馴染めぬ2人

夕暮れ、艦橋がオレンジ色に染まる頃ファメスは落ち着けなかった。

偵察は明日の早朝4時に行われる。

ユキが本当に行けるかわからなかったのだ。

敵機が襲ってきたのは方向からして、連絡の取れないデスアン基地からだった。

ファメスはそれで落ち着けなかった。

「サーベル総帥!」

通信兵がサーベルを呼んだ。

「ボスフォラスからです。嵐でカゴーラ軍港を13時間遅れで出発。合流は予定している明朝4時には着かないため、W(ウィスキー)ポイントで待ってほしいとのこと。到着予定は明日午後6時。以上。」

サーベルは少し考えたが承諾した。

「まぁいたかたないだろう。嵐には文句言えんしな。」

そう言い艦長席に深く腰掛けた。

「両舷微速!」

サーベルが声を張り指示を出した。

「通信兵、本部に作戦開始は一日遅れて明後日の午前10時に変更す、と送れ。」

通信兵はメモに書き、終わると敬礼して戻った。

「ファメス中将、前にいるサーザー、後ろのアンダーにこのことを伝えてくれ。」

サーベルがファメスにも指示を出した。

「わかりました。訓練生の乗艦についても連絡しておきましょうか?」

ファメスが聞いた。

「あぁ、そうしてくれ。」

「わかりました。」

夕日は水平線下に沈み、艦橋にはライトが灯された。

「ファメス中将、しばらくここを頼む。飯を入れてくるからのぉ。」

サーベルがゆっくりと艦長席から立ち上がり艦長室に向かった。

その頃食堂は祭り並みの賑わいを見せていた。

「わぁ…多いなぁ…」

スーザ達は食堂の入口で戸惑っていた。

するとすぐ横の扉を開け、ユキが入っていった。

「ユキ?」

スーザの声はギリギリしまったドアの後に発せられた。

「スーザ、ついていくか?」

「お、おぅ。」

スーザはマロニスと話して付いていくことにした。

スーザは重めのドアを開けた。

「ユキちゃん久しぶり!」

そう言いユキに抱きつく白衣の人がいた。

「ギャンの亡くなったあとどうしてたか心配だったのよ?」

「すみません、マーナさん。」

その話の中にスーザが入っていった。

「ユキ!こっちは調理場だぞ?」

「ごめんなさい。この人に用があってね。」

ユキがスーザの言葉に返した。

「あら、訓練生の子達ね。私はマーナって言うおばさんよ。宜しくね。」

そう自己紹介したのはマーナ=ダウンロスだった。

「またあとでお風呂借りますね。」

「あぁ、いいわよ。また後でね。」

会話のあとスーザ達とユキは外に出た。

「少し減ったかな?」

ここの食堂は基本セルフ。

バランスを考えて取るように心がけてレーンが設けられている。

「俺はこれと…これと…」

マロニスが肉ものを多くとると隣から野菜を大量に取ってマロニスの皿に置く腕が見えた。

「君、野菜をもっと多く取れ。」

それはバンだった。

「あ、すみません…」

その2人の横をユキが通り過ぎていった。

ユキはパンと牛乳とサラダだけだった。

「あれで腹いっぱいになるのかな…」

ゴーラスが小さな声で言った。

全員食事をとったあと部屋に戻った。

「スーザ、俺たち風呂行ってくるから。」

マロニスが着替えを持って風呂に向かった。

それと入れ違いにユキが戻ってきた。

ユキは自分のベッドの上に横になった。

すごく長い時間を過ごすような感じがしてスーザは落ち着けなかった。

ユキは明日の偵察に備えて眠った。

明日の長い1日のために…

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