3
◆ ◆ ◆ ◆
―――綾芽や海斗、薫が雅におつかいの準備と心得を言い聞かせている頃。
「……はぁーっ。まったく」
深い溜息もつきたくなるってもんだ。
あいつら、結局仕事を増やしやがって。
「いいか、おめぇら。これは日頃たるんできたお前らの隠密性を取り戻すための訓練だ。チビに気付かれないよう、買い物の間護衛しろ。それから、材料の買い足しと荷物の受け取りもだ。……行け」
目の前に座っていた奴らが一斉に立ち上がり、広間を出て行く。
隠密部隊をこんなことに使おうだなんて、いつもの俺だったら考えもしなかったことだってのによぉ。
俺もヤキが回ったか。ちくしょう。
「じゃあ、いく……いって、きます」
「うぉっ! 劉、おめぇ、まだいたのか……って、ちょい待ち!」
いつの間にか背後に立っていた劉に驚いたのも
それは……。
「なんだ? それは」
「……カメラ?」
「そんなもんは見りゃ分かる! 俺が聞きてぇのは、なんでそんな上等なカメラを今、おめぇが手に持ってんだってことだよ!」
……このカメラ、前に見たことあるぞ? テレビでどっかの野郎が話してやがった。
手振れ補正は当たり前、現在の最新撮影技術を集合させた超高性能カメラとかで、現場で活躍するプロ御用達。そしてもちろん、アマチュアにとっては
それだけの代物。誰でも手が出せるほどの金額なわけがねぇ。
「これで、みやび、とる。あやめさん、めいれい」
「……綾芽ぇーっ!」
あ、い、つぅー!
申請があった経費と実際に請求が来た金額がやたら合わない月があったが、こいつのせいかっ!
あの時、俺が城の経理からどんだけ文句言われたと思ってんだ!
「綾芽さんなら、さっきチビについて行きましたよ?」
俺の叫びに、なんだなんだと顔を
「……
職権乱用? なんとでも言え!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます