第49話

「校長!!いるのはわかっているんです!出てきなさい!!」


 トイレの中で大声を出すベルダイア。普通科で勉強している生徒たちに聞こえていないか冷や冷やする。


「・・・いつも、こんな感じで探しているんですか?」


「ええ。いつもよ!今日はいつもよりひどいかもしれないわ。魔法のにおいがかすかにするから、魔法で姿を隠してるようよ。」


 びくり、とその近くでこの言葉を聞いていた校長の肩が揺れる。

(はやく、どっか行って!!えぐ、えぐ。)

 ベルダイアが怖すぎて、止まりかけていた涙がまたあふれだしてくる。


「校長っ!さっさと出てこないとあなたの変態歴をここにいるミシェルと、普通科の生徒たち全員にばらすわよ!いいのかしら!ええ?」


(・・・!!また、こうやって私を脅す!!私をなんだと思っているんだ!ベルダイア君は・・・。だが、ばらされるのは非常にまずい・・・仕方がないから出るか。仕事・・・したくないなあ・・・。)


 涙をローブでごしごしと拭き、手鏡で目に泣いた跡が残っていないかささっと確認する。


「う、ううん!!」


「あっ、ベルダイア先生!校長先生いましたよー。」


「あーら、校長先生。こんなところにいらしたのですね?」


 ベルダイアが白々しく話す。


「たっくっさんの、仕事が校長室で待っていますわよ・・・?」


「・・・・・・。」


 ミシェルはこのやり取りを苦笑いしながら眺めていた。


「さあ、帰りますよー。ミシェルもお手伝いありがとう。あと30分時間あるわねー。お礼に、校長の変態歴聞かせてあげる。」


「はあ、ありがとうございます・・・?」


 喜んでいいのか悪いのかよくわからないお礼だった。


「・・・!!出てきたら話さないと言っていたではないか!!ベルダイア君!」


「え?そんなこといいましたっけ?まず、校長が仕事をさぼるからいけないのです。いやなら真面目に仕事をなさってください。」


 とぼけるベルダイアに校長は歯噛みするが、自分が悪いのは事実なので我慢した。


「校長先生の変態話は後日お願いします、ベルダイア先生。私、優等科教室に戻ります。」


「そう、残念だわ。この楽しい気持ちを共有できると思ったのに。」


「共有せんでいい!!」


 かわいそうな校長の叫びが廊下に響き渡った。


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