石喰いの花 〜君想う春に〜

作者 久月 奏

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★★★ Excellent!!!

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文句なしに素晴らしい作品です。
これは悲しみを石に変えて悠久の時を生きる「石喰い」一族最後の一人「リンドウ」と、国を守れなかった武将「カナン」との旅の物語です。
この二人がゆっくりと国を巡り歩き、そこで出会った人々の物語と、そこに刻まされた悲しみを癒しながら旅を続けていきます。
この設定、そして雰囲気は幻想文学のような、ファンタジーのような独特の雰囲気です。ですが、物語は淡々としながらもとても優しい語り口と、どちらも少しぶっきらぼうですが、お互いを思いやる優しいキャラクターによって、淡々としかし、根底にはなにか深い感情が流れるように読み応えのあるものとなっています。
各エピソードともなにかしら考えさせられるような内容になっており、悲しみについて、救いについて、生きることについて、など大変深いテーマが鮮やかに浮かび上がってきます。
それらがムリなく、押しつけがましくなく、純粋に物語として楽しめるところにこの物語のすごさがあると思いました。
そして二人の旅の最後に訪れるものとは……
ぜひ読んでみていただきたい一篇です。

★★★ Excellent!!!

――

人々の痛みを石に変え、それを糧とし、癒しを与える。ただそれだけの不思議な種族「石食い」……この設定が、どこから着想を得たのだろうと驚くほど秀逸。


石食いの最後の一人であるリンドウと、祖国を失った心優しき将軍カナン。

訳あって旅の道連れとなった彼らの間で交わされる会話は、時に哀しく、時に心を温め、柔らかな笑顔を誘う。

穏やかで優しい文体が特徴の作者さまにしては珍しく、時に茶目っ気たっぷりな場面が描かれているのも見どころのひとつ。(実は、そっちの方が素だったりして……)


旅も終盤に差し掛かり、二人が選ぶ道がどうなっていくのか気になるところ。

まずはゆったりと腰掛けて、過ぎ行く季節の物語に耳を傾けてみよう。