第20話 エオカ冒険者ギルド

1話でエルの年齢が17歳になっていたので16歳で統一します。

漏れあったら教えていただけると嬉しいです。m(_ _)m


2017.11.10、リュート18歳に変えました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 朝、アス君は早起きです。6時の鐘の前にもう起きてます。

 いつも朝早く仕事を貰いに住宅街に行ってたらしい。

 溝掃除、ゴミ集め、庭の草むしりとかの雑用をしてパンや、お金を貰っていたようだ。

 今日はまだ寝てていいよと言うと二度寝した。


 さて、朝はパンケーキを焼こう。昨日買ったフルーツとジャムを付けて。生クリームないから今度買っておこう。買い物リスト増えたな。

 サラダときっとリュートはお肉が欲しいだろうからソーセージも焼く。

 後は紅茶。そうだパン種仕込んどこう、なんだかんだで魔道オーブン使ってないんだ。


 ツンツンとチュニックを引っ張られる、振り返るとウリュ君。


「お手伝い、お仕事しましゅ」


「おはよう、じゃあ朝ごはん食べたら手伝ってもらおうかな。顔洗ったらご飯にしよう」


「兄しゃまゴハンでしゅ。起きてくだしゃい」

 

 ベッドからムクリと起き上がるリュート。獣形態のまま「ふわわぁ」って感じで伸びをする。

 獣形態長すぎてケモノっぷりが板についてますね。

 服を加えて衝立の向こうにのっそり歩いていく。

 洗面所にタオルと桶に水を入れておいといた。先にアス君が顔を洗い戻ってくる。

 どうもリュートは朝が弱いのか、半獣形態で欠伸を噛み殺しながら戻って来た。


 この部屋テーブルはないので床に角猪の皮を引いてそこに出来上がった料理を置いていく。ピクニックみたいだね。

 リュートは半獣形態だと指が短く(肉級がある〜)フォークやスプーンを使いづらそうだ。


「アー、モウイイカ」


 にゅっと爪を伸ばしソーセージを突き刺し、パンケーキを突き刺し食べる。

 まあ、仕方ないよね。


 アス君が食後の片付けをしてくれると言うのでお願いした。

 リュートの手では無理だ。仕方ない。

 バケツに食器を入れタワシでこする。

 水は魔法で出すので外の井戸まで汲みにいく必要はない。


「魔法、便利でしゅね、僕も使えたらな」


 ぼそりと呟くアス君をじっと見る。獣人は魔力量が少なく、魔法を苦手とする種族だが、アス君はそれなりに魔力量がありそうだ。鍛えれば初級くらいはは使えるんじゃないかな。

 そう言うとアス君は期待に満ちた顔でふり仰ぐ。


「習いたい、魔法、勉強したいでしゅ、僕頑張るから…」


「アス、魔法使イノ物語ガ好キデ暇サエアレバ本読ンデタナ」


 必死なアス君可愛すぎ。つい言ってしまった。


「辛くても根をあげないって約束できる?」


 アス君はぶんぶんぶんと首を縦に降る。


「しゅる、約しょくしましゅ」


「じゃあ指切り」


 ちょっと短めの可愛い小指を絡ませ指切りをした。

 楽しそうにお尻をフリフリ、尻尾ゆらゆらさせながら皿を拭く姿、モウ鼻カラヘモグロビン水ガ…


「…スマナイ、恩ニキル。アイツ普段我儘言ワナイカラ、コンナ風ニ言ウ時クライ望ミ叶エテヤリタイ」


 くっ、なんて兄弟愛。うちのクリストフに聴かせてやりたいわ。






 片付けが済んだら武器屋に行ってから冒険者ギルドに行くことにする。

 しかしリュートの武器悩みどころだ。

 今の状態では剣も槍も持てないのだ。困った。父親から狩を習っていたから剣も弓もそこそこ使えたそうだが半獣形態ではどちらも無理だ。


「うーん、こうゆうのもあるが」


 武器屋の親父が出して来たのは篭手の先に刃が三本ついた【爪】と言う格闘家用の武器。

 リーチが短く玄人アイテムな為、需要が少ない。


「数年前頼まれて造ったもののうちの1つでな。安くしておくぜ」


 とりあえず購入して練習してみると言うことです。は宣言通り剣を選ぶ。


 アス君には杖では無く腕輪の発動体を進める。手が塞がってしまうのとここにある杖はあまり性能が良くなさそうだったから。

 杖を欲しそうに眺めるアス君を見てリュートが耳打ちをしてきた。


「アスハ、物語ノ魔法使イガ颯爽ト杖ヲ振ルシーンガ大好ナンダ。隠レテマネ遊ビスルクライ」


 う、杖即買いします。あとで付加つけまくろう。


 後は解体用のナイフとアス君には護身用のショートソードと小さめのクロスボウ、これは折りたたみ式なのだ。飛距離も威力も弱いけど角兎くらいなら仕留められる。

 剣帯の右側にたたんだクロスボウとボルトケースをセットして左にポーチをセットする。

 解体用ナイフは後ろにした。

 リュートもポーチを開ける動作くらいできるかなっと思ったがまあなんとか。

 ポーション持ってないといざと言う時困るから。

 マジックポーチにしおいて正解だわ。マジックポーチなら思い浮かべると手に来るので取り出さなくて大丈夫。


 ちなみにアス君にはマジックポーチ&バックはぴょんぴょん飛んで喜ばれました。ふふふ。

 リュートがボソリと「ドンナ魔術力シテンダ、空間魔法付与トカ……賢者カ大魔導士ナミ?」呟いてましたが、オルフェリア王国王立学園の首席ですが何か?





 武器も買ったし次は冒険者ギルドです。

 ギルドに入ってインフォメーションを見るとそこには耳の長いお姉さんがいました。

 ケモ耳に続いて耳長さんエルフデス。ありがとうございます。

 よく見ればちらほら獣人の冒険者もいます。オルフェリアより獣人国のある北方連合国に近いからか、またはここが冒険者の街だからか。


 と、それよりインフォメーションだ。


「冒険者ギルド、エオカ支部へようこそぉ。ご用件はアルカが承りまぁす」


「すみません、冒険者登録って年齢制限あるんでしょうか」

「えっとぉ、それはですねぇ……」


 ごそごそとカウンターの下から手引書のような物を取り出しパラパラとめくっていくアルカさん。

 語尾が長い上手引書確認しながらなので要約する。

 冒険者ギルドに登録できるのは10歳から。ただし14歳まではパーティ、もしくはクランの加入が必要。さらにCランク以上のパーティリーダーかクランマスターの後見が必要。

 ソロでの活動は認められない。

 ランクアップはギルドで試験を受ける必要があり、ある程度規模の大きなギルドハウスでしか試験を受けられない。


 う~ん、やっぱりむりか。そうするとアス君の身分証がない、どうする?


「ポーターでしたらぁ、運搬業になるのでぇ、商業ギルドに行けばぁ、身分証作れますよぉ~」


 ほう、ポーターは商業ギルドに登録すればいいのか。アルカさんありがとう。


「1人登録したいのですが」


「でわぁ、こちらの用紙にぃ、記入をお願いしますぅ」


  と、渡されたのは申請用紙。


「リュートこれに「エル…ペンガ持テナイ」」


 そうでした。


「じゃあ今日は私が代筆するね。産まれたのは北方連合国でいいのかな?」


「アア、シーデ村ダ」



 名前:リュート

 年齢:18歳

 性別:男

 出身:北方連合国、シーデ村

 職業:格闘家

 その他:得意武器・爪


 こんな感じかな。リュートに見せる。


「格闘家ッテ…」


 とか言ってたけどしかたないじゃん。武器爪だし。


 紙をアルカさんに渡す。


「はい、確認しましたぁ。、あ、その他のところにぃ、パーティ名とぉリーダーの名前をぉ書いてくださぁい」


 パーティ名とな?どうしよ、考えてないよ。2人の顔を見る。


「エルガ決メテクレ。エルガリーダーダ」


「え、私がリーダーなの?」


「僕もしょれでいいでしゅ」


「え~、じゃあ『グリフォン』レイディいるし」


「「………」」


 イマイチのようですね。

 うーん、『エルとケモ耳兄弟』って声に出してないのになぜ睨む、リュート!

『ホワイトタイガー』ってどこかのサーカスか。

 ウンウン唸っているとアス君が


「僕たちオネーしゃんに出会えて『幸運』でしゅよね。『幸運』ってどうでしゅか」


「幸運、幸運…ねえ、『金色こんじきの翼』なんてどう、レイディの羽の色、それになんだか幸運を運んでくれそう」


「うん、なんかお金持ちになれしょうでしゅ」


「…イインジャナイカ」


 リュート非協力的。プンプン。


「じゃあ『金色の翼』で………と、お願いします」


 申請用紙に書き込みアルカさんに渡す。


「では、この用紙を持ってぇ、二階の受付へ行ってくださいぃ。あ、あとぉ、リーダーさんのギルドカードにぃ、パーティ名入れますので貸してくださぁい」



  名前:エル・年齢:16歳・性別:女

  出身地:ディヴァン領、オルフェリア王国

  職業:魔法剣士、冒険者

  所属:ウェイシア王国、クロード領、エオカ支部

  ランク:E

  パーティ:金色の翼/リーダー

  パーティメンバー:


  賞罰:ー


  ギルドカードにチーム名入りました。


「はい結構ですぅ、では二階にどうぞぉ」


 階段を上がると受け付けカウンターがあり、ここには耳の長いイケメンさん。エルフのお兄さんがいました。


「新規登録ですね。では右のドアからお入り下さい」


 ドアを開けるとそこには見たことのある魔道具【鑑定機】だ。

 係りのお兄さんが用紙をセットするとリュートに手を置くように説明する。

 手を置くと青く光りリュートがビクッとした。

 ん~良かった。娼館から逃げ出したのは犯罪にはならないんだ。考えてみれば盗賊という犯罪者に誘拐されて無理矢理奴隷にされたんだから、逃げたって犯罪じゃ無いよね。


「ではこちらを確認してからカードに魔力を通してください。裏面の職業、スキルは表示非表示は自由に設定して下さい」


 リュートは自分が見た後私にも見せてくれた。


「いいの?」


「パーティヲ組ムカラニハ能力ノ把握ガ必要ダロウ?後デステータスヲ教エル」



 名前:リュート

 年齢:18歳

 性別:男

 出身:北方連合国、シーデ村

 職業:武闘家・冒険者


 職業ジョブ


 剣士・拳士・弓士・狩人・盗賊・野武士・農夫・娼妓


 剣士と拳士は父親から剣の扱いとか戦い方とか教えてもらったんだろう。狩も教えてもらったって言ってたし弓士、狩人、農夫辺りは村の生活で、逃亡生活で盗賊や野武士がついた可能性がある。そして娼妓………何も言うまい。


 リュートはカードに魔力を流して係員に渡す。


「ではしばらく、前でお待ちください」


  と、係員に指示されたのでドアの外に出て置いてある椅子に座って待つ。


「リュート疲れてない?」


 色々付与して体力回復させてるけど半獣形態で結構連れ回している。


「アア、今ノ所問題無イ」


「無理しないでね、いつでも《ヒール》かけるから」


「アリガトウ」


 そんな会話をしつつ暫くすると受け付けカウンターから名前を呼ばれた。


「ギルド登録料1万メルになります、紛失した場合、再発行料は5万メルになりますのでご注意くださいね」


「エ1万…ソンナニカカルノカ」


 金額にちょっとショックを受けるリュート。アス君もやや青ざめている。

 私は係員に大銀貨を渡しギルドカードを受け取った。その他ランクや税金の説明は辞退した。


「エル、オレ、頑張ッテカセグ…」


「僕、僕もがんばりましゅ」


「1万メルなんてあっという間よ」


 少し潤んだ目で見上げるアス君の頭を撫でながらウインクして罪悪感を感じないよう軽く振る舞う。

 今まで苦労してきたんだから少し楽してもいいと思う。っていうかアス君お姉さんに甘えていいんだよ~


 後で借金返済計画立てた方がいいかな、その方が二人とも気兼ねしなくて済むだろう。

 受け取ったギルドカードに革紐を通し(リュートは無理だから代わりに)少ししゃがんでもらう。

 ギルドカードを首からかけながら


「今日から冒険者だね」


「アリガトウ、エル」


 耳元でお礼を言われ、頬をペロリと舐められた。


 !!


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 リュートのギルカ


  名前:リュート・年齢:18歳・性別:男

  出身地:シーデ村、北方連合国

  職業:武闘家、冒険者

  所属:ウェイシア王国、クロード領、エオカ支部

  ランク:G

  チーム:金色の翼/メンバー

  チームリーダー:エル(魔法剣士)


  賞罰:ー


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る