第42話

 役所に再び戻ってきたミシェル達は先に戻っていたライトたちと合流した。


「・・・とりあえず。サラとプアル、ケイス、ニュトとウォーリナ。・・・無事でよかった・・・。」


 ラルトスの絞り出した声から本気で心配していたことがわかる。だが、優しい言葉はそれだけだった。いかにもラルトスらしい。


「・・・約束は守りなさい!!あなたたち。日暮れには戻ってくるように私は言ったつもりでしたが・・・?勘違いでしたか?約束を守れる保証がないところに何故行ったのですか!?」


 言葉だけ聞けば、普通に怒っている母親―――と言う感じだが、顔を見れば鬼だ。

 目をギンギンに吊り上げ、口は裂けそうなくらい開いている。おまけに頭の上には角が生えて・・・?

(角?人間だからいくらラルトス先生でも角は生えていないはず・・・。)

 と思って角を凝視すると、人間の指であることに気が付く。後ろに誰かがいるのだ。


「やっほーい!」


 ラルトスの後ろから出てきたのは校長だった。にやにや顔の。ラルトスは校長をしっかりと殴りつけた。


「い、痛いなあ。まあ、ラルトス君、怒るのはそのくらいにしておきなさい。初めての旅でピリピリしているのはわかるが、そのぐらいで。大変だったね皆。今日はゆっくり寮に帰って休みなさい。もう真夜中だよ。よく頑張ったね。リリも遅くまでお疲れさま。こんな時間まで付きあわせてしまって悪かった。」


 校長のねぎらいの言葉に恐縮したリリ。「そんなことないです、私の責任でもありますから!」と焦って答える。


 ペしい。

 いきなり校長が誰かにたたかれる。


「イタタタ。」


「こらっ!校長!!子供たちを心配するその心には感心しますが、仕事は真夜中になってもたくさんあるんですよ?ええ?昼間さぼってくれたおかげで、いつもの10分の1も終了していません!!」


 ベルダイア様のご登場である。

 ベルダイアの存在を認識した校長の顔はゆがんでいた。そして、目からなんと・・・!!涙がこぼれているのだ!!

(えーー!泣いた?!ベルダイア先生ってそんなに怖い人なの??)

 ミシェルは困惑の表情を浮かべ、連れ去られて行く校長を静かに手を振りながら見送った。


「早く帰るんだぞ――!!えぐ、えぐ。」


「さあ、校長先生もきっと今から仕事を頑張るでしょうから、私たちはぐっすり休みましょう。帰る準備はできてるわね?帰ったら、各自ステータスの確認と、反省をしておきなさい。」


 そう言ってラルトスが10人分のワープ魔法を使用する。

(・・・!!10人分使えるの!?さっき、蛇蛇蛇荘から帰るとき使えないって謝りまでしたくせに!!嘘つきーーー!)

 少し、いや、かなり悔しさが芽生えたミシェルであった。


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