第12話

 ベルダイア先生のわがまま、ごほん。失礼。諸事情により、一時中断されていた4つ目の試験は予定されていた通り、30分後に再開された。


「悪かったわね。集中力を切らすようなことしちゃって。4分って微妙だから、5分きっちりやり直しましょうか。」

「え。いいんですか?私のアピール時間を延ばすことになりますけど・・・」

「私の責任だし、ちょっとサービスってことで。」


 2人を見ていた校長先生はうんうんうなずき、ほほえましい表情をしていた。

(生徒と先生の心が通う瞬間ほど、たまらんものはなーいっ!)

「ではでは、よーいスタートっ!!」

 校長先生が上機嫌でスタートの号令をかけた。


(今度は、火技でベルダイア先生の周りを囲み、風魔法で竜巻を落とすっ、そして地魔法で穴を・・・ベルダイア先生の足元に作るっ!)

 ミシェルはふっふっふ、とかわいらしい顔ににつかない不気味な笑いを漏らした。


「ファイアー、火の塊を宙に浮かべ、ベルダイア先生の周りを囲めっ!」


 この声とともにベルダイア先生の周りを精霊が入った火の塊が逃げ場をふさぐように囲んでしまう。

 ベルダイア先生はミシェルの能力を見極めるためのテストなのでわざと技に引っかかり、結界のみでやり過ごすことにした。


「ウィンディ、風の流れを自由に操り、竜巻を作れッ!」


 この声とともにベルダイア先生の頭上に風が集まり、竜巻があっという間にできる。

 竜巻はミシェルの思い通りに動き、ベルダイア先生に向かい一直線に風を巻き上げる。

 ベルダイア先生は結界を二重にし、踏みとどまる。

 (なかなかの威力だわ。私でもここまで簡単に風を操ることはできないわ。この子はいったい何なの?)


 ミシェルはさらに追い打ちをかけるように、地の魔法を紡ぎだす。


「アース、地を清め・・・?」

(あ、間違えた。基本魔法では地を清めなきゃいけないけれど、大きな穴を掘るから、清めちゃ意味がないわね。地盤を一部緩くする魔法に変えなきゃ。)

 初歩的なことに気づき、ちょっと慌てて魔法の詠唱内容を変える。


「アース、地を緩め、地に穴を掘れっ!」


 すると見る見るうちにベルダイア先生の足元の地の地盤が緩み、液状化していく。そして穴が開いていく。ベルダイア先生はこれはまずいなと思い、二重の結界のほかに飛翔魔法を使った。

 ベルダイア先生は竜巻、火の塊たちを軽々とよけ、ミシェルの前に降り立った。


「はい、5分終了。お疲れさま。結果は後から校長先生と話し合うわ。」

「今、判断できないんですか?」

 ごもっともな質問をすぐさま返す。

「・・・疲れたのよっ、あなたが予想以上の力を出すからっ。本気で攻撃するなんてひどいわっ!」

 子供じみた反論をしてきた。うわ、真っ赤。ベルダイア先生ってこんなキャラなんだ。

「とにかく、休憩を頂戴。第5試験は悪いけど、明日にしましょう。回復に時間がかかりそうだわ。あなたもあれだけの魔法を使えば、疲れているはずよ。」

「いえ、全く。」


 この言葉を聞いたベルダイア先生は卒倒した。

「べ、ベルダイア先生ーー??」


 校長先生はミシェルがぐちゃぐちゃにしてしまった試験会場を丁寧に修復していた。

 ミシェルは第4試験の結果がとても気になっていたが、倒れているベルダイア先生を見て、それどころじゃないな、と思った。

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