16
「この、小娘がっ!」
男の人が手を伸ばしてきた。
けれど、その手は宙をかく。
「あのー、その子、ウチの子ですやろ? 保護者通してもろてえぇですか?」
「あやめっ!」
男の人のすぐそばに現れた綾芽が男の人の手を取って
いいぞ、けしからん! もっとやれ!
綾芽の後ろには奏様と……んげっ。
ひょいっと綾芽の後ろを
それにしても、ニコニコという言葉は内情と
……笑顔で怒るなんて、器用な
「君、そのまま押さえつけておいてよ。奏、何かしら持ってるでしょ? 捕縛」
「いや、さすがにここでは」
「なんて?」
「すぐします」
レオン様がさらに笑みを深めたのに対して、奏様は即座に行動に移した。
伊邪那美様に御前失礼の
これはアレですかね。完全なる
だって、ほら……あっ、奏様、それ綾芽の足! 足、間違ってるよ!
「ふふふ。ごめんなさいね」
「いや、かまへんよ。じっくり
「もちろん。レオン様が、たっぷりと」
「そら良かったわ」
男の人は万事休すな状況に追い込まれたことに、先ほどから
「……ふんっ! 種はもう
もはやこれまでと引き際を
「おいこら、こちとら自分の精神安静もかかってんのよ。そう簡単に死なせる思うたか? あ゛ぁん?」
奏様が
……お、お口が達者ですねー。
すかさず綾芽も男の人の
奏様も男の身体に少量の雷を流し込み、完全に動きを制圧した。
……さすが。お二人とも、手慣れておいでで。
「そやそや、忘れるとこやったやん。危ないわぁ」
綾芽が男の人の肩を腰にさしていた刀の
「うちのお
綾芽は男の人の耳元に口を持って行く。
えっ。小声で話すの? 待って待って、聞こえないじゃん。
私も私もと近寄ろうとすると、急に
……ずるい! 仲間外れ良くない! 良くないよ!?
プゥと頬を膨らませていると、それに気づいたレオン様がぷすぷすと頬を押してきた。
やめんかコレ! 私、今、機嫌悪いの!
綾芽ももう満足したのか男の人を放って立ち上がり、伊邪那美様と奏様が笑っているのを不思議そうに見ている。レオン様が何やら説明すると、ニヤッと悪い顔で笑って私を抱き上げた。
ふんだ。何か言ってるみたいだけど、私、今、何も聞こえんもんねーだ。だから返事なんかしてやんない。皆だけで楽しめばいいじゃーん。……ふんだ。
私が
「雅ちゃんは知らなくていいことだったのよ」
あ! 聞こえる! ……じゃなくって。
「……ほんとぉにー?」
「えぇ、もちろん」
奏様がそう言うなら……そうなのかなぁー? でも、お仕事の話ってわけでもなさそうだったけどなぁ。
「そや。戻ったら宴会って言わはっとったやろ? 美味しい物ようさんあるのと違う?」
「えっ? あっ! そーいえば、いってた!」
「なら、早く戻らなきゃね」
「あい!」
……ん? 上手いとこはぐらかされた?
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