週末の出来事

「あゝ、面白かった。やっぱ家で待ってなくて良かった。ハルコ面白かったね。」

「うん。でも展望料ちょっと高くない。もう少し安けりゃいいのにね。それよりお腹すいたねえ。」

「空いた。もうぺこぺこだよ。」

「よし、分かった。何が食べたい。」

「お寿司!」波留子と慎が同時にそう答えた。やっぱり、仙の顔はそう言っていた。

「なんだ、二人は寿司好きなのか。じゃあ、俺の行きつけの店に連れて行ってやろうか。」

「やったあ。爺さんの行きつけならきっと良い店だな。旨い寿司が食えるよ、ハルコ。」

慎が大声で喜び、波留子もガッツポーズで喜んだ。そんな二人の様子に仙も心からの安堵と喜びを感じていた。

お昼が遅くなった事と、お腹いっぱいお寿司を食べた事で、夕飯は簡単なもので済ませようという事になり、波留子は仙と慎に焼き鮭とワサビ昆布の佃煮を乗せたお茶漬けを用意した。お茶漬けと言っても彼女のそれはお茶ではなく出し汁を掛けたもので、仙や慎は気に入ったらしく軽いもので、と言っていた筈が二人共二杯も平らげていた。

波留子はとてもじゃないが、何も食べる気にはならず、食べ過ぎるほど食べてしまった自分の意地汚さに落ち込んでいた。

「ハルはどうして食べないの。」

仙に聞かれて昼食べ過ぎてお腹が減らない、と言うと、何処か悪いんじゃないかと心配されてしまい納得させるのに四苦八苦する始末。こういう時、波留子はつくずく自分と仙の歳の差を思い知らされるのだった。

ふと、和也の言葉が脳裏を過ぎった。

『お前、十八も歳下の男と結婚生活が続くと思ってるのか。』どうだろうか、波留子自身全く検討もつかない事だった。ただ、時々こうやって歳の差を思い知らされるような事があるといつまで保つかしら、と不安が頭を擡げる事も事実であった。仙と慎がお喋りしながら楽しげに食後のお茶を飲んでいるのを見て、今夜は一人でお風呂に入ってみる、と着替えを持って波留子は一人洗面所に入ってしまった。もうそろそろ一人でやらないと、と自分を戒め、ドアの外で大丈夫かと気遣う仙に強気に平気だと答えて波留子は一人で何とか服を脱ぎ風呂に入った。左半分が未だ上手く動かせないので洗い方は雑だったが、それでもなんとか身体を洗い、髪や顔を洗って浴槽に入って湯にかる事が出来た。➖こうやって自分をいましめておかないと何でも仙や慎に頼っていつか彼等のお荷物になってしまう。それだけはすまい、唯お荷物になってはいけない➖波留子はそう決心するのだった。

浴室から出るとドアの外で仙の声が、

「ハル、お風呂出た⁉︎入ってもいい?着替え手伝うよ。」

「大丈夫。自分でやれるだけやってみる。出来なかったらお願いするからやらせて。」

「分かった。」

仙はそれ以上何も言わなかった。波留子は壁やドアに身体を寄り掛けながらゆっくり慎重に服を着た。終わった時には汗だくになっている情けない自分の姿が鏡に映っていた。溜息を吐くと洗面所のドアを開けた。そこには心配そうな顔をした仙が立っていた。

「仙、貴方ずっと此処にいたの⁉︎」

「うん。あゝあ、ハル汗だく。これじゃ風呂入った意味ないよ。どうしたの急に、未だ無理しちゃ駄目でしょ。もしかして、今日彼に言われた事気にしてるんじゃないの。彼がどう思おうと彼の勝手だけどハルがそれに迷わされちゃダメだよ。ハルは俺の事が信じられないの?」

「ううん、信じてる。信じてるけどあんまり面倒掛けてばっかりいたら私自身がその甘えに気付かなくなっていつか仙達の重い重いお荷物になっちゃうんじゃないか、って思って。もし一人でいたらこういう怪我したって自分で対処しなくちゃいけないでしょ。だから自分でやってみようと、」

「バカ!どうしてそんな風に考えるんだよ。ハルは一人じゃないし、俺はハルの夫だよ。夫を頼りにしないなんてそれじゃ結婚した意味がないじゃないか。頼ってよ。我儘わがまま言ってよ。出来ない事なら出来ないって言う。けど俺に出来る事ならやらせてよ。そんな寂しい考え方二度とするな、いい。」

波留子は仙の言葉にガツンと叩かれたような気がした。自分自身で悪い方へ進めようとしていたのだと気付かされた。

「ごめんなさい。私、お荷物になったら仙が離れて行っちゃうんじゃないかと思って。」

「波留子はバカだよ。そんな訳ないだろ。でもそんな波留子だから俺は放っておけないんだ。愛してるよ。」

仙は波留子に優しくキスをして抱きしめた。

「後でもう一回俺と入ろう。俺がちゃんと洗ってやるからさ。」

その言葉に頷きながら涙が出るほど嬉しさが込み上げて来る波留子だった。

翌日の朝は日曜日だというのに朝早く目覚めてしまった波留子。自分の身体を抱いたまま隣で眠る仙の顔をマジマジと見つめた。➖どうしてこんな美男(イケメン)が自分の様な中年女を愛してくれるんだろう。これは世界の三大ミステリーに匹敵する謎だよなあ。見た目も性格も良くてざいもある、息子も本当に天才で親以上に背も高くてカッコいい。こんな良いとこ取りの親子が揃いも揃って私を愛し、したってくれてる。だから恨まれても仕方ないよなぁ➖

「うーん、…ハル起きてたの、おはよう。」

「おはよう、仙。」

未だ眠そうな目をまたたき仙が波留子に笑いかける。波留子もそれにこたえて微笑むと仙に尋ねてみた。

「ねえ仙、私の何処が気に入ったの?私の何が好きなの?」

「何処が?性格が。何が?全部。」

あまりに漠然としていてつかみ所がない。

「波留子の笑った顔も怒った顔も泣いた顔も全部可愛い。はっきりした物言いも、サバサバしてるようで案外脆い所も好き。波留子のエッチしてる時の身体も声も好き。でも、俺を百パーセント頼りにしてくれないとこだけはバツ!」

「えっ⁉︎ バツ?それって嫌いって事。」

「違う。バツはバツ、バッテン。もし波留子が俺を百パーセント信じてくれたら俺はこれから先波留子にどんな難題ふっかけられてもきっと解決してみせる。一人で無理なら波留子と二人で解決してみせる。俺を信じて、波留子。」

「仙。私、仙を信じてるよ。信じてるけどあんまりにも自分が不釣り合いな幸せを手にしてるみたいで怖いの。仙を好きになればなるほど、私みたいな中年女が貴方を独占してしまっていいのかしらって。卑下してるとかって言うんじゃなくて、自分の歳や崩れて行く体型なんかみても悲しいかな考えてしまうんだ。」

「波留子。俺の愛し方が足りないのか。だからそんな要らぬ心配するんだな。もっともっと愛してあげる。そんな心配消し飛ばしてやるよ。」

「あっ、…」


「波留子、なんか前より感じ易くなったんじゃない。」

「あん、ダメ。」

「あゝハルがそう言う声出すとまた燃えて来る。」

「ダーメ、仙、私こんなに愛されるなんて経験した事なかった、今までずっと。飽きるんじゃないかって思うのに、飽きるどころかもっと仙が欲しいって思っちゃう自分が怖くなる。貴方一体何人の女性泣かせてきたの。」

「そんなことしてないよ。俺だって、こんなに愛してももっともっと、って貪欲どんよくに思ったのは波留子が初めてだ。

慎の母親とは修弥の彼女を介して知り合って、いいなあって思ってはいたけど、未だ自分の気持ちが分からなくて、ゆっくり進めたい自分の気持ちとは裏腹に周囲にあおられちゃって、彼女も積極的だったし。それで、‥あの時のあれは、愛し合うと言うよりお互いセックスする事に夢中になっていた気がする。彼女から子どもが出来た、って言われた時、あゝ結婚するってこんなもんなのかなぁ、って思ってさ。じゃあ大学卒業したら結婚しようか、位の軽い気持ちだった。こんな事、慎には口が裂けても言えないけどね。でも、早産で彼女が亡くなって生まれたばかりの慎を抱いた時は愛おしいと思った。何があっても俺がこいつを守るんだって思えたんだ。彼女の両親も体が弱くて、もう二人共亡くなっちゃったんだけど、慎が五歳になるまでは彼女のお母さんが見てくれてて、お母さんが倒れて俺が親父や弟の協力を得て育てて来た。かと言って俺も健康な男だからさ。女性との付き合いってその場限りの付き合いを求めるような相手だけでセックスしたらさようなら、って感じだった波留子を見つけるまでは。」

「えっ⁉︎」

「あの日、波留子に声を掛けた日、俺波留子の隣のベンチに座って声掛ける相手を探してたんだ。その時ふと横を見たら波留子が通り過ぎる人達をぼんやり眺めてて、なんだか波留子の表情、優しいのに悲しそうだったんだよね。どうしてこの人にこやかな顔してるのにこんなに悲しそうなんだろう、って思って。そしたら気になって来ちゃって他の人探す事も忘れてずっと波留子の事見ちゃってたんだ。で、波留子が身体を動かしたんだ。もしかしたら何処かへ行っちゃうんじゃないかって思ったら波留子の前に立ってた。波留子に話し掛けて話し始めたら波留子の受け答え面白くてさ、もっと知りたいと思った。本当はあの晩送って行って住所か電話番号聞いて俺からアプローチしてやろうと思ってたのに、波留子のガードかたくて名刺渡すしか出来なかったんだ。十五日間、」

「十五日間?」

「そう、十五日間待って十六日目にやっと波留子から電話が来たんだよ。嬉しくて飛び上がって喜んだんだ、ホント。だからもう一日も待てなくてあの日会社に呼んだんだ。そしたらスーツ姿で現れたから意表を突かれてなんかドキっとしちゃって。あの日、親父達には波留子から電話があった事教えなかったんだけど、俺があんまり舞い上がってたんでバレちゃったみたい。要するに、俺は波留子に一目惚れしていたんだ。」

「一目惚れって、私みたいなおばさんに?」

「俺にとってはおばさんじゃなくて始めから一人の女性として映ってたんだよ。だから余計に波留子が歳の事を口にする度悲しかった。だって俺がどんなにもがいたって十八歳の歳の差は埋まらない。こんなに好きなのに歳が離れてるってだけで相手にもされないのかと思ってさ。

だから波留子が俺の気持ちを受けとめてくれた時は本当に嬉しかった。イブの夜初めて波留子と愛し合った時、俺の魂が求めていた相手が波留子だったんだって確信した。体を求め合うだけのセックスじゃなくて相手の総てを、心と体の総てを愛おしく思えて、愛しても愛してももっと深く相手を知りたい愛したいって思える相手。生きてる事がこんなに嬉しいと思えたことはなかった。ねえ分かる、波留子は俺に生きる喜びを実感させてくれたんだよ。だからお願いだ、歳のことなんか忘れて俺を信じて。俺を愛してくれるなら信じてくれ。」

波留子は黙って微笑むと仙にキスをしてその言葉にこたえた。

日曜日は前日の出来事が嘘のように穏やかだった。波留子は着替えや入浴こそ未だ仙の手助けを必要としていたが、捻挫した足の痛みも取れローヒールの靴でなら大分歩けるようになって来ていた。

午後、先日の約束通り三人はまた御徒町の店へ出向いた。

「こんにちは。」

店に入りそう声を掛けると奥から先日のジュエリーデザイナーである店主の息子が出て来た。

「いらっしゃいませ。あゝ先日の、九龍さん。試作品、出来てますよ。製作段階で少しスケッチと変えた所もありますが、殆どはあのデザイン画通りです。今デザイン画と一緒にお持ちしますね。どうぞお座りになってお待ち下さい。」

そう言うと奥へと消えた。

「どんな指輪なんだろう、楽しみだね。」

慎が期待して言うと波留子はちょっと引きつったような笑みを浮かべた。

「ハル、大丈夫だよ。もし気に食わなかったらデザインを考え直せばいいんだから。」

仙の言葉に頷いて少し安堵した様子の波留子だった。

「お待たせしました。こちらが先日描いたデザイン画で、此方が試作品になります。」

そう言ってテーブルの上に置かれた指輪は試作品とは言え精巧に作られ、カボションカットにされた濃いブルーの石がめ込まれた指輪は派手さを感じさせない落ち着きのある物に見えた。指に挟まれあまり目立たない部分にはパライバトルマリンがレール留めされていてそれがグリーンラインのように見えた。

「どうぞ。実際お着けになってみてください。パライバは殆ど隠れてしまいますから着けている方が派手さは感じないと思いますよ。此方が奥様の指輪です。奥様の指輪も石は小さめですが、デザイン画よりは大きくしてトップを覆うように楕円の膨らみを抑えたカボションカットにしてみました。如何ですか。」

確かに、置かれている状態ではサイドのパライバが明るいアクアグリーンのネオンライトのような輝きを放ち派手そうだが、実際指に着けてみると中指と小指に挟まれパライバはちらつく程度で派手さは感じない。逆に時折光るパライバが意表を突いて綺麗だった。

「どうお、波留子。男には派手なのかもしれないけど俺はこの指輪が気に入った。波留子はどう。もし気に入らないならそう言って。もう一回考え直せばいいんだから。」

「思っていたよりずっと素敵。確かに置いてあると派手っぽいけど、填めちゃうとそれ程気にならないかな。結婚指輪って考えると石が沢山入ってるってやっぱり少し抵抗はあるけど…どうなんです。」

「そうですね、日本人の方々はプラチナや金だけで作られた物を好まれますが、外国では色々ですね。カレッジリングのようにご夫婦で大きな石を填め込んだ指輪をされている方もいらっしゃいますしね。」

「ハルコ、マリッジリングは他人の為にするわけじゃないんだし、本人同士が相応ふさわしいと思った指輪をマリッジリングにすれば良いんじゃないのかな。」

慎にそう言われ暫し考え込んでいた波留子だったが、大きく一つ頷くと、

「元々普通じゃない夫婦だもんね、これ位オリジナルな物の方が私達には合ってるのかも。仙、これにしよう。」

波留子の決断を聞きその場の男三人は喜んだ。デザイナーは、

「実際の石は出来る限り上質の物を使いますのでもっと落ち着いた色合になるかと思います。これから石を探して制作を始めるとして一ヶ月かもう少しお時間を頂けると有難いのですが。」

「一ヶ月ですか。余裕を持って来月、二月いっぱいと言う事ではどうでしょう。それなら後から延長になってガッカリなんて事もないでしょうから。」

「あっ、はい。それだけお時間頂ければ間違いなく完成させられます。

あのお、つかぬ事をお伺いしますが、先程奥様が普通じゃない夫婦、と仰っていらしたのはどう言う事なのでしょうか。あのもし差し障りがなければ、で結構ですが。」

「えっ、ああ、別に構わないよ。俺は子持ちだけど初婚で、彼女は歳上で再婚、って事。」

「だけじゃないでしょ、私の方が彼より遥かに歳上なんですよ。」

「遥かに、ってそうなんですか。でも七、八歳歳上の奥様なんて今時ザラにいらっしゃいますよ。」

「えっ、七、八歳違いに見えるんだ。」と仙。

「あっ、失礼な事を申しましたか。そんなに離れていらっしゃらない?」

「いいえ逆です。実はもっと離れてるの。」と波留子。

「ええっ、じゃあ十歳位、とか。」

「えっ、あ、」

「そう、十歳上なんだよ、母さんの方が。」

「へえ、お若く見えますね。」

「そ、そうお⁉︎ 有難う。」

「では一応二月いっぱいでお時間を頂いて、もし石が早期にご用意出来て予定より早く完成した時にはお電話を差し上げます。見積りは前回お見せした通りで、もしかすると石の値動きで多少変わるかと思いますが、その際は御連絡いたしますので宜しいでしょうか。」

「構いません。一生身に着ける物ですから良いものを作って下さい。」

「かしこまりました。絶対に良い品物に仕上げてみせます。楽しみになさっていて下さい。」

店を出ると波留子が慎に、

「どうして十歳なんて嘘ついたの。サバ読みすぎでしょ。」

と文句を言うと、

「ハルコ分かってないなあ。ハルコは見た目ホント若いんだから言わなきゃ分からないよ。何でも正直過ぎるとバカを見るよ。」

「そうだねえ、ハルはバカ正直なのがたまにキズ、かな。」

と仙にまで揶揄われ波留子は少々おかんむりになってしまい、波留子の機嫌を直すため仙は有名和菓子店で豆大福を大量に買わされる羽目になった。

「こんなに大福買ってどうするの。」

「明日、会社の人達に挨拶代わりに配るの。」

「やられたね、仙。ハルコの方がやっぱ上手だ。」

三人で夕食を食べている時に慎が、

「ハルコ、明日からいよいよ会社復帰で怖くない⁉︎」

「怖い?怖いって何が。…なあんて、怖いって言うよりちょっと緊張してる、って言うのが本音かな。身体の方は足が完治するまでは仙に車で送って貰えるし、出来るだけ動き回ったりしなければなんとかなるからいいんだけどさ。あれっ、もしかして私も仕事に出ちゃうと一人で留守番になっちゃうからマコちゃん寂しい。」

「違うよ、それはない。もうそろそろ向こうへ戻ってからの研究論文の準備を始めなきゃいけないし、色々調べ物もあるから寂しいとか考えてる暇はないよ。」

「そう?ならいいけど。今まで休暇で戻ってきてる間平日はどうしてたの。皆んな仕事に行っちゃうから一人だったんでょう。」

「うん⁉︎ ううん、去年までは仙と一緒に会社行って仙の部屋のすみにデスク置いて貰ってパソコンで調べ物したり、勉強してた。お客さんが来るって分かってる時は会議室や秘書室に行ってたし。結構俺仕事の事でも役に立つって重宝ちょうほうがられてたんだ。」

「なんだ、じゃあ明日からそうすればいいじゃない。なんで言わなかったの。」

「職場に息子が居るの嫌がるかなって思って。」

「そんな風になんて思ってないわよ。要するに、仕事の邪魔にならなきゃいいんだもの。 私もその方がいいな。だってマコちゃんが一人で家にいると思うと、お昼どうしたかな、ちゃんと食べたかな、とか考えちゃうでしょ。」

「ハル、それって過保護だよ。いつも向こうで一人暮らししてるんだからどうって事ないだろう。」

「向こうでは一人だから、戻ってる間位寂しい思いはなるべくさせたくないでしょ。それともマコちゃん、一人の方がお気楽かしら。」

「会社行ったらハルコの作るココア飲めるよね。だったら行く。仙、いいでしょ、行っても。」

「まったくもうしょうがないなあ。分かったよ。それじゃあハル、慎にココア作ってやる時俺にも作ってくれること。」

「けえっ、仕事が増えた。」

「えゝ、何、今の けえっ て。ハルコ時々変な感嘆詞使うよね。面白いなあ。」

「面白い⁈ そうなの⁉︎ そんな事考えもしなかった。」

「だからきっと面白いんだよ。」

「もしかして、二人して私をオモチャにしてません⁉︎ …してるよね。コラあ!」

慎がゲラゲラ笑い出すと仙も笑い出し、釣られて波留子まで笑い出しこの日の夕食には時間が掛かった。

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