第29話 成長しました 

申し訳ないです。1話すっとばしてました。こっちが29話です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 

「そう、そのままゆっくり撹拌して、火は弱火で温度を上げすぎないこと。沸騰しちゃうと効果が落ちるからね」


 真剣な眼で調合鍋を睨むアス君。

 初回のマナポーション10本分は失敗してしまいました。今度は上手くいきそう。

 学園でも生徒たちは何回も失敗してましたが、2回目で成功するとはアス君は調合の才能ありですね。ん、エレーニアは一発で成功ですが何か?


「できた…」

「おめでとうアス君。火からおろして粗熱がとれたら器に移そうか」


 瓶は昨日使い切ったので別の壺に全量移し器具を片付ける。

 リュートも最初薬草刻んだりお手伝いしてくれてたが、今は爪の手入れ中です。

 食事前に二人が作ったヒールポーションはリュートの薬草処理が甘かったのかやや効果が落ちたので、ちょっと魔石ランクを上げることで底上げし、初級ヒールポーション50本分完成しました。

 アス君的には不満の残る仕上がりのようで食事中ずっと眉間にシワを寄せていたから、思わず指でアス君の眉間をこしこししてしまいました。


「そんな顔しない、ご飯の片付け終わったら、寝るまでにマナポーションの作り方教えるからね」

「後片付けしましゅ、兄しゃま洗い物しゅるよ!」

「マダ食ベテイルンダガ」

「兄しゃま、食べ過ぎ」


 なんてことがありました。アス君は調合が楽しいようだ。うんうん、頑張る子お姉さん大好きだよ。







 

 ダンジョンでお風呂に入るのもアレなので(魔法で壁こしらえてやれないことはないのだが)服ごと《ピュリフィケイション》をかけてから寝床の用意をする。

 マットレスは他の冒険者が来るとまずいので自重している。

 毛皮を敷き詰め毛布を用意する。アス君が自分の毛布を抱きしめじっとこっちを見る。


「一緒に寝てもいいでしゅか」


  !


 ア、アス君がデレた!!一緒にって、いや宿では1つのベッドで寝てましたがけっこう大きいベッドなので距離がありました。ここはこの狭い毛皮の幅で…いやそんなことはどうでもいいです。またアス君からアプローチです。拒むはずありません。昨日は先に寝てしまったからね。

 はーふーはーふー呼吸整えニッコリ微笑みながら隣をポンポンと叩く。こ、言葉が出ません。

 アス君がちょこちょこと寄ってきてぽすんと毛皮に座ると、私を見上げてニッコリ。あ、鼻から赤い水が…


 リュートはアス君の反対側に横になる。なんだか視線が冷たい気が、気のせい気のせい。


 いつもより距離が近いです。宿のベッドでは間が少しあったのに今は密着しております。添い寝状態です。ケモ耳ケモ尻尾が触れる距離。

 ありがとうございます、ありがとうございます、もう一度いいます、ありがとうございます。至福の時間がやってきました。眠るのがもったいない、いや寝るけど。


 天井近くに灯していた《ライト》を眼を慣らすためゆっくり光量を落とし消滅させる。壁がほんのり発光しており常夜灯程度の明るさがある。


「ふふ、オネーしゃんと兄しゃまにはしゃまれてあったかいでしゅ」

「ソウカ」

『あたちも、一緒なのヨ』


 おっと、レイディまでもひっついてきました。もふもふ天国ですね。

 普通なら夜番立てて交代で寝るものだけどレイディもいるし、リュートも寝てても気配に敏感だから今回のダンジョン探索に夜番は立ててない。いずれはちゃんとするつもりだけど。

 忘れず結界はって川の字…足元にレイディがいるから山の字でお休みなさい。










 ちょっと暑いかも…










 ふと目が覚めた。魔物の類の気配はしないのに眼が覚めた。レイディが前脚に頭を乗せたままチラリとこちらを見たが直ぐに眼を閉じる。

 横を向くとリュートが半獣化状態で片肘をついてアス君の頭を撫でていた。


「…眠れないの?」


 アス君を起こさぬよう小声で問いかける。リュートは私が目覚めた事に気付いていたようで突然声をかけても驚きはない。


「……エルニハ感謝シテモシタリナイ。コンナ楽シゲナアスハ……村ヲ出テカラ初メテト思ウ。マダ小サイノニ、俺ニ心配カケマイト無理シテタ」


 くうくうと小さな寝息を立てるアス君を見てリュートを見る。


「特ニ、エオカニ来テカラ……呪ト怪我デ、アスヲ独リ、残シテ逝クカモト思ッテイタ時ニ……エルガ現ワレテ……コノ恩ハ……」


 リュートの口を人差し指で塞ぐ。


「私には力があったの。貴方達を助けられる力が。そして私は助けたいと思ったからこれは私の勝手」


 まあアス君の可愛さにやられたのと、家を出てちょっとハッチャケった感は否めないが。


「私は今窮屈な世界から出て自由にしたい事をしてる。私には私の事情があってそれがたまたまこうなったのは巡り合わせが良かったって思うの。リュートもそう思って?」


 リュートの眉間に皺がよる。


「やりたいことがやれて私は今すごく楽しい。アス君可愛いし。ずっと一人じゃきっと寂しくなったと思う。アス君可愛いし。どっちかって言うと私の我儘に二人を巻き込んでるよ」


「エルハ……アスノホウガ……好ミ……ナノカ」


 え、それってショタってコト、いやいやいや。


「だってケモ耳だよ、ケモ耳。憧れのケモ耳、夢に見たケモ耳……あ、ごめん。その……えっと……とある国に可愛いい獣人の物語があってですね〜」


「ブフッ」


 ジト目だったリュートがしどろもどろの私の姿に噴いた。


「本当ニ貴族ノ令嬢ラシクナイ。エルニハサゾ窮窟ナ世界ダッタロウナ」


「まあディヴァン侯爵家うちは他より楽な方だと思うけど、学園とか社交界とかは他の人の眼があるところはねぇ」


「ソウナノカ?ソウダ、今度ソノ異国ノ物語、聞カセテクレ」


 あ〜、それはちょっとどうでしょう?日本の二次作品的なモノはねえ。


「う、ぅん」


 アス君が寝返りを打つ。ちょっと声が大きくなってたかも。


「モウ寝ヨウ」


「うん、おやすみ」











 ぱちっと目が覚めたので《ライト》を光量絞って唱え、時計を確認すると6時だ。目覚ましなくて起きれるなんて我ながら…すごいのはエレーニアボディか?起き上がると動きを察知して二人とも眼を開ける。この辺りは獣人クオリティなの?気配に敏感ですね。


「あしゃでしゅか?」

「オハヨウ、アス、エル」

「おはよう、アス君、リュート」

「おはようごぢゃいましゅ」


 ん、リュートは半獣形態のまま寝たのか?


「さあ、水出すから顔洗って朝ごはんにしよう。今日は午前中は『除虫草』採取して午後には中ボスに挑戦よ」

「は~い」

「アア」


 イソイソと毛布をたたんでそれぞれしまう。最後に毛皮をインベントリにしまった。

 朝食にはパンケーキに一昨日ゲットした蜂蜜とマジェスティハニーゼリーを添えて食べ比べてみた。


「美味イ」

「甘しゃの後にほんのりしゃわやかな風味が、まったりしているようで、しかししつこくなく…」


 食レポしているアス君。マジェスティハニーゼリー、うましっ!ゼリーと言うだけあって蜂蜜より固めでスプーンですくうとぷるんと揺れる。口に入れると体温で溶けてふわっと香りが鼻に抜ける感じがたまりません。これは売らずにキープだ。蜂蜜もくどくなくいい感じだがマジェスティハニーゼリーと比べてしまうとやはり落ちる。

 今日も美味しゅうございました。


 後片付け後に気になってた事を確認する。


「ねえ、リュート。昨夜半獣形態のまま寝てたけど大丈夫なの?」


「アア、HPハ……減ッテナイトイウカ、少シ回復シテル?ダンジョンニキテカラ、カナリノ数ノモンスターヲタオシテルシ、ステータスガ上ッテイルヨウダ」


 私もステータス上った感じはある。


「ちょっとステータス確認して見る?」







 まず私のステータスから。


 名前:エレーニア=ディヴァン

 年齢:16歳

 性別:女

 種族:人族


 HP:★★★★★、★★★★

 MP:★★★★★、★★★★★、★★★★★、★★★★★、★★

 SP:★★★★★、★★★★★、★


 筋力:★★★★★、★

 魔力:★★★★★、★★★★★、★★★★★、★★

 体力:★★★★★、★★★★

 知力:★★★★★、★★★★★、★★★

 敏捷:★★★★★、★

 抵抗:★★★★★、★

 幸運:★★★★★、★★★


 職業ジョブ

 貴族令嬢 Lv.MAX

 王妃(仮)  Lv.★★★★★

 剣士   Lv.★★★★

 騎士   Lv.★★

 拳士   Lv.★★

 戦士   Lv.★★

 槍士   Lv.★★★★★、★★

 弓士   Lv.★★★★★、★

 狩人   Lv.★★★★

 盗賊   Lv.★★

 野伏   Lv.★★

 獣使い  Lv.★★★★★、★

 召喚師  Lv.★★★★★、★

 魔術師  Lv.MAX

 魔導師  Lv.★★★★★、★★★

 薬師   Lv.★★★★★、★★

 魔法薬師 Lv.★★★★

 治療師  Lv.★★★★★、★

 錬金術師 Lv.★★★★★

 魔導技師 Lv.★★

 付与術師 Lv.★★★

 鑑定師  Lv.★★

 釣り師  Lv.★★★

 料理人  Lv.★★★★★、★

 お針子  Lv.★★★

 機織師  Lv.★★★

 細工師  Lv.★★


 下位魔法属性:全属性

 光:Lv.MAX

 闇:Lv.MAX

 風:Lv.MAX

 火:Lv.MAX

 水:Lv.MAX

 土:Lv.MAX

 雷:Lv.MAX


 上位魔法属性:全属性

 回復:Lv.★★★★★、★★

 時間:Lv.★★★★★、★★

 空間:Lv.★★★★★、★★

 爆炎:Lv.★★★★★、★

 氷雪:Lv.★★★★★、★

 樹木:Lv.★★★★

 重力:Lv.★★★★



 加護

 大地母神の加護

 天空父神の加護

 時空神の加護

 (異世界神の加護)


 ステータスの一部とジョブがちょっとだけレベル上がってる。


 次はリュート


 名前:リュート=ダーレス

 年齢:16歳

 性別:男

 種族:虎獣族


 HP:★★★★★、★★★★★、★★★★☆、☆☆☆☆☆、☆

 MP:★★★★★、★☆☆☆☆

 SP:★★★★★、★★★☆☆、☆☆☆☆☆


 筋力:★★★★★、★★★☆☆、☆☆☆☆

 魔力:★★★★★、☆☆

 体力:★★★★★、★★★★★、★★☆☆☆、☆☆☆

 知力:★★★★★、☆☆☆☆

 敏捷:★★★★★、★★★☆☆、☆☆

 抵抗:★★★★★、☆☆☆、

 幸運:★★★★☆、☆☆


 職業ジョブ 

 剣士   Lv.★★

 拳士   Lv.★★★

 戦士   Lv.★★★★★

 爪使い  Lv.★★★★

 狩人   Lv.★★★ ★

 盗賊   Lv.★★

 野伏   Lv.★★★

 農夫   Lv.★★★

 娼妓   Lv.★★★★★、★★

 薬師   Lv.★



 下位魔法属性:光、風、雷

 光:Lv.★☆

 風:Lv.★☆

 雷:Lv.★☆


 加護

 獣神の加護


 HPもMPも増えてるしジョブに戦士、爪使い、薬師が増えてる。格闘家じゃなくて爪使いだったか。


 次はアス君



 名前:アス=ダーレス

 年齢:8歳

 性別:男

 種族:虎獣族


 HP:★★★★★、★★★★★

 MP:★★★★★、★★★★★、★★

 SP:★★★★★、★


 筋力:★★★★★、★★

 魔力:★★★★★、★★★★★、★

 体力:★★★★★、★★★★★、★★★

 知力:★★★★★、★★★★★

 敏捷:★★★★★、★★

 抵抗:★★★★★

 幸運:★★★★★、★★



 職業ジョブ

 剣士   Lv.★

 拳士   Lv.★

 戦士   Lv.★

 弓士   Lv.★★

 狩人   Lv.★★★

 盗賊   Lv.★

 野伏   Lv.★★★

 魔術師  Lv.★★★

 薬師   Lv.★★

 農夫   Lv.★★

 娼妓(禿) Lv.★★

 漁師   Lv.★

 掃除夫  Lv.★ 


 下位魔法属性:全属性

 光:Lv.★★

 闇:Lv.★

 風:Lv.★★

 火:Lv.★★★

 水:Lv.★★

 土:Lv.★★★

 雷:Lv.★★


 加護

 獣神の加護

 魔技神の加護


 ん、やっぱり色々上ってる。ジョブに戦士、弓士、魔術師、薬師が増えている。


「魔術師のジョブが増えてましゅ、やったぁ、薬師も」

「タッタ数日デコノ増エ方オカシクナイカ?」


「リュートはHPMPが上ってる。これで人化できそうじゃない?」


 HPMPの自然回復量は最大値が多いほど増える。安静にしてたり、寝てる時の方が回復量も多い。

 獣人は獣化形態が一番回復量が多く、半獣形態、人化形態の順に回復量が減っていくそうだ。

 あの時私の作ったマジックアイテムを着けて、呪いによる減少と回復量が獣化形態で回復量が少し勝り、半獣形態では減少量が勝っていた。今半獣形態でも回復量が勝っているなら。


「アア。試シテミル」


「回復魔法の準備しておく」


 リュートの身体が淡く輝いた。













 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る