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※巳鶴 side※



 ふぅ。


 ここらで一休みとしましょうか。



 母屋にある厨房でなにか軽食をもらおうと離れを出て、母屋の廊下を歩いている時だった。



 「おい、チビが泣いてるんだとよ」

 「チビが? 一体どうしたんだ?」

 「俺も門番してたヤツについさっき聞いたばっかりなんだが。なんでも、さっきチビが帰ってきた時に、綾芽さんがチビからかくれんぼじゃなく冗談で隠れたんだと。俺達も刀の手入れしてて気づかなかったから誰もいなくなったと思っちまったのか、びっくりして泣いちまったらしい。今、綾芽さんの部屋にいるから、ちょっと様子見にいってみようぜ」

 「おぅ」



 部屋から出てきた隊員と丁度鉢合わせた。


 私に気付いた隊員達はゲッと顔を引きつらせ、部屋の中へ足を引き戻している。



 「お待ちなさい」



 ススッと閉められていく障子をガッと掴むと、中からヒッと悲鳴らしきものが聞こえてきた。


 でも、今はそんなこと、気にするようなこともない些事。



 「今言ったことは本当ですか?」

 「は、はいぃ」



 可愛らしいお願いごとはすれど、子供らしく泣くことのないあの子が泣いた?


 ……綾芽さんは自分があの子にとってどんな存在なのかまったく理解していませんね。



 右も左も分からない、しかも戦場に。


 幼い子供が一人放りだされて平気でいられるはずがない。


 きっと本当に怖かったはず。


 そんな時、そこから助け出してくれただけでなく、その後の面倒まで見てくれる綾芽さんをあの子が親のように思うのも無理ないでしょう。



 「今さらですが、彼にはきちんと言い聞かせなければいけないようですね。邪魔をしました」

 「だ、大丈夫です」



 私も研究に一段落つきましたし、綾芽さんは部屋にいるようですし。


 ゆっくりとお話しする時間が持てそうですね。



※巳鶴 side end※


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