第46話陽動
某所、駅前にて待ち合わせ。
「おい!太郎何で俺が受け渡しをしなきゃなんねーんだよ。」
駅前に立っている春男は電話で近くの喫茶店にいる太郎に文句を言った。
洋平も梓もテーブルに座っている。
「だって、防弾チョッキ一つしかかすめて来れなかったんだもん。」
「理由になってねーよ。」
そんな、話をしていると約束の時間になってスーツ姿の男が春男に声をかけた。
春男が小包を男に渡すといきなり春男が倒れた。
男は、走った。
太郎は、いつの間にか男を追いかけている。
梓も洋平も唖然としながらも太郎の後を追いかけた。
男は、小道を選んで走っている。
太郎は、男に気が付かれないように追いかけている。
しかし、途中で撒かれた。
梓と洋平が、息を上げながら太郎に追い付いた。
「見失っちゃった。」
「え?ダメじゃないですか!」
梓は、おろおろしている。
「沼田君、どう?」
「はい。GPSはバッチリです。」
「え?」
「念には念だよあずあずは。男の持ってる小包にはちゃんと高性能発信器が装着済みなのだ!」
「木村さん、ふざけてるんですか?」
梓は、洋平の髪の毛をガシガシしている太郎を睨んで聞いた。
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「あらあら?普通の有限会社みたいだね。」
三人は、GPSを頼りにヒビが所々に入った小さなビルの階段を上がった。
扉を開けると、【無我夢中】と書かれた額縁が掛かっている部屋が現れた。
部屋中には、煙草の煙がモクモクと漂っていた。
どう見てもヤクザの事務所だった。
「何だ!てめー!」
「いやー春日滋君の友人の知り合いです。」
「春日…春日を知ってるのか?」
一番奥の机に座っている色黒でガタイの大きな男が声を上げた。
「知ってますよ。春日君を事故に見せかけて殺して春日君から渡されるはずの爆発物を奪って駅前のゴミ箱に捨てて爆破させたのはおたくらの組でしょう?」
「下らねぇ、それが真実だとしても何の根拠があってガキを殺して爆発物を奪って駅前のゴミ箱で爆破させる意味があるんだよ?」
「ガキ?俺は、春日君が子供だとは言ってませんよ。まぁ、春日君に金を出すのが、不可能になって春日君を殺して爆発物を奪ったは良いが抗争中の組の頭が死んでしまって爆発物の使い道が無くなったあなた達は、爆弾魔を装うって爆発物を処理した。」
理路整然と語る太郎とは正反対に、この状況下で梓も洋平も震えている。
「何の証拠もねぇ。」
「ありますよ。そこの扉の奥にいるチンピラ。うちの鑑識をサイレント銃で撃ってくれた彼が持っている爆発物は春日君の持っていた爆弾と同じ型です。後、この事務所のパソコンを調べれば春日君と春日君の友人のパソコンにアクセスしたデータは残っている。動かぬ証拠かな。」
「てめーら!パソコンを壊せ!」
そうガタイの大きな男が命令すると窓ガラスを突き破って警察の特殊部隊が突入して銃を向けた。
「あずあず、やっぱり念には念だよね。」
太郎は、鼻の穴をホジリながら呟いた。
梓と洋平は、冷や汗をかいてしゃがみこんでしまった。
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