第20話

 ミシェルはその夜、夢を見た。


 目の前に立つ男の子。きれいな顔立ちをしている。


 「あなたはだあれ?」


 と聞くと、


 「僕は・・・」


 と口を開くが、その続きが聞こえない。


 「もっと大きな声でーーー!」


 とミシェルが相手に言ったところで現実の世界に引き戻された。


「誰だったんだろう。なんだか懐かしいような・・・あったことがある人かな。あんなきれいな人いたっけ。知り合いに。それかこれから会う人なのかな。」


 いろいろ考えるミシェルの隣のベッドではすやすやと寝息をたてて眠っているネマがいる。

 ネマを見て、


「まさかね、ネマちゃんは女の子だし。確かに似てる気もするけど、あれは男の子だった。」


*  *  *  *  *  *


 朝食を食べるために5階にある食堂へと1人で向かっていたミシェル。すると上から、すごい勢いで降りてくるライトとぶつかった。


「きゃあっ!」


 階段だったため、うまくバランスが取れず、階段から落ちそうになる。ライトはそれに気づき、手をのばしミシェルをつかもうとした。だが、間に合わない。

 ミシェルは階段を真っ逆さまに――――


 落ちなかった。


 下にいたかわいらしい男の子が支えてくれたのだ。


「あ、ありがとう?」


 誰かに似ている気もするが、とりあえずライトに文句を言わなければならない。なので、男の子と話すのは後にした。


「ちょっと!危ないじゃない。階段で走るのはやめてよねっ。助けてもらったからよかったものの落ちてたら、骨折じゃすまなかったかもしれないんだから。」


「すみませんでした。もう、しません。」


 素直に謝るライト。根はまっすぐのようだ。

 ライトに文句は言ったので、助けてくれた男の子と話そうとするが、彼の姿はどこにもなかった。


(うーん、誰かに似てたよなあ・・・・!!!!あっ、夢の中に出てきた男の子とそっくり!やっぱりこれから出会う人の夢だったのか。じゃああの男の子と何か関係ができるってこと?きゃーーー。今まで男の子とそんな関係になったことないから期待しちゃう。そっかー、あの男の子は魔法学校の1年生だったのか。また、会えるかな。今日は逃げられちゃったみたいだけど)


* * * * * 


 ミシェルを助けた男の子は人目のつかないところに移動し、かつらをかぶる。栗毛のカールしたかつらを。

「顔、見られちゃったかな。僕が男の子だってばれたかな。」


 ネマは自分に問いかけていた。

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