リサ 1

「え?我が国が罪もない人間を大量虐殺してるって?

そんな訳ないですよ。

国民が居て私が存在している。

私は国民を一番に愛してます。

そんな残忍な事出来る訳がありません」




・・・・・何処で情報が漏れたの?

やはり先日の国から脱走したというあのモンスターのせいかしら。



なんで理解してくれないのよ!

愚民を追い払って善人が住みやすい国を作ろうとしている事が理解出来ないなんて、やっぱりモンスターって知能が低くて理解力がないのね。



「モンスターが勝手に逃げて変な戯言を他国に触れ回らないよう、国境に高い壁を作りなさい。

この国から私の許可なく脱出した者全て皆殺しにしていいわよ。

だってそいつらは私を裏切り傷つけた物。

人間じゃないんだから」




イライラした時や不安な時はいつもあの場所へ向かう。

眞鍋がいる司令室。

あの人ね。

仕事に集中しすぎて、私が行ってもしばらく気づかないのよ。

だからいつも眞鍋が仕事している姿を隅の方で見てるの。



ドアを開けると、眞鍋の姿が見えた。

・・・・やっぱり今日も私の存在に気づかない。

だからいつもの定位置である隅の方に移動して、静かに眞鍋の姿を見守るの。


そんな関係を10年以上。

眞鍋と初めて出会った日から、ずっとずっと私は眞鍋の近くに居続けた。

いつも眞鍋の背中を見続けた。

倒れるんじゃないか?と心配になる程、睡眠時間を極限まで削り、ひたすら仕事と研究に打ち込むそのパワーはどこから湧いて出てくるのかしら?


「とりあえず初期に手術した4人はもう外に出せる位まで成長したと思うわ。

4人中3人は元々人格に問題があるタイプという情報だったけど、討伐の面に関してはそのうち2人が優秀ね。

逆に優秀な人材と言われてた1人の子が全然使い物にならない。

次の試験者は人格に問題があるタイプを選んでどんどんやっていくから・・・・・って聞いてる?」



資料を見ながら淡々と話す眞鍋の姿を見ていたら、突然怒られた。

何を怒ってるのかしら?



「聞いてるわよ。眞鍋の好きにしたらいいじゃない」


「まーた適当な事ばっかり言って。

貴女はこの国の女王なんだから、もう少ししっかり責任を持ってくれないと!」


「責任なら持ってるわよ。

眞鍋に任せておいたら全てうまくいく。

そうでしょ?」



いつだってそう。

眞鍋は全て私の理想を叶えてくれる。

だからうるさく口出しはしないの。

私は眞鍋の実力を信じてる。



ただ・・・・



「1つ気になる事があるんだけど・・・・」


「何?」


「討伐に優秀な人間は人格に問題があると言っていたけど、それって逆じゃない?

討伐をこなした2人が優秀な人材で、討伐出来なかった1人が人格に問題があると思うの。

出来損ないはいくら手術したとはいえ、目に余る物があるのなら処分の対象にしましょうよ」

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