第7話食事

出っ歯は、空いてる席に座って僕にも座れと促した。

 

プラスチックの椅子を引いて僕は座った。


椅子に座るのも嫌悪を感じた。座ったら壊れそうだった。


「自分、何が食べたい?」


「あまり食欲が無い。」


二人は沈黙した。


「自分、誰を殺したんや?」


「妻の浮気相手。」


出っ歯は、食べてもいないのに爪楊枝を黄色に近い歯の間にさしてしーしー言った。


「それで、全裸に血だらけか?」

「うん。」


「今頃、警察がお前を死に物狂いで探してるわな。」


「だから、自首を。」


「くだらんわ、男やろ?逃げ切れや。」


出っ歯は、爪楊枝を、投げ捨てた。


そういう訳にはいかない。 

僕は、刑事に恫喝されて萎縮して自白するんだ。


全てあった事、自分がしたことを…。


「夢でも見たと思えば忘れられるやん。」

 

夢では、真実にたどり着けない。






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