まずもってヒロインの『あめあがりさん』にとにかく惹かれます。
その行動力、ビシッとした言動と思想、彼女の背負う過酷にして大きな宿命、外見とそのファッションなどなど、一般人を寄せ付けないような強烈な個性があります。
普通の男子であれば『惹かれても、つい引いてしまう』そんな感じのヒロインです。
しかしそこに宿命の出会いを果たすのが誰よりも平凡な『もっくん』。
物語はこのもっくんの視点を中心に描かれていきます。
そしてこのもっくんフィルターの優秀さゆえに、読み手もまた彼女の魅力にズルズルと引きずりこまれてしまうんです。
そして物語が進むにつれ、ヒロインに負けず劣らずの強烈キャラクターが現れます。
彼女を取り巻く環境がいかに大変であるか、それを証明するようにサブキャラクターも暴れまわります。
嵐のようにストーリーも進んでいきます。
そしてこの物語の面白いところは、周囲が異常性を発揮すればするほど、なんだか主人公とヒロインの絆がすごく純粋なものに見えてくる、というところにあります。
錯覚のような、だまし絵のようにも感じられるのですが、物語が進むにつれてその関係性が透明になっていくような不思議な感覚でした。
なかなかこんな感覚が味わえる物語はありません。
キャラクターやストーリーの独特さはこの物語の特徴の一つですが、時折ハッとするような表現が出てくる、文章に遊び心があるのもこの物語の大きな魅力。
カオス渦巻くストーリー展開の中にもスッと芯が通っている感覚はこの作者様独特の持ち味だと思います。
物語はまだ連載中ではありますが、是非読んでみてください。
連載を追いかける楽しみもまた読書の楽しみの一つではないかと!
(1章最後まで読んだ感想です)
まずは『凄い』と溜息が出ました。
仕掛けがどうこう、伏線がどうこう、謎がどうこう、そういった小細工なしで『シッカリ読ませてくれる』面白い物語。
キャッチコピー等からハルヒとキョンの関係を良い意味でリスペクトしつつ独自のキャラクターを作り上げたのかも……と邪推させる程に素晴らしくキャラ立ちしている登場人物。
ヒロインの『あめあがりさん』については作中の描写も多く、行動的な所や、やや思考が真面目にずれている所や、本気でバカなのでは? と思わせる所や、凄く素敵な所等、作者様が愛しておられるキャラクターなのだと感じました。
一方、主人公はモノローグを紡ぐ関係上、若干おとなしめな設定を施されており、それがまたヒロインの魅力を底上げするドラッグとして機能しています。
そして最初に触れたシッカリ読ませてくれる物語という部分ですが、まさしく直球勝負の正道な面白さが満載です。
初めての長編と書かれてありましたが、そんな雰囲気は微塵もなく、とても素敵な構成&内容&文体で商業作品と比べても何ら遜色のない出来栄えです。
まさしく『読みたかったライトノベル』という言葉が脳裏に浮かぶほど面白い作品でした。
2章も絶対に読みたい。
2章以降で二人は(若しくは新キャラも混じえてかも)どんな活躍をしてくれるのか。そう考えるとワクワクします。