第46話

 「おはようございます。皆さん。昨日の旅は多少トラブルが発生しましたがいい経験となったことと思います。お疲れ様でした。ちゃんと夜は眠れましたか?」


 ラルトスの言葉で優等科の1日はスタートした。


「今日の授業・・・は自習のようなものになりますけど、勉強です。あくまで、自習のようなものですので自習ではありませんが。課題は決めてあります。」


「課題って、なにするんですかーー?」


 ケイスの質問にラルトスは応える。


「昨日の旅についての反省文を書いてもらいます。そのあとに昨日の旅の罰として、”数学”という異国から仕入れた勉強をしてもらいます。終わった人から休憩をして下さい。」


 この言葉に8人の生徒は首をかしげる。ミシェルだけが動じなかった。ミシェルは当たり前のごとく毎日数学を勉強していたので普通、という感覚しかない。

 異界から仕入れた勉強って、日本とこの国はどういう風にしてつながっているのだろうか。

 ミシェルの頭には微妙な疑問が残った。


 ラルトスが問題がずらりと書かれているであろうプリントと作文用紙を配布する。


「え?なにこれ??」


 メドアサニアがぼそりとつぶやく。周りを見渡してみると、ライトもユリと一緒に首をかしげてプリントとにらみ合っている。なんとも和ましい光景だろうか。


「あ、言い忘れてました。できなかった人には補習が待っていますので。今日の夜ですね。ちゃんと勉学を身に付けておきましょう。制限時間は本日正午までとしますから、終わった人は提出してくださいね。はーい、じゃ頑張って。よーいスタート。」


(正午まで??今、9時だから、あと3時間もあるの?結構長いな。じゃあ問題が難しいのかな。どんな問題だろう。)


 パパッと反省文を書き終え、数学へと進んだミシェルはプリントに目を落とす。

 書かれていた問題は計算・確率・図形・関数などといろんな種類があった。だが、どれもこれも日本語で問題文が書かれている。ミシェルには有利だったが、他の人たちには不利なものになっていた。おまけに、どの問題も中学生までに習うようなもので、ありえないほど簡単な「自習」であった。


 ミシェルはささっと解いてしまい、ラルトスに反省文とプリントを提出した。


「早かったですね。きっとあなたは解けないだろうと思っていたのですが。」


「ふふふ、予想がはずれてなによりです、先生?」


 微妙にラルトスの眉根が上がる。ミシェルとラルトスの間には目に見えない何かが飛び交っているようだ。


「では、休憩をどうぞ。」


「はい。あ・り・が・た・く、休憩させて頂きます。」


 ミシェルは手早く机の上を片づけ、教室を後にした。


 教室の中では、


「何でミシェルはこのいびつな文字が簡単に読めて、この変な問題を解けるんだ?」


 などという会話がぼそぼそと行われていた。


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