第54話

 結果は決まっている、見かけの進級試験が始まった。


 ミシェルの最初の相手は正規入学者になれなかった水属性の生徒だった。

 この水属性の生徒とミシェルはすでに進級は確定してある。

 だが、本人たちはそれを知らないので、一生懸命に戦う。


『はじめっ!』


 審判の声が空高く響く。ミシェルと生徒は面と向き合い、魔法をぶつけ始めた。


『やめっ!』


 結果はオールラウンダーであるミシェルの勝利。

 生徒は唇を噛みしめ、涙をこらえる。そこに水属性の担当教師タイトが近づき、正規入学者として認める、と告げる。 

 すると、生徒の顔はみるみる涙でそまっていく。なぜ負けたのに、進級できたのか、分からないという顔をしつつも喜びの表情が表に出ていた。


 ミシェルはとりあえず、私は!?とおもっていたが、なんとなく1番という称号をもらいたかったので目の前にある1つ1つのバトルと向き合うことにした。


*  *  *


 最後に残ったのは、ミシェルとテイル。

 テイルは正規入学者ではなかった。前の入学試験では水属性だったが、オールラウンダーへと転向した天才少年だ。

 ベルダイアが波乱が起こると心配していた種の生徒でもある。


『はじめっ!』


「「よろしくお願いします!」」


 最後の決戦とあって、みんなの視線が集中している。


 静寂が試験会場にはしる。

 するとミシェルが倒れた。


『やめっ!』


 会場にいた人たちは何が起こったのかわからないという顔をしていた。

 それもそのはず。

 2人とも声を全く発していなかったのだ。その中で急にミシェルが倒れた。


 モニターでその状況を見ていた校長とベルダイアは顔を見合わせた。


「やはり、無詠唱の力をつけてきていますね。何もしていないように見えても、彼は、テイルは魔法をしっかり発動していた。魔力が強いものにはきっとその魔力線が見えていたでしょう。」


「ああ。多分ミシェルにも見えていたはずだ。あの子の魔力は強すぎるぐらいだからな。」


「校長、テイルに景品を与えなければならないですね。寮の部屋、余ってましたっけ?」


「いや、あまり部屋はないはずだ。」


「でしたら、校長の部屋を一ついただきましょうか。」


 ベルダイアが天使のような笑みを浮かべる。


「私の部屋をだと・・・??!」


「ええ。」


「くううう!!・・・わかった。そうしよう。」


 ベルダイアに今回も負かされてしまう校長であった。


「さあ、進級できる生徒たちの紙を貼りだしましょうか。手伝いなさい、校長」


「はい。」


 命令もされる校長であった。

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