第64話

「イタッ!」


 こぶしが突き刺さったのはなんと、ベルダイアのおなかだった。

(げえっ!まじか。)


「ダイス?何をしているのかしら・・・?」


 ベルダイアの眉間には深いしわが寄っている。


「ここは女子寮ですよ?魔法で隠れているつもりでもバレバレよ。おまけに人のおなか殴っといて、謝りもしないの?」


「あ!!す、すみませんでした!ここに来た理由はですね・・・。」


 ダイスはそう言ってダッシュで走り始めた。


「あ!こら。待ちなさい!!」


(く・・・。に、逃げられた。)


 ベルダイアの中で、ダイスへの訝しみが強まった。


*  *  *


「あぶねー。ベルダイア先生の腹だったのか。案外、や、柔らかかったな。腹筋、ないんだろーな。」


 失礼なことをがっつりと考えているダイスであった。


*  *  *


「ミシェル。ちょっといい?」


 ミシェル達の部屋にベルダイアがずかずかと入りこんできた。


「はい、何でしょうか?」


「ネマさんは悪いけど、外してくれない?」


「あ、先生大丈夫ですよ、ネマも知ってますから。気兼ねなく話してください!」


 ミシェルが笑顔で言う。


―――ブチッ。


 なにかが切れた。


「・・・ミシェル、私、口外するなと言ったわよね・・・?」


「え、言いましたっけ?」


 とぼけるミシェルにベルダイアは怒る気力を失った。


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