第89.5話 137

遠野「剣持ー、遊びにきたよー!」


 QK部の「プライム・シスター」に、慧のクラスメイトの遠野と橘がやってきた。


慧「あ、遠野。と橘」


橘「やあ。古井丸さんも、さっきぶり」


みぞれ「いらっしゃい」


慧「二人がこういうことに興味あるなんて、知らなかった」


遠野「いやー、あんま興味ないけど、剣持がやってるからさー」


みぞれ(そういう理由は考えてなかったな……)


橘「なんだっけ、素数を作るマッチングだっけ」


慧「うん。姉妹マッチング」


遠野「素数になったら姉妹ってこと?」


慧「うん。でね……」


 慧はルールを説明した。


橘「なるほど。姉か妹かは先に決めるのか」


遠野「じゃ、うちは妹ー」


橘「あっさり決めたな」


慧「橘は?」


橘「えっ……じゃあ、姉にしとく」


みぞれ「数はどうしますか?」


遠野「ラッキー7で!」


橘「Kにするよ。強そうだし」


慧「……」


みぞれ「……」


橘「ん? なに?」


慧「なんでもない。じゃあ、お代はこちらに」


 二人が出て行ってから、慧とみぞれはくすくす笑った。


みぞれ「137は素数だって、気付くかな?」


慧「橘は気付くかも。それを言うかどうかは、わからないけど」


 二人は顔を寄せ合って笑った。


 遠野と橘は最後まで戻ってこなかった。


 気付かなかったのか、気付いても言わなかったのかは、謎である。

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