おまけ。羊のような彼女の沈黙

 太陽が昇りきる前。

 空気は乾いていて寒く、息が白く濁る。だけど私の身体は火照ってしかたがない。やっと見つけた理想の彼女……あぁ早く! あの子の中身を見てみたい! 肌を、血を、肉を、筋を、骨を! 恐怖におののきながら、ビクンッビクンッってする彼女の姿を! 見たい。嗅ぎたい。舐めたい。切りたい。切りたい。

 切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい切りたい!


 あっ!


 思わずイッてしまいそうになる。危ない。まだ駄目。真の快楽は、耐え忍んだ後にやってくるのだから……




 安いホテルに着いた。たまに利用するので勝手は知っている。そして、店主も知らぬ仲ではない。


「一瀬さん。私が予約した部屋に入りたいのですけれど」


 フロントで寝ていた老人を起こす。しばし呆けていたが、私の顔を見て要領を得たのか黙って鍵を渡してくれた。


「ありがとうございます」


 私は礼を述べ、私は彼女の、蘭ちゃんの部屋の前までやってきた。注射器は取り出してある。抜かりはない。ゆっくりと鍵を開け潜入。蘭ちゃんは寝ている。さぁ、お注射しましょうねぇ


 目があった。嫌だなぁ。起きちゃったかぁ。


 私は咄嗟に彼女の口を塞ぎ、首元の静脈に注射針を突き刺す。ジタバタと抵抗する彼女が愛おしくてしかたがない。好きよ蘭ちゃん大好き。


「ごめんなさいね。でも貴女も悪いんだから。可愛いって罪よね。だって、私をこんな犯罪行為に駆り立ててしまったんだから。でもねでもねでもねでもねでもねでもねでもね。分かってほしいの。私はね。貴女がね。ね、ね、ね、大好きで大好きで大好きで大好きでたまらないの。大丈夫だから大丈夫だから。ね? 蘭ちゃん蘭ちゃん蘭ちゃん蘭ちゃん蘭ちゃん蘭ちゃん。ほら、力抜けてきたね。行こうね。行こうね。一緒に行こうね。すぐ帰れるからね。安心してね。さ、行こ? 行こ? ちょっとだからね。行こうね」


 彼女の吐息を聞きながら私は達してしまった。我慢するつもりだったけど、仕方ないね。じゃ、行こうね蘭ちゃん。楽しませてね。

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