第12話
フウコは床から起き上がることができず、倒れたまま男の凶行を見た。一瞬のうちに命を奪われた我が子の無残な姿を見て、ショックと怒りで声さえ出せなかった。
赤ん坊を壁に投げつけた後、興奮しているのか、荒い息で目を血走らせた鬼は再びフウコの元へと戻ってきた。何とかこの場から逃れようともがいてみたが、男に床から剥がされるように仰向きにされ、馬乗りになった状態で顔を何発も殴られた。口の中に血の味が広がり、徐々に遠ざかる意識の中で、
「いつもいつも俺を蔑ろにしやがって!あいつさえいなければ・・あいつさえぇぇ・・・!!」と、いう声を聞いた。
散々顔を殴られた後、男が残りの恨みを晴らすかのようにフウコの腹を蹴っているときに、動かない赤ん坊の頭がぼやけた視界の隅に映った。もうこのまま殺されてもいいと、フウコは唸りながら涙を流した。
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