今日も風が吹いている

風は単なる自然現象で珍しくもなんともない

風は一年中吹いている

春の風と秋の風は心地良くて気持ちがいい

冬の風は冷たくて身震いする

夏の風はこじらせると大変　それは夏風邪

あのときも風が吹いていた

気温はそんなに低くはなかった

でも　思い返すと風は冷たいイメージがある

とても冷たい突風がすべてを吹き飛ばしてしまった印象がある

ここに立って風を感じることで　いろいろなことが脳裏を過（よ）ぎる

当時の状況だったり　いなくなった大切な人のことだったり

ボクの身体を暖かな風が吹き抜けていく

たくさんのものが見える　キミの顔も見える

たくさんの声が聞こえる　キミの言葉だって聞こえる

風はボクの心の奥底にあるものを見せてくれる

まるで心のスイッチをＯＮにして心のＤＶＤを再生するみたいに

しばらくは風を感じるのがとても辛かった

キミの顔はとても悲しそうで　声はすごく苦しそうだったから

きっと　ボクの心が泣いていたから　ボクが現実を受け入れられなかったから

でも　今は違う

キミは微笑んでくれる　優しい言葉を掛けてくれる

こうしてキミに会うことでボクはがんばることができる

今日も風が吹いている

風は単なる自然現象で珍しくもなんともない

でも　絶対に止むことはない　

三月十一日（この日）　ボクは必ずここに来る

そして　身体じゅうで風を感じる

大切なものを　忘れてしまわないように

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