何もない夏

作者 梔子

夏が色づき始める予感を感じます。

  • ★★★ Excellent!!!

受験生の中学生が、わずかばかりの息抜きを求めていたときに起こる思わぬハプニング。

それを通じて、空白だった主人公の夏が、何色かに色づいていく、そんな予感を感じる短編です。

勉強以外のことはしてはならないという受験生が感じる抑圧感や、そのなかでせめて友達に会いたいという思い、その機会を失いたくないという焦燥感が痛いほど伝わってきます。
そして、前述のハプニングで、主人公の気持ちが溢れ出すさまは、とても繊細な感覚で描かれていて、心に迫ります。
しかし、主人公の傍らにいる少年が言葉で伝えずとも、主人公の心細さを埋めようとするさまになんとも言えないみずみずしさがあり、二人の夏がこれから始まるのだなぁ、と感じました。

ぜひ、多くの人に読んでいただきたい作品です。

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