夜叉九郎について:後篇

さて、夜叉九郎やしゃくろうが結果的に住む事になった街に、亜人ゴブリンを始めとした魔物が襲来したのは、彼がこの世界に来てから1月の事であった

亜人たちのようなタイプの魔物は、実利を重んじ細く長く利益を得ようとする人間の

盗賊シーフや、独自の美学で動く魔族に比べて、根こそぎ奪い尽くし、

都市を崩壊してしまう事もあった

街では、喧々あーだ諤々こーだの大激論が交わされたが、結論は出なかった

そんな中夜叉九郎は

『議論しているだけ、無駄だ!!

俺だけでも戦うぞ!!

少しでも、生き残る可能性の方に、賭けるんだ!』

『ふむ、昔うちのじいさんも、同じような事言ってたなあ

…よし、やるか!』

と、それを聞いて同じように考えた者たち(といっても十数人)と一緒に奇襲をかけた

その結果、死者を一切出さずに、亜人たちを退散させることが出来たのだ




少女ひふようしゃがなにか描いていたので、三楽斎さんらくさいは尋ねた

『うん、なにを描いているのかね?』

少女は恥ずかしそうに、絵を見せた

『ほうほう、これは良い若武者だ』

それは、亜人退治に向かう夜叉九郎だった




この街では、その後、武者サムライ剣豪ケンゴウになりたがる若者が増えたそうな

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