始まりと終わりの予感

 北海道に移住して、気が付けば2ヶ月が経っていた。


 住み慣れた土地と仕事を捨て、慣れない土地と仕事に就いて過ごした2ヶ月。昼間でも氷点下の、雪と氷に覆われた世界にはまだ慣れないけども、意外と寂しさは感じていない。


「25日に忘年会です。プレゼント交換しますので、各自1,000円くらいで何か買っておいてください」


 課内に回されたメールを見て「面倒な事を……」と苦笑した。別にクリスマスに予定なんてないのだが、職場の人達と過ごすのは少々勘弁してほしい。「サンタの格好しろ!」とか何とか、もっと面倒な事を言われたら堪らん。


 みんな師走の慌ただしさと目の前の業務に追いかけられていて、私は仕事をしながら、そんな様子を視界の隅に捉えている。


 本当はみんなそわそわしているに違いないのだが、きっと表情に、態度に出さないだけ。

 イルミネーションのキラキラや、お店の中で流れているクリスマスソングや、「クリスマスケーキの予約承ります」の文字に、どこか浮足立っているに違いない。


 それと同時に、クリスマスの向こう側に見え隠れする「年賀状」や「おせち料理」と言う文字……

 もうすぐやって来るであろう新たな年に、寂しさとも期待とも取れない、何とも複雑な感情があちこちに漂っている。


 デスクの上にも、廊下にも、パソコンの画面にも、スマートフォンの画面にも……


 そう、みんな感じている。


 2017年の終わりを。


 そして、みんな聞こえている。


 2018年の足音が……


 さて、忘年会のクリスマスプレゼントは、何を買おうか。

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