怒るのも仕事のうち

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 世の中の皆さんは連休。


 私は毎日連休。


 ちびっこ生活を完全に謳歌している外見ちびっこ、中身は女子高生がここにおりますよっと。



 一昨日から綾芽はお仕事で出かけていて、今もまだ帰ってきていない。


 良い子にはお土産買ってきてくれるって言ってたから、きちんと良い子で待ってるんだぁ。



 ……おかしいな。いつも良い子でいるはずなのに。



 あぁ、それにしても……



 「ひまだー」



 暇だ暇だ暇だ。


 畳の上をあっちに転がり、こっちに転がり。


 本も読んでしまったし、テレビも面白くないのしかない。


 探検も、入っちゃダメと言われている所以外行ってしまった。



  「そういえば」

  「ん? どうした?」



 部屋の前の廊下を、非番のおじさん達が歩きながら話す声が聞こえてきた。


 隣の部屋へはふすまでしきられてるけど、廊下との仕切りは障子だ。


 だから、仕切りがあるとはいえよく聞こえてくる声にぼんやりと耳を傾けた。



 「今日、綾芽さん達、戻ってくるらしいな」

 「あぁ。予定を二日も早く繰り上げたんだと」

 「まぁ、おちびもいることだしな」

 「それな」



 なんと!!


 綾芽が帰ってくるとな!


 いいこと聞いたぞ?



 壁に目あり、障子の向こうに私あり、だ!!



 起き上がり、ふと何気なく机の上にあるお菓子箱を見た。



 その時、私は思い出してしまったのだ。


 半分以上が空となってしまったお菓子箱の存在を。



 わぉ。


 ……こうしてはいられない。


 綾芽が一日一個までと言い残して部屋の机の上に置いて行ってくれたお菓子箱の中身を補充しなければ!!


 良い子でいないと、お土産なくなる!



 ……ふっ、みんなのお手伝いをして、少しづつ貯めた豚さん貯金箱のお金を使う時が来たか。


 ひぃ、ふぅ、みぃ、よ、っと。


 うん、大丈夫。結構ある。



 同じお菓子が売ってあるコンビニはすぐ近く。


 この姿になって、初めてのおつかいです。



 まぁ、私がお菓子の誘惑に勝てずに、綾芽が出かけた翌日には半分以上減らしてたのが悪いんだけどね!




 誰かに言ってからがいいんだろうけど、誰も彼も皆忙しそうに動き回っている。


 さっきの非番のおじさん達も外へ出かけてしまったのか、姿が見えない。



 ……近くだし、すぐ済むし、一人で行っても大丈夫だよね?


 あっ! そういえば、門のところにいつも交代で立ってる人いた!


 その人に声をかけていけば大丈夫じゃーん。



 貯金箱の中からカエルさんがま口にお金を移してっと。


 一応、盗られちゃいけないから、シャツの中に押し込んで……うん、完璧です。



 玄関で靴をはいて、いざ!


 行ってきます!!



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