【セーブデータ:後半】
~四日目~
孤児院の
最初翔弓子を敵にしていた龍道院が純騎士と激しい魔術戦及び剣戟を繰り広げる。
周囲一帯を焼き尽くさんばかりの熱量が襲い掛かり、魔術の才に恵まれない純騎士が圧倒的不利かと思われた戦いだったが、純騎士の魔術が発動。それにより瞬く間に形勢を逆転させ、龍道院の武器をも粉砕した。
そこまで来て、魔天使と翔弓子の戦いも始まり、いよいよ戦争らしくなってきたと思われたそのとき、投じられたのは爆弾。
元ベルサスの人型魔導最終決戦兵器、
戦場に現れるという呪いのような魔術でもって舞い降りた狂戦士は、まず邪魔者を排除しようとした翔弓子を一撃。
次に翔弓子を助けようとした龍道院を完膚なきまでに叩きのめし、そして純騎士すらも能力の差を見せつけ、圧倒した。
このまま、異修羅が闘争本能のままに全参加者を敗退させるかと思われたそのとき、魔天使が異修羅と相対。
雷霆の武装をまとった異修羅と壮絶な戦いを繰り広げ、異修羅を力づくで戦線離脱させた。
このとき、魔天使は殺さなかったのではなく、殺せなかったのだと判断されている。この戦いで発した魔力は全盛期のそれを大きく下回っており、魔天使の衰弱が見て取れた。
この戦いから、純騎士が玉座の場所を知っているとして魔天使は行動を共にする。しかし純騎士はその意図を知り、魔天使を勝者にしたくないと思ったらしく、玉座へとは向かわなかった。
同時、その場にいた龍道院はその場から天界の命令によって離脱した翔弓子を追いかけた。彼女は本当に玉座を取りに来ているのか、それが疑われる行動だった。
ついでに、魔天使と異修羅の戦闘と同時刻に
彼女の天界にとっての危険度が、さらに跳ね上がった。
~五日目~
日付が変わるまえかそれともあとか、とにかく
しかしこのとき骸皇帝は重複者の一個人を殺しただけであり、多数の個人を持つ重複者は違う人格に体を与えて蘇った。
しかし不運だったのがこの時死んだのが参加資格を持った唯一の個体だったということで、重複者は事実勝者にはなれなくなったのだが、本人はそんなことも知らずに骸皇帝に取り入り、多くの人格を殺されながらなんとか部下として落ち着いた。
そして骸皇帝は何故か玉座を目指そうとはせず、そのまま骸の城を築き始めた。
骸皇帝とは逆に、純騎士は勝者としての権利を失った。玉座の場所はわからなくなり、魔天使にはついて行くメリットがなくなったのだが、それでも魔天使は純騎士と離れようとしなかった。
天界について何か吹き込んでいるのかもしれないが、翔弓子はこのとき龍道院に捕まり、戦線に復帰することができなかった。その日はずっと捕まり、まったく動かすことができなかった。
遅れたが、参加資格を失うより前に、重複者から謎の魔力についての報告があった。
西洋鎧に身を包み、黒馬に跨った首なしの大男が、裁定者と名乗り戦場を駆け抜けているという。
その裁定者が骸皇帝の屍の兵団と戦い、そして捕縛されたと聞いたときは天界の重鎮があっけないと言ってしまった。
しかし相手は骸皇帝、地上最強の魔術師である。さらに千を超える軍勢に重複者、そしてさらには純騎士が手に掛けた
その後、首なしの裁定者は捕らえられ、今も尚生きている。骸皇帝の狙いがなんだったのかはわからないが、しかしこのとき殺さなかったのには、何か理由がありそうだ。
~六日目~
何もなかった。なんの、なんの動きも誰も見せなかった。
故に記すことは何もない。
強いて記すとすれば、全員が全員、体を癒す期間に当てたようだった。
この後に待っている激戦を予期していた者はいなかったろうが、しかし結果として全員が激戦を前に体を休め、ベストコンディションで挑もうとしているかのようだった。
~七日目~
激戦は、純騎士と魔天使に操られている永書記が接触してから始まった。
永書記を利用して二人を転移させた骸皇帝は、そのまま二人との戦闘に持ち込んだ。
面識ある永書記に純騎士を任せ、自身は魔天使と戦った。地上最強の魔術師と元天界の最高位天使の戦いは、魔天使が押したものの、骸皇帝の不死身の術式を破壊できないままでいた。
しかし、そこに翔弓子が駆けつけたことで状況が変わる。天界は即座に命令を送り、骸皇帝と組んででも魔天使を殺すよう命令した。
が、翔弓子はこの命令を拒絶。命令を繰り返す天界の信号と自らの意思に挟まれ、精神崩壊を起こす寸前まで追い込まれたところで魔天使が翔弓子の脳の抑制を破壊寸前まで破壊した。
しかしその隙に骸皇帝に致命的な一撃を喰らい、脳の抑制が外れかけている翔弓子共々戦闘不能となった。
魔天使殺害が、翔弓子の犠牲で成功するかと思われたそのとき、異修羅と龍道院が異修羅の転移によって戦場へと投下される。
そして今は無き、王国ベルサスの因縁を再燃させる戦いが繰り広げられた。
力と力の戦い。異修羅は何度も骸皇帝を殺し、骸皇帝が姿を変えた
骸皇帝は異修羅の気付かぬ間に一撃必殺の魔術を起動させていた。その結果、異修羅は亡国の無念を晴らせぬままに死んでいった。
だがその間に復活した魔天使と、永書記を退けた純騎士が戻って来た。そして二人で骸皇帝に最後の戦いを挑む。
死んだばかりの異修羅を操り、応戦する骸皇帝。しかし操作が甘かったためかそれとも殺したばかりだったからか、異修羅は骸皇帝を攻撃しさらに骸皇帝の攻撃から二人を護る。
さらにこれは純騎士が用意した秘策だったか、不意に現れた永書記の魔術によって骸皇帝の動きを止め、純騎士の切り札だろう魔術発動を援護した。
結界魔術の中を観賞することは愚か干渉することもできないため、どのような戦いがあったかまでは不明だが、しかし骸皇帝は不死身を解かれ、千年生きた魔術師はここでようやく真の死を迎えた。
純騎士はこの戦争で二度目となる参加者撃破を成し遂げ、再び玉座の位置を知ったのだった。
~八日目~
戦争参加人数が半数にまで減ったため、天界は
早速勝利もできないしかし邪魔な重複者を一瞬で狩った熾天使様は、そのままわざとゆっくりと首なしの裁定者及び魔天使の殺害のために動きだした。
しかしその途中で翔弓子を逃がした龍道院と遭遇。翔弓子の場所を問うと答えることなく攻撃して来る構えだったため、迎撃。
本気を出さなかったが故に時間を掛けたが、しかし熾天使様の暇潰しにはなったようで、龍道院は虫の息のまま放置。そのままいれば、龍族の回復力でしばらくいれば戦えなくはなろうが生きられる程度に回復するはずだった。
が、彼女に追いうちが迫る。滅悪種と、彼女が助けた裁定者がここで彼女の前に現れ、滅悪種が龍道院を殺そうとした。
が、龍道院はこれを拒絶。
玉座の位置を教えてたまるかと思ったか、それとも相手が子供だったからか、おそらく後者だろうが、彼女は自決した。自害した。
彼女はこの戦いで誰も殺せなかったし、殺さなかった。
それは実力的な話では本当になくて、彼女の信念がそこまで彼女の中で突貫されていたものだったからこそ、成し得た偉業と言えた。
戦争でありながら、一人の子供も殺さなかった戦士。個人の胸の中にではあるが、深く刻んでおこうと思う。
以上が、ここまでの戦いの経緯とその結果だ。
残り参加者、四名と二体。
熾天使様と裁定者をも含めたこの異質な戦争は、幕引きの紐を見せようとしていた。
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