SHOCK 3

25

「乗りな」


 女子は後部座席のドアを開く。私は車の後部座席に乗り込む。車の中には2人の男性がいた。1人はサングラスを掛け運転席でハンドルを握り、もう1人は後部座席に座っていた。


「あざみ、この女、黒紅連合の総長じゃねぇじゃん」


 後部座席に座っていた金髪の男性が、ゴツゴツした指で私の髪に触れた。


「やめて下さい」


「自分から車に乗って、やめて下さいはねーだろう。俺達はあざみが女を紹介してくれるって言うから、わざわざ来たんだぜ。あざみ、話がちげぇよ」


 助手席に座っていた女子が、不敵な笑みを浮かべながら後ろを振り返る。


「おとなしくしろ」


「私は妹に逢うために車に乗ったのよ。妹に逢わせてもらえないなら降ります。降ろして下さい」


 運転席の男がオーディオのボリュームを上げる。次の瞬間、車は意に反して発進する。


「妹に逢わせてやるよ。あんたはそのための大事な餌だからね。そう簡単に降ろすわけにはいかねーんだよ。さとる、約束どおりその女、好きにしていいよ」


「そうこなくっちゃ」


 男が私の体に抱き着いた。

 ねっとりした唇が頬を掠める。


 一瞬、何が起きているのかわからなかった。でもすぐに自分が騙されたことに気付く。


「いやあぁー……離して。車から降ろして……」


「そうはいかねーよ。こんな上玉、なかなかお目にかかれねぇかんな。色白で綺麗な顔してやがる。もしかして、男知らないのか?俺達がその体に教えてやるよ」


 男は私の口を押さえ、スカートに手を入れた。首を左右に振り抵抗するが、男の力には敵わない。


 車中には大音量のロックと、卑劣な笑い声が響く。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る