第166話「ハァハァ」

「ハァハァ…蒸し暑いわね。嫌になるわ」


「まぁ僕は蒸し暑いのは嫌ですね、ユノと違って」


「あら、さっき私も嫌になるって言ったんだけど?」


「いや、その前の『ハァハァ』が恍惚とした表情だったんですけど。嫌とか言うわりには表情筋が緩んでるんですけど」


「ち、違うのよ、これは」


「僕にはちょっと分からないですけど何が違うんでしょうか?」


「これは暑いから悦んでるんじゃないの! た、たしかに暑いのもちょっといいかなーって思ってるけど、そうじゃなくて縛ってる麻縄が擦れて悦んでるのよ!」


「いや、暑さで悦んでる上に服の下で縛ってるとかドン引きなんですけど」

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