セカンド・シーズン

トイレが空いていない時に読む、トイレ待ちのためのトイレ小説


 会社や学校、あるいは外出先でトイレに行った時、トイレが空いていなかったことってありますよね。


 そんな時、どうしていますか。他のトイレに行く。時間をおいてまた行く。個室をノックして催促する。トイレが空くのを待つ。

 待っている間にもすることがいろいろあります。考え事をする。スマートフォンをいじる。音楽を聴く。本を読む。熟語を覚える。早く順番が来るようにひたすら祈る。ただただ静かに待つ。


 この小説は、トイレが空いていなかった時、トイレ待ちのわずかな時間でも読めるような、トイレが舞台のお話です。

 ご存知、トイレには様々な物語があります。これからまたトイレの物語が新たに始まります。

 さあ、素敵なトイレ待ちを。そして素敵なトイレライフを。

 どうぞ、扉を開けてください。








 ――コンコン。コンコン。


 軽やかなのノックの音。

 どこから聞こえるのだろう。


 ――コンコン。コンコン。


 まただ。また聞こえる。

 耳を澄ますと、どうやら、トイレの個室内側から音が鳴っているようだ。

 わたしはノックのするトイレに近づく。


 ――コンコン。コンコン。


 扉に手をかける。

 そっと扉を引くと、ゆっくり扉が開いた。

 眩しい光が中から漏れ出てくる。


 まるで異次元のように、白く、広い。

 眩い光の空間がそこにはあった。

 そして中央にはまっすぐ続くレッドカーペット。


 なに、ここ?


 わたしは後ろを振り返る。

 後ろにはいつもの職場のトイレ。


 おそるおそる一歩、中に足を踏み入れた。

 そしてもう一歩。


 レッドカーペットを歩く。

 ずっと、ずっと続く道。

 ずっと、ずっと。

 歩いて行くと、レッドカーペットの中央にひとつの便座があった。


 わたしは便座の蓋をゆっくりと開けた……。




 ――ようこそ。トイレ。

 ――そして、お帰り、トイレ。


 セカンドシーズンのはじまり、はじまり



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