売店に居たお客様

 ティ、ティノー! お前本当にクレアと俺と一緒の部屋で良いと承知したのか~!!!? と走り込んだ先に居たのは何故か、風呂上がりのような感じのリアムだった。

「何事なの? 騒々しいわね……」

 と言って売店の奥から現れたのは見覚えのある顔、リアムも着ているここの宿の浴衣を着た少女……。

「って、王都の姫?!」

「そうよ、わたしはサラ! って、何で?!」

「それはこっちのセリフだ! 何で二人がここに?!」

「そんな失礼な事は言わない方が良い。まあ、お忍びで来ているってことは伝えておくよ」

 リアムは優しく言った。

「そうよ! これでも私達はお客様なんだから、ちゃんと扱いなさいよ!」

「ということです。江東さん」

 ティノはレジの所で困ったように言った。

「う……、そう言われると困るわ、俺も」

 くくく……とリアムは苦笑した。

「さて、行きましょうか。お土産もちゃんと買えましたし」

 そう言うリアムを見れば、何か食べ物らしい物が入った袋を持っていた。

「でも、リアム……」

「まだこの宿には泊まる予定です。心配しなくても大丈夫ですよ」

 そう言って、リアムはサラ王女に向けて微笑んだ。

「そう……、そうよね! じゃ、また次に会った時にでも話すわ!」

 そう言うとてくてくとサラ王女は行ってしまい、リアムもそれを追い掛けた。

「何か、あるのか?」

「さあ?」

 気になってティノを見たが、ティノも分からないようだ。

 それよりもだ。本来の目的を果たそう。もう誰も居ないようだし!!

「ティノ!」

「はい!」

 俺の勢いに釣られてティノも良い返事をする。

「お前本当に俺とクレアと一緒の部屋で良いと承知したのか?」

「あ~、先ほど何か大きな声でそんなことを言っていましたね……。そうですよ、あたしとクレアさんはその方が良いと思い、そうしたまでです。何ですか? 江東さんは嫌なのですか?」

「いや、良い。全然良い!! じゃ、俺、仕事終わったから部屋戻るわ」

「あ、ちょっと……江東さん、あたしまだ仕事残ってて……」

「何だよ? 手伝えって? じゃあ、明日、お前、俺の仕事手伝えよ?」

「え、いや……それはちょっと、一人で頑張ります!」

「な!」

 現金な!

 そんなこんなで俺はその寮に一人で歩いて行き、ドサッと誰も居ない部屋の片隅に荷物を置き、勝手に押し入れの中から敷布団を一つ出し、適当に敷いて寝た。

 今はそれしかしたくなかった。

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