第7話 永遠の海道

 俺たちは今、海底の洞窟を歩いている。

 ここは


 ――第一の試練、永遠の海道――


「暗くて怖いですー!」

「ルナ……やっぱり、くっついてきてたのかよ」

「もちろんです! あれ? ギルバードちゃん、大丈夫ですか?」

「あ、ああ……」

 ギルバードは周りを警戒しながら、慎重に、慎重に歩いている。


「大丈夫だ。ここには魔物は入り込まないし、トラップなどの危険はない」

「そ、そうなのか」

 そう。危険はない。危険は、な。


 一番後ろを歩く、鉄仮面を被った魚人はまだひと言も喋っていない。

 何とも不気味だな。一体、何者なのだろうか。


 俺たちは歩く。ひたすら歩く。歩き続ける。

 退屈でイライラしてくる。


「何もないですねー。どこまで続くですか?」

 ルナがあくびしながら訊いてくる。

「うーん。わからん」

「え?」

「前は確か……10年くらい歩き続けたかなぁ」

「じゅ、10年!?」

 ルナとギルバードが飛びあがって驚いた。

「ここは外界と時間の流れが異なるらしいから、実際に歩いていたのは数十分程度なんだけどなー。その時その時で、“流れ”の速度が違うらしいから、どれだけ歩けば出口にたどり着けるかはわからねぇんだ」

 1000年歩き続けたやつもいるって話しだったかな。途中で発狂し、自ら命を絶つものもいるらしい。


『レオン様。今回は“あれ”はご遠慮願いますよ』

 突然、鉄仮面から低い、反響した声が聞こえてきた。

 こいつ……前の時のことを知っているのか。


 そうだ。前回は、あまりにもイライラした俺がキレかけて、マカロンの力で“流れ”をぶち切って強引にこの海道を抜けたのだった。

「そいつはできない約束だな。俺のイライラをお前さんが止められるなら話は別だが」

 それに対して、魚人は何も応えなかった。

 愛想のないやつだ。こんな鉄仮面被ったやついたっけな。まぁ、海の城にゃ多くの魚人たちが住んでいるからな。俺の知らないやつがいて当然か。

「呆けている場合じゃねぇぞ、ギルバード。とにかく歩かなきゃ、出口にはつかないぞ」

「あ、あ……ああ」


 そして俺たちは、再び歩き始めた。

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