第125話東礼次郎
「ここが、有名な仮眠室ですか。」
礼次郎は、仮眠室に入って言った。
「有名?」
春男が礼次郎に聞いた。
「本庁では、有名なんですよ。木村太郎さんは。」
「俺は?」
「喜多島春男さん、あなたも有名ですよ。木村さんの相棒として。」
「ふーん。」
春男は、まんざらでもない顔をした。
「でさ、礼次郎君は、今回の事件どう考察してるの?」
コタツに入っている太郎が聞いた。
「変態ですね。」
礼次郎は、不敵な笑みを浮かべて言った。
「そんなん、誰でも分かるだろ…。」
春男が呆れた顔をして言った。
「俺は、逆だと思う。」
太郎は、礼次郎を見つめて言った。
「逆ですか?」
「うん、社会不適合者で常に緊張状態の臆病な人間の犯行だと思う。」
「じゃあ、何で幼児ばかり狙うんですか?」
「純粋無垢だからだよ。まだ社会に汚されてない子供を狙う。自分は、社会に踏みつけられている人間だからね。」
「でも、それだけでは犯人にたどり着けませんよ。」
「大丈夫だよ。もう犯人像は絞られた。」
太郎は、春男を呼んで耳元で何か伝えた。
「了解。」
春男は、仮眠室から出て行った。
「いや、逆ですよ。」
礼次郎は、笑った。
「ほう。じゃあ東君のプロファイリングを聞かせてくれる?」
「エリート。金持ち。美人な彼女。全て揃っている人物です。しかし、幼児には特別な感情を抱いている。それを押さえられずに事件を犯す。ずっと押さえていた変態な気質が出てるんですよ。」
「ふーん、なかなか具体的な考察だね。」
太郎は、素直に感心した。
「どっちが正しいかね?」
礼次郎は、不敵に笑った。
「木村太郎さんを出し抜く夢を見てたんです。」
「エリートの正義?」
「はい。」
「違うな、君は誰かに認めてもらいたいだけじゃない。」
「今度は、僕のプロファイリングですか?」
太郎は、ニッコリ笑った。
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