56.

 耳鳴りがひどい。

 小雨がぴたぴたと降りしきる音や、女神の祭に伴う騒がしさを抜けて、嫌に高い響きが頭蓋を満たしている。体外かそれとも体内より出でた事象であるのか、エザレイ・ロゥンには判断がつかなかった。

「どうぞ」

 正面に、大きな皿を持った女が現れた。何かの肉切れを配っているらしい。笑顔で皿を差し出されては、一枚だけでも手にせずにはいられない。

 口に運ぶと、芳香がツンと広がった。燻製だ。

 実に味わい深いそれを咀嚼している際に、電流のような悪寒が背筋を走った。

 この肉の旨みに覚えがある。それに留まらず、籠から花びらを散らして走る子供たちの姿や、「燻製たまごどうぞー」と人込みの中から声を張る少年や、平和と豊穣への感謝を込めた合唱にも、覚えがあった。

 かつて一度は見た景色だ、と潜在的に彼は感じ取った。

 ――あの時に傍で笑っていた人物は、もう居ない。たぶん、どこにも――

 彼の中ではその事実に疑う余地など無かった。

 ごくん、とエザレイは肉切れを飲み込んだ。

「すごく美味しいですね。何の肉でしょうか」

 後ろに立っていた小柄な少女が、指先に付いた肉汁を舐めている。彼女の左右に立つ二人の若い男がそれぞれ、「わからん」「なんだろうねー」と答える。

「ロゥンさんにはわかりますか?」

「……エザレイでいい。地域の野生大型肉食獣だろ」

 深く考えずに彼は答えを提示する。

 突然、ハッとなった。サエドラの町で振舞われる燻製の施された食物の数々。その大部分を占めるのは、謎の四足歩行動物。町の中でそのような生き物は見ないし、外れの森に行ってもちらりとも姿を目にしたことは無い。最近の経験でも、過去の記憶の中でも、皆無だ。

 それには何か特別な意味があったはずだ。だがどうにも、半端な具合でしか思い出せない。

 エザレイは最後尾を歩く女を目の端で認めた。紅褐色であったはずの長い髪を黒い染め粉で隠している。

 助言したのは自分だ。赤い髪はサエドラ付近では厭われるはずだから誤魔化した方が良い、と。女の保護者か何かであるらしい銀髪の青年は理由を求めたが、よく憶えていないの一点張りで通した。そうして当人は垂れ気味の黒い瞳を瞬かせて、従ってくれた。

 実は自分も以前は赤茶色の髪だったのである。最初に会った日に、カタリアはスターアニスの種のようだと言った――

 どういう風に厭われるのか、原因は何なのかまでは思い出せないが、間違いなく毛嫌いされている、それだけはわかっていた。

 そして何故か、この者たちには濁してしまった。

「大型肉食獣……では奥の森が立ち入り禁止なのって……」

 血の気の失せた顔で聖女ミスリアが呟く。森が区切られているのは、臣民を獰猛な肉食獣から守る為だとでも推測したのだろう。

「立ち入り禁止なのはそんな親切な理由じゃないと思うなー。ね、兄さん」

「行けばわかる」

 腹違いの兄弟らしい二人の青年のやり取りを、エザレイは横目で眺めた。目を合わせないように、一瞬だけだ。

 一見まるで性格の似ない兄弟だが、上辺ではどれほど社交的に振る舞っていようがいまいが、根っこのところで疑り深く人を観察している点では同じだ。

 素直で人の好い聖女が狂った世の中を生き延びるには、きっとこういう護衛が傍に居るべきなのだろう。

「行けばわかる、か。そうだな。どの道、夜が更けたら行くんだ」

 エザレイは立ち止まって言った。周りの町人に音が漏れないよう、小声で。

 言葉を形にすると、心臓に鉛が落とされたみたいに感じた。気が重い。ちっとも耳鳴りが収まらないというのに、「奥の森」のことを考えると、ますます苦しかった。

 女神への讃美歌の合唱がふいに止んで、歓声に変わった。

 視界一杯にごうっと色とりどりの花びらが舞う。息をすれば吸い込んでしまいそうだ。実際、何枚かが歯にくっついた。

 それを剥がしている内に、隣に聖女ミスリアが立った。

「あの、エザレイさん。訊いてもいいですか」

「なんだ」

「そのリボンは、大切なものなんですか? 折りを見ては丁寧に洗ってますよね」

 大きな茶色の瞳が、エザレイの腰に集中していた。正確にはメイスの柄に結びつけてある灰色のリボンに、だ。

「ああ、これは――」

 答えかけて、一瞬だけ戸惑う。質問自体にではなく、ほぼ抵抗なく答えようとしている己にである。

 かつての自分はもっと嫌々と他人と会話していた気がする。訊かれたことに答えるまでに、やたらと逡巡していたはずだ。

 ――人格は統合されたのであって、完全な回帰をしたのではない。

 そう考えると、納得した。いわゆる霧の中を彷徨っていた数年とて、確かに自分は生きていたのだ。その間に作られた「シュエギ」という在り様は、消えたのではない。

 吸収されたのだ。

 答えようとして、変な嗚咽が喉から漏れた。音にするなら「るっ」とでも発したのだろうか。聖女ミスリアが不思議そうな顔をした。

「……っ、悪いな。大事なものだった気はするけど、よく思い出せない」

 言い直した。

 常に持ち歩いている、否、手放そうとすると指先から激しい震えが始まるくらいには大切らしい。懐に仕舞って持ち歩けばいいものの、視界に入っていないと落ち着かない。それゆえにリボンは繰り返し汚され、エザレイは手間を取って繰り返し洗う羽目になる。

「女性ものに見えますね」

「女が着けるには色が渋す――」

 頭痛がした。

 息切れに、エザレイは不自然に言葉を切った。これも覚えがある。舌が、台詞を憶えている。

「だ、大丈夫ですか? 無理に思い出そうとしないで下さい」

 隣の少女が泣きそうな顔で心配している。それがあまりに興味深いからか、つい苦しさを忘れられた。

「カタリアの妹、優しいところはあいつと一緒だな。あんたら姉妹からは、春の日差しみたいな匂いがする」

「そ、そうでしょうか」

 聖女ミスリアは照れたように片手で耳を撫でた。

「故郷も、常春なんだったか」

「はい。ファイヌィ列島は、年中ぬくぬくしたところです。草木がよく茂って、虫や花や魚も、いつも元気そうでした」

「よく、発つ気になったな」

 ――楽園のような島国。愛する家族や見知った隣人と、老いるまで共に、ただ平穏に生きればよかったものの。

 安穏とした未来を敢えて捨てて、険しい人生を選んだのは何故か。

「それはですね……」

 聖女ミスリアは懐かしむように目を細めた。

(そうか、俺は前にも同じことを)

 背筋が既視感にぞわっとした。まるで学習しない、愚か者。

 記憶が無いのは仕方のないこととはいえ、ここまで来れば呆れる。雪の中に作った自分の足跡を、同じ場所を踏んで通るようなものだ。二度目では初回のような感動は無く、前よりも深く雪に沈み込み、進むのが難しい。

 ――カタリア・ノイラートには、生まれ付いて聖者となりうる素質があった。

 それを知り、世界の危機を知った彼女は居てもたっても居られなくなり、大陸に出ることにした。きっと、妹も同じような経緯で――

「私がお姉さまに憧れてたからです」

 思考に割り込む少女の声は清廉そのものだった。エザレイは思わず瞠目した。想像していた回答とは違ったからだ。

「憧れ、同じ道を辿ろうとして、その中で私は自らの進みたい方向を見つけられました。故郷が恋しいとは思いますけれど、大陸に来てから出会った人々、得られた経験は……どんなに恐ろしくて悲しいものでも、全部私の宝物です」

 刹那、再び花びらの嵐が視界を遮る。

 小さな聖女に見惚れた僅かな数秒。エザレイ・ロゥンの中に芽生えたのは、一筋の薄暗い感情だった。だけど、それだけでは決してないはずだ。同情のような想いも、芽生えていたはずだ。

 そう、自分に言い聞かせた。

「……カタリアの妹。あんたらは、ちゃんとわかっているのか」

 エザレイの視線は、連れの者たちを巡っていった。向こうで町娘と雑談しているらしい派手な銀髪の男とその相方の女。それから、聖女ミスリアの背後で黙々と肉片を口に放り込む長身の青年。

 無表情の青年と目が合った。底なし沼のように黒い瞳に、得体の知れない寒気を覚える。

「わかっているって、何をですか?」

「聖獣を蘇らせた後のことだ。偉業を果たした聖人聖女は、生きながら祭り上げられるんだ」

「そうですね。とても大事に、何一つ不自由なく、待遇の良い一生を約束させられると聞きました」

「いつだ」

「はい?」

 エザレイの問いかけの意味がわからずに、聖女ミスリアは小首を傾げた。

「あんたがその話を聞いたのは、いつだった」

「えっと、まだ聖女になる為の研修をしていた頃だと思います」

 予想通りの返答に、エザレイはため息をついた。

 彼女はやはりわかっていない。これ以上言葉を重ねるのは酷かもしれないとわかっていながら、止められなかった。

「じゃあもっとよく考えてみろ。祭り上げられるってのはどういうことだったか。修道司祭みたいに、外界には簡単に降りられなくなるんだ。血の繋がった両親だろうと妹だろうと滅多に会えない。カタリアはそのことを気にしていた――俺はそう憶えている」

「お姉さまが……」

「旅に出る前なら、まだ重く捉えてなかったんだろうな。大聖者は、教皇や枢機卿とはまた違う。どれほど近しい間柄でも、聖職者でないなら年に何度と会えなくなるぞ。たとえ苦楽を共にした護衛だろうとな」

 そこで、終始無言で咀嚼をしていただけの青年がぴたりと動きを止めた。嚥下に、喉仏がごくりと上下する。

「そう、ですね。せっかく仲良くなれたのに……皆さんには会えなく、なります、ね」

 聖女ミスリアは小さな舌で唇を湿らせて、ぎこちなく答える。茶色の双眸は、ついぞ一度も黒髪の青年の方を振り返らなかった。

 哀れだと思った。が、早めに理解すれば傷の治りも早まるものだ。

 苦労して作り上げたつもりの居場所が、その実、砂上の城だと。

 ――自分には、遅すぎた――

 気まずい空気が流れた。周囲がお祭り気分であるだけに、三人を囲う空間だけが湿っているのはどうにも滑稽であった。

 残る二人の帰還で、その空気が壊された。

「情報開示のお時間だよー。森にはこわーい熊さんが住んでるんだってさ。良い子のみなさんは行っちゃだめだよ」

 銀髪の青年が何気なく南の共通語で話した。ここ一帯では北の共通語の方が重点的に使われており、南のを解する者が少ない。会話の内容を盗み聞かれる可能性は低い。

「く、熊ですか」

 聖女ミスリアがびくりと怯んだ。

「でね、聖地のことはよくわからなかったよ。それ自体が森の向こうにあるのか森の中にあるのか。町民の演技じゃなくて、本当に知らない感じ。訊ねる相手を老若男女バラバラに五人選んでみたけど、誰もはっきりとは知らなかった」

 話しながらも青年の切れ長な眼が、鮮やかな緑色の瞳が、サッとこちらを一瞥した。

 他に有益な情報を持っていないのか、と責められているようだ。エザレイは曖昧に唇を斜に曲げた。

 頑張って思い出そうとすれば何かしら沸き出て来そうな気がしないでもない。単に、やりたくないという気持ちが追憶を妨害していた。

 動機は不明だ。彼らに非があるわけではない。

 喉の奥に石が詰まっているとでも言うのか、妙な息苦しさがあった。

 それにしても耳鳴りがひどい。

 激烈な高音。鋭く、大気を突き刺すような。嫌な音だ。あらゆる神経がざわざわと不快感を訴えてくる。

(うるさい。うるさい、止めろ)

 雨を吸って重くなってきた己の前髪を乱暴に引っ掴む。

(おまえら、―――ねよ――)

 思考の結び目が引き締まらず、まともな糸を紡げない。

 固く瞼を閉ざすと、暗闇の中に朱が弾けた。


_______


 ――追いつかれる――!

 走るのが困難な状況で、濡れた足場に足をもつれさせながらも、スカートの裾を踏み破いてしまいながらも、ただ走った。

 一心不乱に走った。けれど元々あまり運動能力を鍛えて来なかった彼女は、全身で息をしていた。嗚咽のような呼吸をしつつ、腰を折り曲げて立ち止まる。仲間たちを振り返った。他の三人とは意外に距離が開いていた。

 いつもなら必ず先頭を走りたがるディアクラ・ハリドが脚を負傷し、意識を手放しかけている。それゆえに彼はイリュサとエザレイにそれぞれ肩から支えられていた。エザレイの現在使われていない方の腕からは、夥しい量の鮮血が滴っていた。

 カタリア・ノイラートは身を隠せる場所を探した。目と鼻の先にちょうどいい場所を見つけ、仲間たちの傍に駆け戻り、今度は歩を揃えた。

 一行はひとまずは倒れた巨木の下に入って、息を潜めた。低いがそれなりに広い隙間であり、何より雨を凌げるのは有り難い。

 それでも、このままでは追っ手に見つかるのは時間の問題だ。取るべき対策は一つだった。

「治させて下さい!」

 負傷した両名に、カタリアはどちらともなく呼びかけた。

 先に応じたのはスターアニスの種と同じ色の髪をした青年だった。ただでさえ苦渋に歪んでいた表情が、更に渋くなった。

「ディアクラの方が重傷だ、多分骨が砕けてる。俺は後回しでいい」

「でもその血の量も深刻では……」

「カタリア、あんたはもう限界じゃないのか。あと一回聖気を使えば昏睡する。どっちかしか治せないなら、わかるだろ! 腕と脚じゃあ優先すべきは明らかに脚の方」

「正論ですわね。かと言って、それも放って置いていい怪我ではありませんわ」

 イリュサが口を挟んだ。エザレイはその指摘に対する答えを即座に出した。

「ああ。だから、お前が縫ってくれ」

 それを聞いたカタリアは思わず息を呑んだ。

「……本気ですか、エザレイ・ロゥン」

 話を振られたイリュサ・ハリド本人も、目を大きく見開く。

「本気じゃなきゃこんなこと頼めるかよ。道具は持ってるんだろ」

 問いを返され、イリュサはしばしの間沈黙した。

 理に適っている、その点は認めざるをえない。聖気で治してもディアクラがすぐに動けるようになるとは限らないし、直後にカタリアが動けなくなって、結局は全体の機動力の回復には多少なりとも時間がかかる。その間、深く切り裂かれたエザレイの腕の傷は、悪化する一方だろう。

 それも本人では処置しにくいような上腕の裏側から後ろ肩を回っている。

「…………見くびらないで。道具と技量ならありますわ、兄さまの手当てで慣れてますもの。今のわたしの手元に無いのは、麻酔だけです」

「上等だ。二人で乗っかって押さえつけてくれ。それとカタリア、俺が叫ばないようにこの手ぬぐいを」

 結んでくれよ、と一枚の布を差し出した彼の顔色は、彼女の目には青紫色に映った。

 手ぬぐいの硬めの肌触りを掌に感じ、遅れてカタリアは指を布に巻き付けた。ただの布をこんなに重く感じるなんて――これが最善の選択なのか、幾度となく自問した。

 何か言わなきゃ。別の提案をしなきゃ。時間に余裕があったなら、或いは他の作戦に辿り着けたかもしれない。そう思っても声は出ず、手のみが勝手に動いていた。

(代わってあげたい)

 いつも痛い想いを、苦しい想いをするのは彼らであって自分ではない。申し訳ない気持ちで一杯になったが、絶対に泣いてはいけない、とカタリアは呪文みたく脳内で繰り返した。

 手ぬぐいをエザレイに噛ませた。

 震える手で、端と端を後頭部にて寄せる。革の髪紐によって束ねられた、毛先に多少クセのある赤茶色の髪の下で。解けないように、しっかりと猿ぐつわ代わりの布を結んでやった。

 次にエザレイはイリュサの手助けを得て袖から赤く染まったシャツを脱ぎ、泥の上に敷いた。それを寝床にしてうつ伏せになる。両手の指は、どっぷりと泥の中に食い込ませて。

 応急処置として巻かれていた包帯を解いて、イリュサは縫合に使う道具を準備している。その間カタリアは、火傷に覆われた背中の上に膝立ちになった。これは確か彼が家族と死に別れた火事の際に負った、古傷であったはずだ。

 ――二人も乗っていては流石に重くないだろうか、骨が軋んではいないだろうか。

 行き場の無い迷いばかりが募った。

 一方、イリュサはハサミと糸と針を手にする。患部をサッと確認し、エザレイが暴れるのを見越して、前腕を片膝で押さえつけた。

「では、手早く済ませます。それだけは約束できましてよ」

 イリュサの宣言に、当然ながら返事は無かった。

 針の煌めきが目に入る。カタリアの胸内で恐怖が膨れ上がったのも束の間、煌めきは躊躇なく動いた。

「――――――っ!」

 くぐもった叫びが漏れた。同時に、膝の下で押さえつけたはずの四肢が激しくのたうった。

「ひっ」

 つられて悲鳴を上げてしまいそうなのを、なんとかして飲み込む。

 想像を絶する力だった。組み敷いた身体が発する痙攣によってカタリアはバランスを崩しかける。支えを求めて手を突き出し、土を掴んだ。

 苦鳴は尚も続いている。

(早く、早く終われ。おねがい。早く終わって)

 実際その時間はイリュサが約束した通り、短かったはずだった。ことの最中では、果てしなく長く感じられただけだ。

 噎せ返るような血の臭いで、頭がくらくらした。目元が滲んで視界が歪む。カタリアは奥歯を食いしばった。


『あんた一人じゃ心もとないから、連合拠点まで案内してやるよ』

『よろしくしなくていい』


 初めて出会った日の記憶が、何故か耳元に蘇った。

(ごめんなさい。ごめんなさいエザレイ。私が誘ったから)

 激痛に抗い続ける肉体を見下ろし、思う。どうして、代わってやれないのか。

 大した力も持たない右手で、彼の肩を精一杯押さえた。力を込めれば込めるほどに痛い。

 手も、心も――

 ――遥か遠くから、獣の咆哮と指笛のような音が響いた。


_______


 ふわりと身体が軽くなったと同時に、雷鳴が轟いた。閃光が大空を照らしたものの、雨は降っていない。

 引きつつある夢心地に驚き、浅い呼吸が彼女の唇から漏れた。

 宵闇の中に浮かんだ三つの人影は、馴染みのあるものだ。最も近くに立っているのは、大剣を背負った黒ずくめの青年。際立った長身や濃い肌色と物静かな雰囲気などが印象的で、喋っていなくても大木のような存在感をたたえる人物である。

「どうした」

 低く通る声が鼓膜を打った。ミスリアにとっては安心を誘う声である。やっと地に足が付いた心地になって、彼女は旅の護衛であるゲズゥ・スディルに笑いかけた。

「あの……私どのくらいぼーっとしてましたか」

「えー、二十秒くらいじゃない? 何かあったの」

 答えたのは二番目に近くに居た、こちらもそれなりに長身の男性。ゲズゥの母親違いの弟であるため骨格や目元などに似通った箇所はあるものの、兄とは真逆に、徹底して色鮮やかで華やかな印象を放っている。イマリナ=タユスの町で出会い、旅の道連れとなった、リーデン・ユラスという名の銀髪の青年である。

 彼の隣に控える三つ目の人影は、その町と名を同じくする、イマリナと呼ばれる女性。紅褐色の髪をいつも三つ編みにしてまとめているのだが、わけあって今は染め粉で色を変えて、念の為にフードの下に隠している。

「たったの、二十秒……」

 誰にも聴こえないように呟く。

 ミスリアは両手を見下ろし、そのまま視線を下へと落として、膝や足元までを眺めた。

 肌や神経に残る感触はやけに真実味を帯びていた。それに加えて、深い悲しみと後悔が未だに心臓を締め付ける。

(何だったの――)

 白昼夢だとして、とても二十秒で見るような夢とは思えない。

(この人たちこそが、私の仲間)

 改めて傍らの居る人間を見回した。お揃いのヘアバンドとヘッドバンドを身に着けた兄妹は居ないし、ましてや腕から血を滴らせる青年も居ない。

 どうしてか我が身に起きた出来事のように、おかしな名残がある。しかし一秒経つごとに認識が己の中にしっくりと沈み込んだ。あれは、自分の記憶ではない。

 まさか姉の過去を妄想したのだろうか。

(なんか、納得行かない)

 こんなにも鮮烈な妄想ができるだろうか、自分に。聞いた話だけで?

 ふと舌に、か細い物が絡まったような違和感があった。

 疑問符を飛ばす仲間たちが見守る中、ミスリアは人差し指と親指を口に含んで探ってみる。

「んっ」

 指に何かが引っかかった。唾液に絡まって、灰色の糸が出て来た。

 途端に、数分前の出来事が脳裏に蘇った。

 リボンの糸がほつれてますよ――前を歩く彼にそう声をかけたのは、ミスリアだった。

 噛み切ってくれ、とエザレイは無機質に応じた。

 何もおかしな話ではなかった。服などからほつれた糸を手っ取り早く噛み切るのは日常の中でよくやることだ。だからその時も、ミスリアは深く考えずにグレイヴの柄に結ばれた灰色のリボンに手を伸ばしたのだった。

 糸を歯に引っ掛けた先から何があったのか、よく思い出せない。

 とりあえず件の糸に注目する。古びて汚れていて、ところどころ色が違っていた。灰色でないところは、敢えて言うなら灰銀色である。元の色が日に焼けて褪せたか、汚れを吸って濃くなってしまったのか。

(もしかして、残留思念)

 白昼夢に出た青年は、ミスリアの知る「エザレイ・ロゥン」とは人物像が異なっていた。面影は濃かったものの、今よりもいくらか若々しく、生命力に溢れた顔つきだった。髪色も一致しない。けれど背中を覆い尽くす火傷の痕を思えば、同一人物で間違いないのではないか。

 他の二人についても、彼らに関する記述は姉カタリアの報告書にあったものの、詳細な外見描写までは書かれていなかった。

(リボンに付着した、お姉さまの――――未練の欠片)

 糸一本でこれでは、リボンそのものを検証したらどうなるのか。広がる未知の可能性に、震えた。

「あのっ、エザレイさんは何処に!?」

 いつの間にかその姿が消えていたことに、やっとのこと気付く。すると護衛たちは顔を見合わせた。

「音が気になるから調べに行くって、走ってっちゃったよ。でも変だよね」

 リーデンがゲズゥに目配せする。それを受けて、ゲズゥが小さく頷いた。

「何も聴こえなかった」

「そうなんだよ。僕も兄さんも結構な地獄耳なのに、何も音なんてしなかったよ。引き止める暇もなく疾走しちゃった」

「え……」

 リーデンが指差した丘の向こうへと目を凝らすも、森が佇むだけだった。後は町の方から流れてくる祭の音楽や歌が微かにするくらいで、おかしな音なんてしない。

「戻って来ます……よね?」

「う~ん、あんまり期待しない方がいいんじゃないか――」

 な、とまで言って、リーデンは素早く首を巡らせた。

 どうしたんですか、とミスリアは訊こうとする。しかし言葉が喉から滑り出るより先に腹部が圧迫され、未然に息を吐かされた。

 瞬く間に視界は一転し、地面ばかりとなっていた。

 愕然としたのは一瞬。すぐに状況が飲み込めた。担ぎ上げてくれた肩を掴んで、振り返る。

「敵襲ですか!?」

「……ああ。問題は、数」

 ぐっと眉間に皺を寄せたゲズゥが答えた。

「奥の森に向かう途中で邪魔されることは予想の範囲内だったけど、これは予想以上のお出迎えだね」

 呆れたようにリーデンが言った。

 町へと戻る坂の下から、じわじわと迫る松明の灯り。森へと続く丘の方からは、馬の蹄と――笛の音?

 極め付けは胸に生じた冷ややかな手応え。つまり、魔物の気配が、近い。その予感を裏付けるのか否か、獣の咆哮が横手の木々の間から轟いた。

「最悪の事態だと思って臨もうか。その方が油断しないし」

「同感だ」

「一に魔物、二に森の住民、三に町民、四に熊。森と町の住民がグルで、魔物と熊を飼い慣らして使役してる、ってのがサイアクの事態かな」

 町人たちは、祭の最中でありながらこっそりと抜け出す自分たちの姿を見咎めて不審に思ったかもしれない。

 森の住民は――熊の縄張りに人が居たのは意外だけれど――踏み込んだ自分たちを敵視しても仕方ない。

 猛獣と魔物は言わずもがな。

 それぞれの勢力が襲って来ることは想像に難くなかったとはいえ、よもやこうして一斉に矛を向けてくるとは思わなかったのだ。リーデンの言葉に誘導されて、忽ち恐ろしい絵図が頭の中に出来上がる。

「さて問題は『五』に僕らが連れ回していた泡沫のオニーサン、もといエザレイ・ロゥンまでもが、グルだったのかなぁってとこ」

「そんなっ! ありえません! 違います、彼は」

 森の民と町の人々と馴れ合うはずが無い!

 ミスリアは反射的に抗議した。何せ彼は厭われた赤い髪の持ち主で、そのことをちゃんと教えてくれた――

(……――どうして、エザレイさんは赤い髪が嫌われることを知っていたの)

 出会って日の浅い人間の何がわかるかなんて、たかが知れている。それでも信じたい、信じなければならない。

(あの人は私たちを貶めたりしない)

 自発的に彼が此処に来ようとしたのではなく、サエドラに行こうと誘ったのはこちらだ。などといくら疑念をどこかへ押しやろうとしても、引っかかりは拭い去れない。

「まあどっちでもいいよね。まずはこのピンチを切り抜けないと」

 気遣ってくれたのか、リーデンが話を畳んだ。

 既に護衛らは行動に移っていた。どうやら、進むべき方向を「前」と定めたらしい。

 町はもう安全ではないだろうし、目的にかすりもしないで逃げるよりは目的地に向かって逃げるのが得策だと、ミスリアも思う。

 気がかりなのは――魔物の気配がそちらに近付くに連れて強くなっていることだ。

 住民が魔物を使役している?

 不安が、渦となって胸の内を占めていった。

 疎らに上って来る松明の群れがどんどん小さくなっていく。

 ミスリアが身体を捻って森の民の方を振り返ると、横一列に並ぶ馬上の人影が奇観を呈していた。こちらからは横一列に見えてしまうだけで、実際は特攻に適した陣形かもしれない。例えば、V字型陣形。

 口笛のような音の応酬があった。中央付近の人が吹けば、列の左端右端がそれぞれ応答する。

 夜盗と思しき者たちに襲われたあの夜と、どことなく状況が似ている。彼らはありきたりな夜盗ではなかったのだと、察するほかない。

 列の横幅は二十人程度。

(こんなの、抜けられるの)

 焦ったところで自分にはどうしようもない。仲間たちを信じて、掴まる腕に力を込めた。

 稲妻が再び周囲を明るく照らす。瞬間、すぐ後ろを走る二人の姿が目に入った。まるで照らし合わせたかのように二人は足を止め、左右に跳んだ。銀髪の青年の指の間から、直径十インチ(約20.5cm)ほどの特大の鉄輪が飛び立つ。同様に、イマリナも何かの凶器を続けざまに投擲した。

「ぐあっ!」

 ミスリアにとっての背後から、呻き声が幾つか上がる。

「まだ通り抜ける隙間が無い、ね!」

 言っている傍からリーデンはまた何かを投げ飛ばしている。そのいくらか切迫した叫びに、別の声が重なった。

「下ろすぞ」

「え!?」

 すかさず落とされた。尻餅をついた姿勢から地面に両手をつき、這うようにして前後反転した。

 するとミスリアを庇い、立ちはだかるゲズゥの全身がよく見えた。何故よく見えたのかと言うと、光源があったからだ。頭上高く跳んで顎から唾を垂らす、異形の巨体が――

「きゃあっ」

 呪いのような青白いゆらめきを網膜に焼き付けたまま、ミスリアは地に伏せた。衝突の余波が髪を乱すのを感じる。

 舌打ちが聴こえた。顔を上げれば、巨大な狼に似た影に圧されるゲズゥの姿を認めた。狼の大きな顎は、長身の青年のそれとちょうど同じ高さに位置していた。彼に襲いかかろうとした牙は全く噛み合っていない。

 斜めの角度で挿し挟まれた剣の刃が、ギリギリと牙と擦れる。

 濁った色の唾液が、汚臭を放ちながら刀身を伝っていく。

 森の住民たちの居る方から、場に不似合いな音が上がった。拍手喝采、歓声、手拍子。狼に似た魔物はまるでその声を応援としたかのように、激しく頭を振り始めた。

 迫りくる馬蹄の勢いが落ちている。列が少し開けた。けれどもそれは求めていた好機ではなく。

 ――また狼が現れた!

 こうしてはいられない。ミスリアは、聖女である己にしかできない戦い方をした。

 聖気の流れを作り出し、一直線に伸びるよう制御して、新手の魔物に集中させる。狙う先は――頭蓋。がくがくと震える手でも楽に当てられる、大きな的であった。

 ぼ、と余韻すら残さない短い効果音と銀色の素粒子の発散が、試みの成功を報せてくれる。胴体だけとなった異形は、それでも俊敏に駆け寄ってくる。迎え撃ったのはチャクラムの連撃。魔物の前足は切断され、元の半分の長さになった。巨体はついにくずおれた。

(もう一体は!?)

 確かめようと視界を探るも、そちらは危機ではなくなっていた。魔物はゲズゥの剣先によって容赦なく分解されつつある。

 だがもう、騎乗した軍団が攻撃の有効範囲までに到達している。端の人影が斧を振り上げて投擲しようとしている。落雷によって、その姿はひどく鮮明に目に映った。

「――!」

 庇ってくれたのはイマリナだった。肩から抱き寄せられ、頭を押さえ付けられる。

 かろうじて片目からの視界はまだ活きていた。

 怖いもの見たさだろうか。ミスリアの視線は筋骨隆々とした男性の輪郭に釘付けになった。

 息を呑んだ。

 次の瞬間、輪郭が激変した。

(……な)

 人の首とは、あんな風に回転して放物線を描くものだったかしら。あんな風に宙を飛んで地面に転がっていいものだったかしら。衝撃のあまりに、思考回路が追いつかない。

 斧を片手で振り上げたまま、首を失った身体がゆっくりと前倒れになる。

 列が崩れた。リーデンたちが仕掛けていた攻撃で倒れた人たちとは異なり、死角から起こっている別の何かによって倒れていっている。人も、馬も。

 彼らが慌てて振り返る間にも、次々と数が減った。鉄が鉄を打ち、肉が裂かれ、そして――

「死ね。おまえら、全員死ねよ」

 聞き覚えのある声が呪詛のように吐く。

 それに対する森の民の反応が、印象深かった。

「こやつ、まさか!」

「この手口!」

「あの時の奴ではないかっ」

「間違いない、赤い悪魔……!」

 絶望と怨嗟の言葉に被せるように、一頭の馬が最期の嘶きを上げる。

 唐突に理解した。

 赤い髪が厭われる原因こそが、エザレイその人なのか――

 唖然としていても時間は止まってくれない。

 予期せぬ変化に対処できる迅速さは、いつだってゲズゥたちの方が上だ。天秤がこちらに傾き始めたことを感じ取った護衛らは、突風が如く敵を薙ぎ倒している男を援護した。

 イマリナに放された後、ミスリアのすべきことは避難だった。這い上がって、走った。

 雨滴あましただりが降りしきる。

 乱戦に振動していた丘は、徐々に落ち着きを取り戻してゆく。

 ふいに、稲妻が天上を駆けた。地上に広がる惨状に目を向けようとして――木陰からはみ出る平べったく長い物に気付いた。まさしく、白髪の男性が常に武器の柄に結び付けているリボンの片割れである。

(あんなに大事にしてるのに)

 これが外れて落ちてしまったことに気付かないほどに我を忘れている。

(どうして。やめて、酷いことしないで)

 呼びかける声を形にできずに、空しく口を開閉させる。喉がカラカラに渇いていた。

 何度も何度も繰り返される短い「死ね」の一言が、聞くに堪えない。顔は見えないけれど、この日までに見せてきたどの変貌よりも今の彼は恐ろしい。地に倒れた敵の息の根を止めに戻る入念さに、ミスリアは慄いた。

 どうすればいいのかわからず、リボンに向かって手を伸ばす。濡れた土からそっとそれをかき上げた。

 今回は、突然意識が遠くに飛ぶなんてことは起こらなかった。

(お姉さま……貴女がここに居たなら、どうしたかな……)

 左の掌にリボンをのせ、右手の指でそっと表面をなぞり。すぐに指を止めた。

 微かな凹凸を感じる。

(本体と同じ色の糸で刺繍が施されてる?)

 そのように連想して、先端から撫でてみた。

 形状はまるで、文字。しかし何かが違う。逆さなのだと思い至り、翻して、確認し直す。これは元々筆記システムを持たなかった言語を、南の共通語の文字に半ば無理やり当てはめたもの。

 故郷のファイヌィ列島の母語だ。

 ミスリアははやる気持ちを必死に抑えつつ、刺繍に込められた想いを指先で読み取った。


 ――尊き聖獣と天上におわします神々よ


 出だしだけで、すぐにわかった。祈りの言辞だ。

 その先を急いで読み解く――

「止めてくださいっ!」

 気が付けばゲズゥの上着にしがみ付いていた。夢中で動いたため、間の意識が瞬きのように通り過ぎていた。「ゲズゥ、お願いです。あの人を止めてください」

 珍しく、ぎょっとした表情で彼は振り返る。何を頼まれているのか理解し、目を細めた。

「………………それが最優先事項か」

 カラーコンタクトを落としてしまったのか、不揃いの双眸がじっと見つめ返してきた。

「はい。手荒くても構いません。絶対に止めてください」

「わかった」

 前を向き直っての返事だった。湾曲した大剣を、両手に構え直している。

 思えばゲズゥが父親の形見である剣を人相手に振るう頻度は、段々と減っているように感じる。

 その理由は、剣そのものが重く、薙ぐに必要な予備動作や遅れがあるため「扱いにくい」からかもしれない。或いは「対象を一刀両断できる」道具であるからかもしれない。

 魔物であれば願ったりな結果でも、生き物を殺傷してしまうのは避けたいはずだ。他ならぬミスリア自身が、そうして欲しいと嘆願したのだ。

 心が痛んだ。左胸の上に手を置いても、ちっとも気分は晴れない。

 あまり時間が無い。町民の追っ手はすぐそこまで来ている。彼らこそ、殺さずに凌ぐのが難しい相手ではないか。かろうじて生き延びた馬たちが、坂下に向かって逃げ惑っている。それが多少の時間稼ぎになるだろう。

 逃げそびれた三頭ほどを、リーデンとイマリナが確保していた。ミスリアは彼らの隣に駆け寄った。

 まだ倒れない森の民はたったの三人。いずれも、狂戦士と化したエザレイに応戦している。

 グレイヴの先端が閃いた。それを軌道の途中で食い止めたのは、横合いから割り込んだ大剣。

 火花が散った。

 隙を得た三人は、迷わずにその機会を掴んだ。灰銀色の瞳は恨みがましそうに逃げる者たちを一瞥し、すぐにゲズゥの方に注目した。

 邪魔をされて気が立っている風だ。エザレイはグレイヴを引き戻して、無言で再び攻撃に出た。

 グレイヴが次に振り下ろされた時、ゲズゥは刃を下向きに構えて受け流し――切れずに、たたらを踏む。それほどまでにエザレイの一撃は重い。心なしか、先ほどの魔物と押し合った際よりもゲズゥは苦戦しているように見えた。

 何合か刃はぶつかり合い、ゲズゥは最初こそは間合いを詰めようとしていたが、やがて何かを思いついたように足を止めた。

 切り付けんとするグレイヴを見上げ――刃先ではなく、柄部分に向けて剣をしならせる。

 木がひび割れるような音。切られることがなくても、柄は目に見えて折れ曲がった。

「聖女さん、提案」

「なんでしょうかリーデンさん」

「オニーサンが最初に人格っていうか正気を取り戻したのってさ、君が怪我を治癒してあげた直後じゃない? もしかしたら君の力が一番、有効、なのかも」

 あ、とミスリアは唇を驚きの形に開いた。

「やってみます」

「オーケー、マリちゃんの後ろに乗って。兄さんたち拾い上げに行くから、さっさと進もう」

「はい」

 頷き、言われた通りにイマリナと同じ馬に騎乗する。

 リーデンも馬上の人となりながら、鞍の空いた三頭目を引いて走り出す。

(……伝えなきゃ)

 ミスリアは急速に近付く男性の後ろ姿を見据え、聖気を展開する。

(手遅れになる前に……ううん、もう手遅れでもいいから、伝えなきゃ)

 黄金色の光の帯が、熱望を代弁した。

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