承争いを巡り繰り広げられる物語の残酷なまでの現実感の中、ウルヴェーユの描写は美しい空想の世界へと意識を誘う。

★★★ Excellent!!!

レビューならぬ、下手な感想文で申し訳ありません。

神の力とされていた力の正体に気づき、国を根底から変えていこうとする少年の物語です。
神とそれを否定するものの物語は色々ありますが、この物語の中には現実にはない「ウルヴェーユ」という力が存在します。宗教モノだと構えずに、ファンタジー小説として楽しめます。

筆力が圧倒的で、雑念なく世界に没頭できる作品です。
主人公のあまりの頑なさと、成し遂げようとしていることの難しさに、読んでいる方も辛くなるのですが、最後の最後の一言で救われるのではないでしょうか。

現在キャッチコピーにされている言葉、
「おぬしは真実、ほんものの神を求めているのだろう」
が、物語の核心なのかなと思います。
この発言者のおかげで、読みながら何度も救われました。

★★★ Excellent!!!

『金枝を折りて』

古代中近東風異世界。王は神のちからを用いて政を行い、器たる王のちからが弱まったとき、次代の王に殺されなければならない。
青年シェイダールは、神託によって父を殺された故に、神を否定して生きていた。その彼が王位継承者候補に選ばれたことで、物語は動き始めます。

神のために人が殺されてしまう世界。非があるのは神なのか、神を騙る人なのか。宗教か、信仰か――。
シェイダールと彼の周囲の人々との、愛憎と思惑を絡めつつ、物語は進みます。

古代人の神に対する感覚を、一気に近代(科学)に近いところまで引き上げるストーリー。共感覚のような音と色と《詞》に関する描写が美しく、時に恐ろしく、迫力があります。
一癖も二癖もある性格の人物を複数登場させ、変化していく心理や人間関係を書き分ける作者さまの筆力は、さすがです。

       **

『夜明けの歌、日没の祈り』――カクヨム初登場です。

『金枝を折りて』から約50年後。地方の町カトナへ、ワシュアールの導師ジェハナが、「征服者」として現れます。若く利発なジェハナと、町の朴訥な祭司タスハが出会います。

征服者と被征服者、ウルヴェーユと神々への信仰を代表するジェハナと、伝統的な信仰を守ろうとするタスハ。

価値観の違い、「神」への信仰と宗教、日常的な問題を解決する技術や合理的な思考というものは、対立的にとらえると、非常に難しい問題になります。フィクションであってさえ、そこを突き詰めて考えれば哲学的になってしまい、答えを出すのは困難ですが――。

二人は、こうした差異を乗り越えて行けるのか。カトナの町の人々はどうなってしまうのか。ウルヴェーユとは?

本編を読んだ方は必読です。期待しております。

★★★ Excellent!!!

最初に断っておくと、ハッピーエンド至上主義のような方にはオススメできません。
でも、「最近のWeb小説って似たり寄ったりじゃない?」なんて思う方には、その固定概念を崩すべく読んで頂きたい逸品です。

一人の少年が、神の名のもとに行われる犠牲、迷信的行為を廃するために王宮に登り、苦労するお話です。
少年が青年になる過程を丁寧に描写されている、成長物語でもあります。
神秘的な色と音の技に、登場人物のみならず読者まで翻弄される物語でもあり、家族や友人、他人との絆の物語でもあります。

読めば読むだけ新たな面が見えます。
ぜひ、あなたも色と音の彩る美しい世界を堪能して下さい。