第8話
一度家に帰るとき、再び換金するかどうかのメッセージが表示され、換金する物を選択できたため、【魔石:C】と【ヘルスライムの核】を換金することに。
すると……。
『アイテムを換金しました。【ヘルスライムの核】……50万円。【魔石:C】……50万円』
となり、合計100万円という大金を再び手にすることになったのだ。
たった二日で250万円も手に入れたことに眩暈がしながらも、俺は何とか家に戻り、昼食をとった。
しかも、早速畑にあった食材を使ってみたのだ。
そのときの献立がこれである。
『超力トマトのサラダ』
『無敵かぼちゃと叡智の大根の煮つけ』
『神速ジャガイモの肉じゃが』
これらすべての調理に、『無限のジョウロ』の聖浄水を使ってある。
調理しての感想は、特に地球のトマトやジャガイモと変わらなかったが、味だけが不安だった。
だが、その心配は杞憂に終わった。
「う、美味い!」
驚くほど美味しかったのだ。
俺の料理の腕は人並みだ。だからこそ、この美味さは食材そのものの美味さと言ってもいいだろう。
それに、食事を終え、ステータスを確認してみると、色々と変わっていた。
【天上優夜】
職業:なし
レベル:150
魔力:3000
攻撃力:4000
防御力:4000
俊敏力:4000
知力:2500
運:4500
BP:5000
スキル:≪鑑定≫≪忍耐≫≪アイテムボックス≫≪言語理解≫≪真武術:1≫≪気配察知≫≪料理:1≫
称号:≪扉の主≫≪家の主≫≪異世界人≫≪初めて異世界を訪れた者≫
「めっちゃ上がってる!?」
何と、ステータスは500も上昇していたのだ。
それに、いつの間にかスキルに≪料理≫まで追加されている。
ステータスが上昇した理由も、スキルが追加されたのも、すべて異世界の食材を食べたからだ。
何というか、異世界の食材は反則だな。羨ましい。……いや、その恩恵を受けたわけだけどさ。
そんなことを思いながら、俺は午後、せっかく武器を扱えるだけの筋力を手に入れたので、武術と言うものを調べてみるために、近くの古本屋へ行くことにした。
図書館は人が多く、利用すると毎回嫌な視線を受けるため、行きたくないのだ。そんな理由からも今から行く古本屋は小さくて、人もいないのでちょうどよかった。
用意をすませ、すぐに家を出ると真っ直ぐにその古本屋に向かった。
道中に相変わらず人の気はなく、古本屋についても、お客さんは俺だけだった。
えっと、武術とかのコーナーは……。
「うわぁ、スゲェ……」
目当ての本を探して、その棚を見つけると、びっしりと大量の武術や武道に関する本が並べられていた。
しかも、スタンダードな剣術だけでなく、俺の求める槍術や杖術、鎖鎌術や暗殺術まで、多岐にわたる本がそこにはあった。
……って、暗殺術ってどこで使うんだ!? 怖いな!?
図書館でもこれだけの種類が揃ってるのかは分からないが、とにかく古い本がたくさんあるのは間違いなかった。
流石に全部買うことも、読みきる自信もないので、どうしたもんかと棚を眺めていると、不意に何冊かの本に自然と目が留まった。
それらの本は、全部バラバラの武器や流派で統一性はないのだが、何となく本能的な部分がこれを選べと囁いている気がした。≪真武術≫のスキルが関係してるのかな?
よく分からないが、取りあえずその数冊なら買って持って帰るのも簡単なので、俺は深く考えずにその本を購入し、そのまま家に帰った。
その後は、晩飯の支度をするまで本を読み進め、夕食をすませてからも読み、気付けば新たに≪速読≫というスキルを手に入れて、買った本を読みきってしまった。
ただ、もう夜も遅かったので、実践は明日ということで、風呂に入って布団に入り、眠りに就く。
――――そして、再びあの激痛に襲われ、俺は気を失うのだった。
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