チートも無双もないけれど。魔界で死なないためのn個の方法

番外16︰ベルトラ小講義（ルシファー編）

※TIPS的な回です。読まなくても特に本編にとって困らないはずですが、読んでおくと後々でよりスッキリするかもしれません。

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　ルシファー様について知りたい？　そりゃまあ何日か滞在されるみたいだから、知っておいた方がいいだろうな。一般常識みたいなもんだから。

　でも、あの方のことなら本だっていくらでもあるだろう？　あたしの説明が一番いい？　おだてたってダメだぞ。ったく、しょうがない奴だな。

　ルシファー様はあまり表に出てこないお方だ。今でも、大三角時代でも、裏方的な役割をされてるらしい。けれど、大三角が上手く回ってたのはルシファー様がいたからだってのが一般的な見方だな。

　アシュタロト様はアシェトさんと性格ほぼ一緒で、あんな感じだろ？　ベルゼブブ様は政治と知略の方だが、ときに自分の知的好奇心を優先させるところがある。

　ルシファー様はそんな二人のストッパーで、バランスを取るポジションだったわけだ。

　周囲の人望も篤い。あたしも間近で会ったのは初めてだが、納得したよ。

　ほら、あの方なんとなく安心感があるだろ？　それに寛大そうだし、あの独特の空気感。少しくらい油断してても大丈夫そうというか。大三角だった他の二人は部下を引っ張ってくようなリーダータイプだが、ルシファー様は周りが支えたくなるようなリーダーなんだな。そういう部分はサタン様にそっくりだ。

　ルシファー様っていや、サタン様とは切っても切り離せない。なんせルシファー様はサタン様から生まれたんだからな。

　いや、子供ってことじゃない。サタン様は天界との最初の戦争のとき、わりと早いうちに封印されて氷漬けになった。

　全身が氷に覆われていくまさにそのとき、サタン様はご自分の存在の一部を切り離して、どうにかルシファー様を造られたんだ。人間もサタン様とルシファー様を同一視してるだろ？　あれはそういう──え？　知らない？　そうか……。

　とにかく、だからルシファー様はサタン様の分身というか身代わりというか、まあそんな悪魔だ。あたしらにとっちゃ、そういう意味でも特別な存在ってわけだ。

　ちなみに、あの天使みたいな姿あるだろ。あれは堕天前のサタン様の姿らしいぞ。あたしは天使だったころのサタン様に会ったことないけどな。

　ルシファー様について常識的なことって言えば、そんなとこか。

　そういやおまえ、なんであたしらが反乱起こしたかとか、知らないよな？　あれこそまさに常識だぞ。いい機会だ。これからあたしが──。いやいや、いいってなんだよ。へ？　あ、もうそんな時間か。