第67話「実はな、私に彼氏ができたんだ」

「ふふっ」


 なぜか姉さんが僕の前で急に笑いだした。


 何かたくらんでそうだからあえて何も聞かない。


「ふははっ」


「…」


「はっはっはっはっはー」


「…」


「…ははっ」


「…」


「いや、なんか言えよ、太郎」


「聞いたら負けな気がしたので。それで何かあったんですか」


「よくぞ聞いてくれた! 実はな、私に彼氏ができたんだ」


「え、姉さんに彼ーー」


「もちろん嘘だ」


「…いやカミングアウトするの早すぎるでしょう。それにしてもなんでそんなしょうもない嘘を?」


「ふっ、エイプリルフールというやつだろう? この前の仕返しだ」


「仕返しになってないですし、勘違いしてるようですけどエイプリルフールは4月1日だけですからね?」

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