第4話 慰安旅行とは

いつも、びくつきながら生きていた。幼き頃、1度失敗したトラウマにそう深く思わせる効果は絶大だった。


今のご時世、昔より大分そう言った偏見は少なくなったと聞く。でもそれは社会的レベルであって、個人迄考えを下ろすと、あの時の女子社員達の感性がまだまだまかり通っているんだろうと思う。



矢面に立たされている側のゲイの俺が自己主張の為、声をあげるのではなく、マジョリティ側にいる三浦さんが言うからこそ、LGBTに関する、重厚で、極めて大切な見解になり得たんだと思った。



俺はそれにすっかりやられてしまったのである。




等と少し昔を懐かしんでいると、同じ課の中村さんが話しかけてきた。



「早坂、慰安旅行いく?」



「慰安旅行、もうそんな時期でしたっけ」



「社員当てメールに届いてるよ」



「あ、あざーす。見てみます。」




パソコンのメールボックスを開くと未読の社員一斉宛てのメールが届いていた。



おもむろにボタンをクリックする。




1週間後、一泊二日、湯河原かー。





三浦さんはいくのかな。

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