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◆ ◆ ◆ ◆
「何してるの? 早くしてちょうだい!」
金切り声で指示を飛ばすあの方の様子を影から
この分だと、あの方のこれからの動向は敵視している瑠衣さんだけでなく、あの子、そして我々にも関係してくる。それもあまりいい方向にではなく。
海外への遊学中に
「陛下。ただいま戻りました」
「あぁ、入って良いぞ」
失礼します、と声をかけ、障子の戸を開ける。
たまに日差しが温かい日が出てきたとはいえまだ寒い日が続く。城にいた頃には考えられないほど
「どうだった?」
「かなり
「そうだろうな。今、あやつのお気に入りのアレも、その他の四部隊も皆それぞれの事後処理で忙しい。それにまだ解決していないものもある。そんな中にいくら内親王とはいえ、
「幸いにして、まだ誰もあの子の存在を進言してはいないようです」
「あぁ。耳にしていれば今の状態じゃすまぬはず。あやつは自分が何でも一番でないと気がすまん
だが、じきに耳にしてしまうだろう。
城下四部隊、少なくとも東と南の面子に大層可愛がられている
神だと、説明しても無駄かもしれない。身分による特権は甘受しても、身分による責務、神に祈りを
そんな彼女があの子が神だからと己の欲を抑えることをするとは思えない。ある意味、神すらも恐れぬ所業をなすとはこの事だろうか。
「引き続き探ってくれ」
「承知しました。……陛下、もう一つよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「みかん、食べ過ぎでございます。いくらビタミンCは身体に良いとは言え、ものには限度というものがございます」
「う、うむ。あいわかった。これで最後。もう控えよう」
目を離すとこれだ。
綾芽さんもなにやらあったと聞くし。まったく。このご兄弟はいくつになられても変わらないのだから。
私が
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