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□ □ □ □
眉間の辺りをぐりぐりと押し潰されている感じがする。
やめて、やめてよ、と、手で払いのけようとすると、思いのほか勢いがついていたらしい。バチンと
「いって!」
目を開けると、隣に腰を下ろした海斗さんが頬をすりすりと擦っている。それと同時に、私の手もなんだかジンジンしてきた。
……ちょっと、ちょっと。またおのれか、海斗さん。自業自得なのに、私まで痛いなんて、もぉー最悪だよ。
私が目を
「ちょい待ち。今回は俺じゃないからな?」
「んぁ?」
海斗さんが私の頭の方を
顔を上に反らして後ろを見ると、
「……」
なるべくそちらを向いたまま、ゆっくりと身体を起こし。それからバタバタと慌ただしく海斗さんの背後に回った。
部屋の中を見渡すと、部屋にいるのは海斗さんと私、それから片眼鏡のお兄さんに、まだ寝たままの櫻宮様の四人だけ。あと、疾風。
疾風も私が起きるのと同時に目を覚ましたみたいで、すりすりと身体を寄せてきた。
アノ人? どこか行ってる。こんな時に頼りにならな……い、って違う違う。そもそも頼りになんかしていない。
「おぉ? なんだ? 人見知りするなんて
「そんなに
そうは言うけれど、これはもう根本的というか本能的なものだと思う。
お兄さん――元老院第三課の課長であるカミーユ様が
彼を分かりやすく何かに例えるなら、お腹を空かせていないときの肉食獣が近いだろう。空腹でさえなければ、肉食獣達は
適応能力が半端ないと
これが同じ三課でも、コリン様だったら大丈夫だった。いや、前に美味しいお菓子をくれたからとか、そういう理由じゃない。まぁ、確かに美味しくて好感度上昇待ったなしだったけども。そうじゃない。そういうことじゃない。
奏様も、前に無視していいって言ってたけど、こんな存在感ありありの人はそう簡単に無視できるものでないし。
……よし、賢い手を使おう。
なんとも他力本願というか、事を荒立てたくない日本人らしいというか。
まぁ、とりあえず、実行あるのみ! です!
さりげなく、かつそこそこ気にもなっていることを聞くべく、海斗さんの服を引っ張った。
「ねえねえ、あやめは?」
「綾芽なら、夏生さんと巳鶴さんの三人で南の屋敷に行って、合同会議に出てる。他の奴らは俺と一緒に
「かいとは? でなくていいの?」
海斗さんだって、立場的には綾芽と同じなんだし、出なきゃいけなきゃいけないような気がするのは私だけ?
邪魔はしないから。部屋の
けれど、どうやらその願いは
「夏生さんから、俺と他の奴らは先に戻って寝るか身体休めるかしとけってお達しがあったんだよ。あ゛ぁー、夜中じゅう駆けずり回らされたせいで、つっかれたぁー」
「んん? ……んぎゃっ!」
海斗さんに腕を掴まれ、前に引っ張りこまれた。そのまま後ろから
むぅ。海斗さんてば、なんだかこのまま寝てしまいそう。
さぼってここにいるというならそこら辺に転がしておいていいかもしれないけれど、この様子じゃ本当にしっかりきっちり働いてきたみたいだし。
いくら暖房が入っていて、子供体温の私を抱っこしているとはいえ、寒くはなくても疲れは取れないよ?
この姿だと、海斗さんの部屋まで引っ張っていくのも大変だ。
ここはやっぱり、布団や布団、お前が来いってヤツかな?
……とまぁ、冗談はさておいて。
問題は、この寄りかかられている身体をどうすべきか、だね。まだ完全に寝落ちる前だから、そのまま待っててもらうように言い聞かせれば大丈夫かなぁ。
いやぁ、それにしても、海斗さんのお世話をしているだけで、目の前で薄ら笑いを浮かべているカミーユ様の視線を気にしなくてもすむ。これ大事。すごく大事。
「かいとぉー。おふとんもってくるから、こたつにあごのせてまっててー」
「んぁー、布団はいらねぇよ。
「えぇ? こたつにはいってねたらだめなんだよ? おじいちゃんがいってた」
「いや、入らねぇから大丈夫」
「え?」
海斗さんはそのまま私を抱きかかえ、炬燵布団をめくった。
あぁ、あぁ。だから入って寝たらダメだって言ってるのに。やっぱり入ってるじゃん。
……と、思いきや。まさかの行動に出始めた。
炬燵に足をいれるのではなく、逆に炬燵布団を引っ張っていく。その部分だけ広くした後、それを
確かに、これだと直接炬燵の温かい部分に足を入れているわけではないから、炬燵に入っているとは厳密には言えない……のかなぁ?
でもこれ、他に炬燵に入っている人がいたら、その人が寒くなって確実に戦争引き起こすやつだよね。今はいないからいいのかもしれないけど。
「おやおや。彼が眠ってしまうなら、私達は何をして時間を
そう言って、カミーユ様は目の笑わない顔で笑った。
今はまだ朝方も早いうち。櫻宮様の中にある珠に力を注ぐにもまだ時間がある。となると、私がとるべき行動はおのずと決まってくる。
「……お、おやすみなさい」
私も海斗さんの横でごろりと横になった。
すると、
ふふふっと笑うと、疾風も私の横で丸くなり、時々
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