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「ほぅ。確かに神嫁に相応しい美しさだな」

「減る」



 帝様と橘さんが見ている横からアノ人がデジカメを掻っ攫った。


 減りはしないだろうに、神様といえど心が狭い。



「はっはっは。神のものに横恋慕などするつもりはありません。……なるほど。雅のこの可愛さは親譲りというわけか」

「そ、そんなー」



 て、照れるじゃないの。


 ……もっと言ってくれてもいいんだよ? うふふん。



「陛下。あなたは源氏の君にでもなるおつもりですか?」

「おぉ、それもいいな。瑠衣には黒木がいるようだし」

「やらんぞ」



 アノ人が瑠衣さんがいなくなってからすぐに座った横からひしっと抱きしめてくる。


 って、ちょ、痛い痛い。力強すぎっ!



「陛下、ご冗談はおやめください。お父上が誤解されるでしょう?」

「分かった分かった。……ん? 雅、口元にクリームがついているぞ?」



 帝様が伸ばした手はパシッと音を立ててアノ人の手に弾かれた。


 キョトンとする帝様とムスッとした……ような雰囲気で変わらず無表情のアノ人。



「触るな」

「……ハハッ。初めて打たれたな」

「えっ!?」



 あ、そっか。


 この国で一番偉い人なんだから、それもそうだよね。



「陛下。お手を」

「大したことない」

「ご、ごめんなさいっ!!」



 アノ人は謝るつもりなんて微塵もなさげだ。


 む、む、む、娘に謝らせるなんてなんてヤツっ!!



「私も冗談が過ぎた。許せ」

「も、もうしわけございましぇぬー」



 椅子に座ってるから土下座は出来ないけど、テーブルの上に両手を添えて頭をペコリと下げた。


 そこっ!!


 なんでそんなことをする必要が?的な表情しない!!



 無表情の裏に隠されたものを読み取れるようになってきて辛いっ!



 こっちが謝りたおして、なんとか場はおさまった。


 まだ納得してないような人……人?もいるけど、それはもう無視だ無視。



「そーいえば、さっき、なんでるいおねーちゃまのおなまえが?」



 アノ人がとんでもない力で抱きしめてきたせいでそれどころじゃなくて聞きそびれたけど。



 ……も、もしかして、帝様も瑠衣さんのことが好き、とか?


 あいやー。もしそうなら結果的に酷い事しちゃった!?



「ん? あぁ、いや。確かに瑠衣は一時期私の妃候補だったが、そんな風には思えなかった」

「えぇっ!?」

「妃候補と言っても瑠衣さんのおばあ様が陛下のおばあ様の姉上に当たる方ですので、血筋的なことを考慮するとやはり反対勢力も多かったので正式なものではなくなったんですよ」

「ほぁー」



 ……ん? 瑠衣さんのおばあさんが帝様のおばあさんのお姉さん?


 ということは?


 瑠衣さんと帝様って親戚同士!?


 ……ということは? ということは? 瑠衣さんのおばあさんっていうのは……。



「そういえば、大伯母様がそなたに会いたがっていたぞ」

「やっぱり! なつまつりのときのおばーちゃま!! あと、しきはいのときの!!」

「夏祭りは分からんが、四季杯の時はいらっしゃっていたな。なかなか家に招けないことを残念がっておられた」

「ほんとう!?」



 そ、それは申し訳ない。


 夏生さん宛にご招待のお手紙をいただいていたっけ?


 四季杯の時は劉さんに抱っこされて、いつの間にか寝ちゃってたから。


 今度瑠衣さんに頼んで一緒に行ってもらおう。



 ……瑠衣さん達、戻ってくるの遅いなぁ。


 ちょっと様子を見に……ダメ?



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