消せない傷跡 4
「担任からは、いつも4人で行動を共にしていたと聞いてます。
その4人の中でイジメがあったなんて・・・・」
4人の外見は、派手な子が一人、やや派手な子が二人、地味な子が一人とバラバラ。
俺の勘では、派手な子がこのグループのリーダーで、地味な子がイジメを受けている気がする。
なんとなく派手な子はミカに似ていて、地味な子はマリアに似た印象があるから。
いや、絶対にそうに違いない!イジメをしそうな顔をしているじゃないか!
そんな理由で、写真を見ただけだけど、俺は派手な子に対して嫌悪感があった。
「イジメた人物と、イジメられた人物の名前は、4人中3人が一致しております。
3人がイジメた人物だと名前を上げたのが、この一番派手な顔をしたマキという子。
そして、イジメられた子が、一番地味な顔をしたカナコです」
ほらみろ!
やっぱり、俺の思った通りじゃないか!
「ぷっ!」
勘が当たった俺は、思わず噴出してしまう。
資料に再び目を通すと、それぞれ面談で話した内容が書かれていた。
一番地味な顔をしたカナコは、イジメた人物をマキと言い、イジメられた人物をカナコ自身だと証言した。
やや派手な顔した、サヤとヒトミも、カナコと同じ事を話している。
恐らく、サヤとヒトミはカナコがイジメられている事を知ってはいたけど、
自分達までイジメられるのを避け、見て見ぬ振りをしたのだろう。
本当は、それも罪に問われるのだけれど、仕方がない。
学校という枠は、俺達が思っている以上に狭く、恐ろしい物なのだ。
許してやる。
そして、イジメの主犯格であるだろうマキは、ずうずうしくも
イジメた人物をカナコと話し、イジメられた人物を自分だと話している。
イジメをしときながら、討伐されるのが怖くて、罪をイジメた人物へ押し付ける気なのだろう。
根性まで腐った女だ。
許せない!楽に殺してなんてやるか!
「話はわかりました。すぐにマキの所まで案内して下さい。
そんなクズ、さっさと討伐しましょう」
資料を机の上に置くと、立ち上がった。
すると、校長は
「いや!あの!話はまだ、終わっては・・・・」
アタフタしながら、立ち上がる。
「話とは、何ですか?イジメた人物はマキで間違いないのでしょう?」
「はい、そうなんですけど。でもまだ、証拠もありませんし・・・」
煮えきれない態度を取る校長。
こんなのが、この学校で一番偉い人物なんて、聞いて呆れる。
「証拠?証言があるじゃないですか。
4人中3人が、同じ人物の名前を上げている。
それが証拠にはなりませんか?」
「えぇまぁ・・そうですけど・・・・。
でも・・・・その・・・・・、という事は、ですよ?殺すんですよね・・・・、マキという子を・・・・」
何をそんなに気にしているのだろうか?
イライラする。
俺は、イジメときながら、ずうずうしく生き続けるバカを見過ごす程、お人よしではない。
むしろ、一刻も早く討伐したいのに!
そんな気持ちとは裏腹に、校長はポケットからハンカチを取り出すと、顔の汗を拭き始める。
「殺すのは、あんまりだと思うんです。・・・・だってその・・・・、その子にも一応家族が居るだろうし・・・。
簡単に殺すなんて・・・・・、マズイと思うんですよ・・・・」
今更、何を言っているのだろうか。
法律が改定されてから、どのくらい時間が経った?
モンスターが討伐される映像が、どのくらい流された?
それらの行為を、全て夢だとでも思っているのだろうか?
俺は、ドンっと机を叩き
「殺すに決まっているじゃないですか!貴方は、イジメたバカを見逃せとでも言っているのですか?」
と、校長に詰め寄る。
しかし校長は、大量の汗を噴出しながら、
「でも、責任は誰が持つのでしょうか?・・・・もし殺した後、親が訴訟でも起したら・・・・」
反抗的な態度を取る。
さっきまで、ヘコヘコ低姿勢のイエスマンだった癖に、生意気だ。
「そういう事ですか。
俺達の任務の邪魔をするのですね。
では、貴方をイジメた人物を庇い、俺達の任務の邪魔をした罪として、ここで処罰します」
そう言うと、右腕から剣を取り出す、校長の目の前へと翳した。
すると、校長は
「ひぃいいい!待って下さい!わかりました!マキという子が居る所まで、連れて行きます!」
奇声を上げながら、その場に大きく尻餅を付く。
全く、こうなるなら、ツベコベ言わず連れていけよ。
「なら、早くして下さい。俺達は暇じゃないんだ」
校長をにらみつけると、剣を右腕にしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます