第12話 慰安旅行当日6

宴会場へ着くと、もうチラホラ人が集まり初めていた。



無意識に三浦さんの姿を探す俺。



「あ、早坂ここにしようぜ」



何か嫌な雰囲気を感じ取った俺は、そう言う中村を無視して、前の席の方にいる三浦さんを見付けるや、そちらに向かった。



「ごめん、俺、前行くわ。」



三浦さんは、もう晩酌のビールを開けていた。



「隣いいっすか?」



俺はそう言って三浦さんの隣の席を陣取った。




「早坂、具合大丈夫か?」



「はい、もうすっかり、ピッカリ!」



「ピッカリってなんだよ笑」



「本当、心配したぜ俺、色んな意味で…」




「色んな意味?」



俺は三浦さんの顔を見上げた。




すると小声になって三浦さんが続ける…




「中村…なんか、何て言ったらいいのかわからんのだけど…」



三浦さんが口ごもった。




すると俺は



「あ、何となく俺、わかります、でも大丈夫ですから。」



「そうか?何かあったら、いつでも言えよ、俺で良かったら。」



三浦さんは、中村は俺の事を何かしら恋愛対象として見てるふしがあるから、用心しろと言いたかったんだろう。



俺はその時はただただ三浦さんの優しさに気をとられて、不用心な自分を顧みて無かった事にまだ気付いていなかった。

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