第六十二話 第2回料理教室

 変更になったタクティカルグローブの検証を終えて孤児院へ戻り昼食を食べていたときに数日前に村長に前回参加者が言っていたいた第2回料理教室を近々開いて貰いたいので、いつなら都合がいいか教えて欲しいと言われていたのを思い出した。


 あ、そう言えば2回目の料理教室の日時決めて欲しいって言われてたんだっけ。日時もそうだけど何作るんだったっけな? えーと、確かひよこ豆の豆腐を使ったレシピがよかったんだよな? 麻婆豆腐は結局必要な調味料が町にも売って無かったから作れないとして、他に当初考えてたのは豆腐鍋と豆腐煎餅か……う~ん、他になんか作れないかな~? あ、おからが勿体ないからおからいも餅でも作るか。

 豆腐を豆から作るには時間かかるから料理教室で豆腐作りから始めるってわけにもいかないからこっちであらかじめ用意しとかないといけないな。よし! 『倉庫アプリ』に突っ込んどけば腐らないんだから多めに作っておくか。料理教室の時はどういう風に作るか水にさらしたひよこ豆を潰して豆乳を絞り火にかけて冷やす手前まで見せればいいな。あ、湯豆腐はいいけど、つけダレ忘れてた! 醤油も味噌も無いからどうしよう、塩だけってのも何か物足りないし……塩味強目のデミグラスソースなら使えるかな?


 大量の水でさらしたひよこ豆を潰すことになり初めはすり鉢で潰していたのだが、あまりに大量だったので『錬金アプリ』で一気におからと豆乳に分け『倉庫アプリ』より豆乳を取り出して豆腐を作り続け、結局数日かけて50丁ほど作り上げ、料理教室とは関係なかったが他にも『倉庫アプリ』に入っていた食材で色々と料理を作り置きし、つけダレのデミグラスソースは個人的にはちょっと微妙だったが孤児院の皆にはおおむね好評だったのでとりあえずこれで良しとし、2回目の料理教室をいつでもいつでも開ける事を村長へ伝えると村民に伝達する必要もあるので3日後という事に決まった。

 そして当日、前回よりも多い……と言うか村の主婦全員とそれ以外にも未婚の女性や男性も数人と言う結構な人数が集まってしまいとても集会場に入りきれなくなったので2回に分けて行う事になってしまった。


 いやいや、主婦や未婚の女はまだしも男までかよ! さて、2回に分けると言っても片づけや準備とかもあるから1日で2回開くのはちょっと無理だろうから2日に分けるしかないな。


 村長も交えて相談した結果、2日後と4日後に改めて料理教室を開くことに決め、さらに教えてもらってるのに食材まで出してもらうのはどうかと言う話になり、参加希望者は必要な食材を前日までに孤児院へ届ける事にしてその日はとりあえずお開きとなった。


「リン君、それで今回は何を作る予定なの?」

「冬なんで豆腐鍋と他に煎餅にしようかと思ってます」

「鍋は分かるけど……せんべいって何?」


 あー、この世界には煎餅ってないのかな? いや、ラウティア大陸には米が普通にあったんだから煎餅があったかもしれない、そう考えるとこっちの大陸に無いだけか? そう言えば今まで聞いた事無かったな、一応聞いてみるか。


「そう言えばこっちの大陸に『米』とか『醤油』ってないんですか?」

「米は聞いた事無いわね。醤油は無い事は無いはずだけど、独特な臭いがダメな人が多いからあまり輸入してないって聞いたことあるわよ。あ、この村にはどっちも無いわよ」

「ラウティア大陸の方では獣人の人でも普通に食べてたから獣人特有ってわけじゃないですよね?」

「う~ん、私も実際醤油を見た事無いから良く分からないけど『慣れ』なのかもしれないわね」


 第2回料理教室が延期になったため煎餅を孤児院で煎餅をおやつに出してみたのだが『食感はいいけどなんか物足りない味』と言う感想が多く思ってたより不評だったので別のものを考える事になった。煎餅ならそんなに好き嫌いはだろうと勝手に思い込んでいたので、試食してもらわなかったのは失敗だったと後悔し、他に何が作れるか考える事に。


 まさか煎餅が不評とは予想外だったな……さて、煎餅がダメなら何作ろうかな? でも、味が足りないだけなら何とか改良できるかもしれないな。塩を振るだけじゃ物足りない気がするし……あ、パンやクラッカーなんか食べる時とかに浸すディップを作って同じように煎餅をそれに浸して食べる方式にすればいけるんじゃないか? そのディップもひよこ豆をベースに作ればいいしいいかもしんないな。ディップ自体もソースみたいな用途でいろんなものに合わせれそうだしな。


 何はともあれ試作して見てからだと思い、すぐに試作に取り掛かり味の調整をしていき3回目の試作で満足できるディップを作ることができ、試しに院長や子供たちへおやつ代わりにと出してみたところ煎餅だけの時と違い全員一致で美味しいと言って貰えた。


「リン君、孤児院で専属料理人として働く気はないかしら?」

「いや、俺の料理は趣味程度何でそんな気ないですよ?」

「じゃ、私専属で「お断りします」断るの速い!」

「俺は肉料理の方がいいけどな!」

「ところで、何で二人がここにいるのかな?」


 何故か院長とラウが俺の分を勝手に食べて好き勝手な意見(妄言?)を言っていた。


「え、いや、ちょっとラウくんと散歩してたら美味しそうな匂いがしてきたから……何か呼ばれたような気がして?」

「腹減ったからきた!」


 翌日、料理教室参加希望者が食材を届けに来てたのでそれのチェック作業と翌日の準備でその日は忙しく過ごす事になった。

 そして第2回料理教室・前半(村長が命名)当日、豆腐鍋とディップに浸して食べる豆腐煎餅と野菜スティック男の参加者がちゃんと料理できるのか不安だったがこれといった問題が起きる事も無く結局参加者全員思ってたより上手に料理を作れていた。作った料理をみんなで食べ、感想を聞いてみると『豆腐鍋はこの時期だと身体が温まっていい』『豆腐の食感が滑らかで柔らかく豆の味がしっかり感じる事ができて美味しかった』と言う意見が多かったが『舌触りとはっきりしない味が好きになれない』といった意見も多少あった。豆腐煎餅の方は豆腐煎餅よりついでに作った生野菜の方が好評でちょっと複雑な思いを抱いてしまった。


 う~ん、煎餅はダメだったか……個人的には結構美味しくできたと思うんだけどな~。ま、ディップが思ってたより好評で喜んでもらえたんだから良しとしとくか。


「あの~このディップなんだけど、他にはどんなものに会うのかね~」

「そうですね……パンとかに会うと思うんですが、硬いパンならディップを緩めに作ってそれに浸して食べたり、他にも緩さと味を調整してステーキソースの代わりにするとか応用できると思いますので、色々と創意工夫してみてください。あ、そのままだと普通に野菜スティックに漬けて食べてもいいですよ」


 第2回料理教室・後半も問題なく終わり片づけをして孤児院へ戻ろうとしていると村長に呼び止められた。

 村長からの話は孤児院でルカが読み書きと計算を子供たちに教えていることを知って、村の子供たちと他に読み書き計算が得意ではない大人たちの中で希望した者へ教えてもらえないかと言う相談と言うかお願いだった。その時ちょうど通りかかって一緒に話を聞いていたルカがなんかやけに乗り気だったので村長に話を受ける事にし話を進める事に。


「やるにしても場所はどうするんですか?」

「そうじゃの~、もし新しく建物立てるとしても今は冬じゃからとりあえず孤児院を借りたいところじゃの」


 さて、勉強を教えるにしても教科書は無理として筆記用具やノートは必要だろうな。しかし、問題は紙か……パルプなんて作り方知らないからここは羊皮紙か樹木紙くらいかな? 草で作るパピルスってのもあるけど今は冬だし大体この地域に生えてる草で作れるかどうかも分かんないからな~、同じ様に草から作る和紙はそれを作る道具とかどうやって作ればいいか分かんないし……。

 そう言えば前に石灰石から紙やプラスチック等の代用品が作れるって番組見た事あったな。でも詳しい作り方とかはやって無かったから分かんないしダメだな。

 あ、そうだ! 赤松っぽい木があったのを狩りの時見た事あったから板にしてから薄くし削りだして経木として使えばノートとして使うのに結構な料取れるはずだ。


 そう言えばルカやラウに勉強を教える時に使ってた黒板はどうだろうと今更になって思いだし、今にして思えば黒板なんて材料さえそろえれば結構簡単にできるだろうし隠しておくほどの技術でもないだろうとダイロに経木の概要説明と黒板を実際に見せて意見を聞くことにした。

 ダイロは黒板を興味深そうにしばらく見て『板に塗ってるのは……魔物の血と塗料と何かの鉱石の粉末か?』と、使っている材料を概ね当てて見せた。


「さすがですね、大体あってますよ。それで、これを作る事は可能ですか?」

「う~んそうだな~。ログウルフの血だと粘性が足りねぇと思うから少し樹液を混ぜて使えば何とかなると思うぜ。書き写すのに使うノート? だったか、それは小さい黒板だとかさばっちまうだろうから、経木ってやつの方がいいだろうな」


 木材に関しては村の外にある林からダイロ立ち合いの元であれば多少木を切ってもいいと言う許可を村長からもらい、孤児院へと戻り村長からの話を聞いて貰っていると。


「兄貴―! 俺も手伝うぜ!」

「は? ラウに勉強は……」


 まてよ、座学だけじゃなく運動を教えると言うのもいいかもしれないな。言うなれば体育の授業ってやつだな。それなら他にも教科があった方がいいか……化学っぽいのはまだこの世界で見た事無いから植物の栽培(主に農作物)とか野生動物や魔物の生体なんかを教えるのを理科の授業、村に長く住む高齢者とかから色々昔の事を聞いたりするのを社会科の授業、冬の手仕事みたいなのを教えるのを図工の授業と言う様な感じでいいかな? あ、いっそのこと料理教室をこっちに組み込んで家庭科の授業にするのもありかも知れないな。ま、そこら辺も村長と要相談だな。


「兄貴?」

「ああ、悪い。ちょっと考え込んじゃってた」

「全く兄貴は……で、手伝うって言ったんだけど俺って勉強は苦手なんだよな」

「ああ、ラウには勉強とは言っても座学じゃなく運動系を教えてもらおうかと思ってる」

「おお! それなら俺にもできそうだぜ!」

「ま、詳しい事は村長と相談してからだからどうなるか分かんないけどな」


 村長たちと相談した結果、色々と準備もあるから今度の行商が終わった後にとりあえず生徒は子供だけと限定して一度勉強を教えてみることに決まった。授業料や新規に校舎を建てるか等その他問題もその後でまた話し合うという事でとりあえずこの話は終わった。

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