第62話


「この話、ラルトスにも内緒よ。あいつ、言いふらすの早いから・・・。」


「あ、そうなんですね。だから、帰らせたんですか。」


「ええ。とにかく、頼んだわよ?ほうら、こうちょうせんせえ、頭を下げましょうか。」


 そう言って、ベルダイアが校長の頭をわしづかみし、無理やり頭を下げさせる。


「あ・・・、わ、わかりました・・・。」


 ミシェルとライトは乾いた返事しかできなかった。

 そして、軽く頭を下げて校長室を出た。

 校長室の中からは校長の鳴き声がしくしくとベルダイアの上品な笑い声が漏れて聞こえていた。」


*  *  *


 寮に帰るろうとすると、ミシェルはできれば会いたくなかった人物と遭遇した。


―――ハーブだ。


「ミシェルぅー!」


「ハ、ハーブちゃん・・・。」


 先程あの話を聞いたばかりだから、なんだかぎこちなくなってしまう。


「寮に戻るの?忘れ物したから私、また学校行かなくちゃ。あーもう暗くなるねー。じゃあ、また明日!」


 一方的にハーブがしゃべり、会話?は終了した。

 ハーブはミシェルに背を向け、学校に戻る道をたどり始めた。


 背を向けたハーブの目は恐ろしいほど冷たいものだった。


(本当に・・・スパイなんだろうか?)


 こういうことに疎いミシェルは、ハーブが笑っていなかったことに全く気付いていなかった。

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