ー Satori ー

作者 13

131

44人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

SFタッチの超個性的作品群から一転、ここでは現実世界における暗いテーマをとことん掘り下げておられます。しかし13←ひとみ節とでも言うべき畳み掛けるようなスピード感は相変わらずで、難しい題材も時には軽やかに、時には息詰まるほどの重苦しさをもって書き上げていく多彩さは、かつての諸作には見られなかった特徴であり、更なる進化を遂げんとする決意表明のようにも思われます。

新境地に果敢に踏み込んでいくその心意気やよし。進化にして深化、そして神化へと至るマイルストーン的作品です。

★★★ Excellent!!!

夜、繁華街へ出ると、駅前やビルの前、明かりのあるところでダンスを踊る若い集団を目にします。
割と深い時刻です。
彼ら彼女らの家庭環境は? 単にダンスが好きなだけではあるまい、ダンスを好きにならざるを得ない側面もあるし、ダンスが仲間とつないでくれているのかもしれない。
しかし、その仲間が必ずしもいい縁と言えるのか。

彼ら彼女らは目に入りながら、考えないようにしていることの一つでした。
本作は冒頭にノンフィクションとあり、作者のいつもの奇抜な文体や構成は抑えられ、淡々とエピソードが綴られて行きます。

己のワガママから孫の人生を食い物にする祖母、努力はしているのに子の面倒を見られない母、根の悪い子ではないのに環境の劣悪さ故に道を踏み外しかけている少年。
皆んな実際にいてもおかしくない、いや実際に存在する者たちで、彼らを救うために奔走する保護司らも、決して小説にありがちなスーパースターではなく、生身の体温を感じる人間。

人間だから、救う側にも救われる側にも生活であり人生があります。
その両面が描かれていたから、僕は本作のラストを信用できました。

そして、同時に気づくのです。
助けの手が必要な者は老若男女問わずいる。
実を言えば、僕もその一人ではあります。
でも、助けてもらいながら、できることがあるはず。

それは何だろう、と今、考えています。

★★★ Excellent!!!

少年保護司という聞き慣れない仕事を描いたリアルな作品です。

社会の闇の部分を、これでもかと深くえぐった現実の物語です。

時にはその闇に自分もはまりそうになっても、少年を見捨てる事が出来ず奮闘する主人公に好感をもちます。

主人公が、要領よく人生を渡ってきて上から目線で説教するのではなく、自分も失敗しながら、必死で少年が公正する道を探そうと奮闘する姿に感動しました。

この作品で、保護司という仕事が多くの人に認知され、何かを考えるきっかけになる事を期待します。

★★★ Excellent!!!

犯罪や非行に陥った人の更生を担う保護司について書かれた本作。ここでは、若く、幼く、罪の自覚も曖昧な中学生ときちんと向き合うことが如何に大変か、そして如何に大事なことかが書かれています。

Side Aの終盤に出てくる「この子は社会が育てた」の一文。それまで読んできた人なら「なるほど…」と心に響くでしょう。

主人公の仕事への向き合い方に、自分の心もまっすぐになれる作品です。

★★★ Excellent!!!

この物語を読むと、いかに人間は一人では生きて行けないのだということがよくわかり、まさに、そのことが著者様が一番伝えたいメッセージのように思います。
 最初の物語は、どこにもありえることだけに、リアルさが一段とまし、読む人の心に突き刺さります。
 ゆとり世代のかおりが悟り世代の少年を、自分もまだ経験不足な中、自分のゆとり世代の感覚と写し合わせ、何度も少年と向き合い今度は、
ゆとり世代と心を移しあいます。
 そして。次の物語で、いろんなひとに協力してもらってこそなしえていく仕事であることに気づく。そして、読者にそのことを伝えようとしています。
とっても、感動的で、精神バトルが醍醐味でした。

★★★ Excellent!!!

保護司という聞き慣れない職業に興味を持って、読み始めるとあれよあれよと言う間に読み終えてしまいました。
そこにあったのは現代社会が抱える闇や問題。そして闇に捉われる少年や、彼を取り巻く問題に真摯に向き合う保護司の姿に胸を打たれました。
保護司の活躍だけでなく、少年を取り巻く複雑な環境なども深刻な現代社会の問題と密接しているだけに他人事ではないと思う方も居られるかもしれません。
是非読んで下さい。そして人に救いの手を伸ばすという意味の重大さを知って下さい。

★★★ Excellent!!!

保護司という仕事をしてる人を、自分はだいぶん前から尊敬していました。まさかここで出会えるとは思っていませんでした。

少年Aに向き合う事を大切にした香織の真っ直ぐな気持ちがズンと伝わってきました。
そして少年Aの中に眠る少年の純粋な心がどんどん解放されていく。
中学生って本当はまだ全然自分が子供だって頭では思ってる。でも急に大人ぶってみて痛い目を見たり、自立心が暴走して厄介事に巻き込まれたり。
少年Aは子供の頃からすでに大人でなきゃいけなくて、いつも抱えきれないものを抱えていたんだと思う。
この子は社会が育てた。お母さんの言葉が重かったし的をすごく得てると思った。
それから小さい頃、スケッチブックに描いたお父さんのトラック。やっぱり親を子供はすぐ見つけられる。
文章に散りばめられた様々なメッセージ、それに私も勇気を分けてもらった。

★★★ Excellent!!!

保護司、本田香織VS少年A……本作『少年保護司香織 - Satori -』はこの図式で開幕するも、周囲の人々のバックグラウンドや思考に接近していく形でサスペンス的な傾向を持たせることに成功している。作者はひとみ氏。独特の文調と分厚い構成力で知られる人気作家だ。

片方の主人公である少年は非行に走る。作品の構造上、存在そのものが不動の悪役であるはずの彼が次第に更生していく様を終盤点として物語はすすんでゆく……

実は……ひとみ氏は“善悪”を明確化して書きはじめたのではないか、と私は推測していた。ヒットしているだけあってたくさんの応援コメントが寄せられているが、それらに対する氏の返答に断言性が見られたためである。氏自身、周囲の大人たちを辛口に評している反面、少年に対しては同情的であったように思える。社会悪とそれに染まった大人が生み出した被害者としての少年像……前半の人物描写を単純化すれば、その点だけで論ずることもできよう。

だが物語の途中から、その大人たちの立ち位置に正当性が見られるようになる。なぜだろう? ひとみ氏は本作が善悪二元論で語られることを避けたかったのかもしれない。この手の題材は“大人が悪い”、“いや、子供が悪い”という極端論になりがちだが、どちらの言い分を無視しても事の解決には至らないということなのか。作中“答えは少年たちそれぞれであって、顔の形や表情と一緒で、みんなランダムかもしれない”という一文があるが、視点を裏ッ返せば大人たちもそれぞれ、というわけだ。このあたり、氏の思考は極めて深い。

もうひとりの主人公が保護司の香織。普段はレンタルビデオ屋の店員、ボランティアで青少年たちの面倒を見ている。彼女の人物造形は大変面白い。こと難しく自分を日々評価する反面、体育会系にも通じそうな強気発言も見られる。Aのことを気にかけるが、保護司を辞めたいと思うこともしばしば…続きを読む

★★★ Excellent!!!

香織と共に苦しくなりながら読みました。

時には逃げたりもするけれど、結局は戻り向き合う香織。
少年Aからの視点でも細やかに描かれるため、なんとか救ってほしいと終始願わずにはいられませんでした。
少年Aと香織さん達のように、こうして闘っている方々はたくさん見えるのだと思います。
「犯罪」という、目を背けてしまいたい暗いイメージのものでも、犯した本人だけのせいにして自分とは無関係に見ない振りをするのではなく、
なぜ彼はそうなったのか、彼を取り巻いているこの世の中に何か問題は無いのかといった当事者意識を持って向き合うことが大切だと思いました。

★★★ Excellent!!!

保護司は、今ホットな話題だったりします。

昨年6月の刑の一部執行猶予制度が導入されましたので、保護観察を受ける人はこれから増加していくでしょう。

また、保護観察中の刑務所出所者だけでなく、執行猶予判決を受けたり、不起訴になって社会に出たけど、更生する環境が整っていない人たちをどう支援し、再犯を防ぐか、関係機関が一丸となって改革をしている最中です。

本作は、引退後の高齢者が多い保護司としては異色の若い女性保護司が非行中学生を更生させるまでの数年間を描いています。

あまり知られていない世界ですが登場人物の織りなす物語を展開させる過程で保護司のお仕事や課題を説明しています。

保護司というお仕事について何も知らない方も自然と大体の概要が伝わるのではないでしょうか。

私は矯正業界の回し者ではありませんが(笑)、多分、そういう系のお役所が応援してくれそうな印象を本作の特に前半からは受けました。

ラストも美しくまとまっています。


ただ、無粋なことを言うなら、後半は少年の刑事事件の処理過程や微妙な法律手続きなどであれ?と思うところがあったのが、個人的にとても惜しい!
けれども、そういう点は締切までには推敲して訂正するそうなので、期待しています。

★★★ Excellent!!!

どこまでも淡々と善意も悪意も及ばない世界を描かれていると感じられる様は無情で、だからこそ嫌でも圧倒的な現実感を覚えさせられました。
特に善意の人々が翻弄され苦しむシーンは圧巻で、酷く胸の痛みを覚えながらも続きを求めて読み進めさせられてしまいました。
仕事とどう付き合うか、どう生きるべきかを深く悩まされる作品に応援の気持ちを込めて星付けさせて頂きます。

★★★ Excellent!!!


何があっても手を離さずに、目をそらさずに、心から人と向き合うことは、とても難しい。
少年を甘やかすことなく、真摯に見守り続ける香織さんの姿勢が、強く印象に残りました。
問題を起こした少年の複雑な家庭の事情や、香織さん自身の生き方、そして少年保護司が果たす役割。
作品の中で描かれる、そのどれもが鮮烈で、時には胸が痛くなるほどでした。
人を信じることの大切さと難しさが真っ直ぐに伝わってくる、素晴らしい作品です。

★★★ Excellent!!!

なにかとぶっとんだ作品を公開している作者さんですが、今作はかなり、シリアスです。少年Aと少年保護司のやりとりや、心からの叫び、お互いの生活や、ゆずれない思いなどが交錯して、かなりシビアです。

読み終えて、かなり、すっきりしました。香織さんのような大人が、保護司が、一人でも多く存在する世の中になってほしいと、切に願います。

★★★ Excellent!!!

主人公である保護司、そしてその保護司が担当することになった少年Aの心理描写が見事!
まず、リアリティがケタ違いですね。実際にあったことを題材にしているのでしょうか。
一話一話がとにかく濃厚で、読み終わるごとに立ち止まって考えさせられてしまいました。
少年Aを取り巻く大人たちの問題も絡み合い、かなり手ごわい少年の更生。
いったいどのように更生させていくのか。
読み応え、保証します!

★★★ Excellent!!!

決してご都合主義な展開にならず、互いの妥協点を模索するような、生々しく生きるキャラクターたちの姿勢には、とても魅せられました。

少年の抱える葛藤。
それに触れる保護司。

双方が織りなす形容し難い掛け違えは、ともすれば母性とも置き換えられるのかもしれません。保護という言葉が言い得る範囲を、いささか超えた感情を感じ取ったのは、何も私だけではないのしょう。

総じて、とても面白かったです。
読者様、是非ご覧あれ。

★★★ Excellent!!!

感動しました。心から。
自らの甘えと、旧来の仲間との密着の中でもがく少年A。
少年が一度は自分の手から離れても、その後を見守り続けた保護司、香織。
彼女の執念と、信じる力が、やがて少年を闇の中から這い上がらせる。
少年も終盤、「ある人」のメッセージを受け取り、自ら立ち上がることを決意する。
ただのお仕事作品ではありません。
保護司という観点から、いまの日本の社会問題に光を当て、その中で必死に生きる人々のリアルを描く、稀有な作品。
脈動する場面そのものを切り取るような生々しい、心に訴える文体は13←ひとみ様ならでは。
ぜひ、もっとたくさんの人に読んでほしいです!

★★★ Excellent!!!

人のせいにしてきて腐りかけた少年が、仲間と一緒に活路を見いだす。主人公の保護司の一生懸命な対応で、徐々に光を見つけるものの、いけない方向に走り出した。続きがとても気になります。

★★★ Excellent!!!

 これが本当の意味でノンフィクションなら、主人公の前向きさとひたむきさに絶句する。作者が選んだこの題材は重い。しかし、主人公の前向きなキャラクターが、その重さを感じさせずに行動していく。
 少年の心の変化や主人公の心の変化、そして少年を取り巻く人々の状況が変化して物語は進む。一歩一歩、前へ、前へ。

★★★ Excellent!!!

ドラマや映画だと、綺麗に解決してしまいそうだが、実際はそうはゆかない。
嫌な後味が残るでしょうし、誰もが幸せになれない、ということも有り得る。
作品は連載中ですが、登場人物にとって最良のラストを望むばかりです。

作品の主旨とはずれてしまいますが、感じたことがあります。
心のどこかで苦しさを感じても、「助けて」と言えない。もしくは、「助けて」と言いたい自分に気付けていないのではないか。
Aも、祖母も、母親も、きっと……。
と、思ってしまいました。

このレビュー、あまりにも的外れなこと書いてしまったので、お気に召さなければ削除をお願い申し上げます。

★★★ Excellent!!!

読み始めてすぐに、これは面白いと唸ってしまいました。いつもの13←ひとみさんの作風とは少し変わり、淡々と物語は進んでゆきます。例えて言うのなら、静かに渦を巻き始め、段々と飲み込まれてゆく渦潮のような感覚です。気が付けば、物語の渦に巻き込まれて続きを夢中で読んでいました。とにかく面白い。これから少年がどうなってゆくのか、とても気になりました。そして、主人公である女性の人生もです。ぜひ完結まで読みたい作品です。

★★★ Excellent!!!

 物語から、作者様の叫びに似た現実が発せられています。
それぞれ持つ現実を、無二のものとして押しつけあう家族を、第三者より遠い目線から、確実に更生へ導こうとするかおりさん。
 世代や生き方の違い。危うい現実と夢を混ぜ合わせる少年の行方。何より、かおりさんが心から抱きしめる家族の行方。
見放されそうな少年達が持つ、心に絡みついた糸を、少しずつ、確実にほどく保護司のお仕事。
 更新をお待ちしております。
 

★★★ Excellent!!!

ミステリー小説化のように、推理小説かのように思わずかじりついてしまう、探偵ではなく、保護観察司と少年の更生するまでの努力の物語。
少年の心は複雑で、まるで迷路のようにややこしい、それをこの時代に珍しい、若い女性が、一つ一つ解決してゆく。
現代社会の問題をあぶりだすように、保護司の高齢化や、現役世代の保護司の時間を作る難しさ。
昭和の価値観と現代の価値観のなじれ、それが、見えてくる。楽しみの作品。皆さんも、ぜひ読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

第8話までのレビューです。
作者のこれまでの作風は奔放なイマジネーションをたたきつけるようなSFが多かったと思います。ですが今回はリアルにこだわった、魂をえぐるような物語を紡ぎだしています。
それはコンテストのテーマに沿っての事でしょうが、この物語はそれ以上に惹きつけるものがあります。簡単に言えば不良少年を更生させる、若い保護観察司の女性の話なのですが、そこに描かれる光景にはなんとも言えないリアルとやるせなさがあります。
読んでいてなんとも心がざわつくというか、ささくれている感覚があります。それを何とかしようと奮闘する主人公の想い、現状の生活でもがいている観察される側の少年の心と環境、そういった思いが濃密で臨場感たっぷりに語られています。
文章も読みやすく、構成にも仕掛けがあり、物語としてとても読み応えのあるものとなっております。
まだ連載中のこの作品、ぜひ今から読んでみていただきたい作品です。

★★★ Excellent!!!

物語に没入します。
少年保護観察司を題材にした物語。
現在投稿されている箇所までのレビューとなります。

主人公はタイトル通りのお仕事で、
少年達の気持ちに真摯にぶつかっていきます。
主人公がそういう生き方を選んだ経緯に
意外と重いものが隠されていますが、それでも構成力の
上手さでスラスラ読めます。

こういった『青少年の心VS大人』の物語は
非常に精神世界の描写が難しく、誰もが避けて通りたい
題材だと思いますが、あえてそれを選んだ作者様の
決断と勇気を素直に賞賛致します!

物語の今後が楽しみです。
皆様もぜに、一読されてはいかがでしょうか。